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某有名大学の運動部のパワハラ問題から、オリンピック競技としても期待されている格闘技協会など連日、パワハラ問題に関するニュースが報道されています。
パワハラに限らず、これだけ世の中で騒がれているハラスメント問題はなぜ無くならないのでしょうか?労働問題の窓口でもたくさんの方からパワハラ被害によるご相談を受けることがあります。
そこで今回は、パワハラが無くならない理由を考えて、パワハラの加害者にはならないことはもちろん、被害者にならないための方法を探ってみたいと思います。
1.パワハラの定義を確認しよう
パワハラがなぜ無くならないかを探るために、まずはパワハラの定義をおさらいしてみましょう。
厚生労働省の「あかるい職場応援団」というサイトに、パワハラの定義が以下のように記載されています。
職場のパワーハラスメントとは
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
引用:https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/definition/about
2.パワハラがなくならない理由
(1)加害者側にパワハラの自覚がない
パワハラが無くならない理由には加害者の「無自覚」があります。これはなかなか難しい問題ですよね。しかも、パワハラが無くならない理由の中でも、占める要素の高い原因ではないかと思います。
パワハラをしている加害者側が、全く自覚がない状態となると、今後の改善が期待できません。では、パワハラ加害者はなぜ「無自覚」になってしまうのでしょうか?
理由1:自分も同じようにされてきた
一昔前であれば、叱責することで社員のモチベーションを高めていたという企業も多かったことでしょう。
場合によっては、人間性の否定に近い言動をしていたかもしれません。君主に遣える武士のような姿勢がビジネスマンに求められていた時代です。
その時代に部下として働いていた世代が、時を経て上司の立場になった時、自分がされてきたことと同じことを部下にしているというケースがあります。
しかし、時代は変化しています。昔はこれが当たり前だったということが通用しないという現実を上司になる人たちは理解しておく必要があります。
理由2:冗談のつもり
「ちょっと冗談で言った(やった)だけなのに」というケースも多いです。
ここで、今一度考えてもらいたいことは、ハラスメントは「被害者側の感情」によって発生します。された人が「嫌だ」「不快だ」と思えば、ハラスメントになってしまうのです。
子どものいじめと同じです。いじめている側は冗談だったと思っても、いじめられている側がいじめだと思えば、いじめなのです。
自分に後輩や部下がいる場合には、それぞれが「嫌だ」「不快だ」と感じることは異なるということを理解する必要があります。
(2)ちょっとしたことをすぐに「パワハラ」と言う風潮
最初にご紹介したパワハラの定義に「業務上の適正な範囲を超えて」という表現があります。
組織の中で仕事をしている以上、守らなければならないルールなどがあります。仕事をする上で、上司として注意しなければならない事も出てくるでしょう。しかし、中には、ハラスメント問題を理由になんでもかんでも「パワハラだ!」という人もいます。
本来であればパワハラに該当しないようなことでも、パワハラにされてしまう事があるため、パワハラが無くならないことに繋がっているとも言えます。
3.パワハラを無くすためには相手を理解することが大切
パワハラを含むハラスメントは、「相手がどう感じるか」という点がとても重要です。
同じ事を同じように言っても、まったく気にしない人はパワハラだとは感じません。しかし、反対に深く傷ついてパワハラだと思う人もいるという事です。
職場には様々な人がいます。
打たれ弱い人、打たれ強い人、上司であれば部下の性格の特徴を理解して接することも大切です。
そして、部下は上司の特徴を理解することで「誰にでもこういう言い方をする人」など判断することが出来ます。そういう上司の場合には、あまり気にしない事も大切です。
パワハラを無くすためには相手を理解することが大切です。そのためには、コミュニケーションを大切にして、バランスの良い接し方を上司が勉強する必要があるのではないでしょうか?
4.もし、パワハラの被害者になってしまったら?
上司の人間性や言われた事を冷静に考えても「パワハラ」だと思う!と感じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
もし、パワハラの被害者になってしまった場合には、上記のような形で第三者に相談しましょう。場合によっては、損害賠償を請求することも可能です。
なかなか難しいかもしれませんが、パワハラ被害にあってしまった場合には、音声を録音するなど証拠を残しておくと裁判等になった際に有効です。また、相談をする際に、時系列でまとめたメモなどを準備しておくようにしましょう。
まとめ
1日の大半を過ごす職場における人間関係は仕事を円滑に進めるうえでとても大切です。
誰でもハラスメントのない職場で働きたいと思いますよね。連日のようにハラスメントに関する報道がなされていますが、社会で働く一人ひとりが、ハラスメントの被害者にも加害者にもなる可能性があることを自覚し、相手の立場にたって物事を考えられるようになると良いですよね。しかし、万が一、パワハラの被害者になってしまったら一人で悩まず、
相談窓口や弁護士に相談してみてくださいね。