うつ病による休職から復職する時の注意点

労働災害
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休業していて会社に復職するためには、まず会社の上司に復職について主治医や産業医の診断を受け、その意見を聞いてもらうよう依頼することになります。

 

もし主治医が「回復した」と判断した場合でも、職場で求められる業務遂行能力まで回復していると限らない場合があり、その場合には職場で必要とされる業務遂行能力などの判断について、産業医の診断書が必要になることがあります。

1.復職するためのポイント

うつ病で休職していて復職する場合に、主治医から就労可能という診断書をもらっても会社が復職を認めてくれなかったり、それどころか退職を勧奨されるトラブルが起こることがあります。

 

ただ、主治医が診断する際には「症状が安定していて、日常生活には支障がない」という意味で診断される場合もありますので、たとえ主治医が職場復帰が可能であると判断した場合でも、職場で必要とされる業務遂行能力などの判断については、産業医が診断することが重要とされていることも事実です。

 

産業医とは、労働者が職場で健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるように、健康管理・指導・アドバイスなどを行う医師のことです。

 

うつ病で休職していて復職する際、産業医が労働者の状態の最終確認をするために面談を行、「職場復帰に関する意見書」等を作成します。

会社側の各担当者は、この「職場復帰に関する意見書」に基づいて復職に向けての最終決定を行ったうえで、試験出社してみたりその他の職場復職支援プランを検討することになります。

(1)試験出社する

試験出社は2~4週間くらいの期間であるのが通常で、この試験出社期間を無事に乗り切ることができるかどうかは、復職できるか否かの最大のポイントとなります。

この試験出社中は、主に「仕事を想定した生活リズムが戻っているか」という点を判断されることになります。ですから、「働いていた頃と同じ時間に起床することができるか」「通勤電車に乗ることができるか」などについて、細かく観察されていることを充分意識する必要があります。遅刻はもちろん、厳禁です。

長く休職していた場合にはこの「遅刻はしない」という当たり前のことも常に意識しておかないと思わぬ失敗をしてしまうこともあるので注意しましょう。

(2)産業医面談を受ける

産業医の面談では、心から復職を希望し、十分な就業意欲があるか、という点が最も重視されます。ですから、職場復帰に対する意思や就業意欲、復職を心から喜んでいることを強調しましょう。

そして、自分がなぜ休業することになったかという原因について理解していること、そのうえで再発防止のための具体的な対策を立てていることを、産業医にしっかりと説明できるように準備しておきましょう。

(3)復職を認められたら

産業医面談や試験出社の後に復職が認められ、職場に無事復帰した場合も、最初は短時間勤務にしてもらって、徐々に勤務時間を戻してもらうよう配慮を求めてみましょう。

 

なお、会社に配慮を求めるよう交渉した際のやり取りについても、録音したり、あえてメールでやりとりしてやり取りが証拠として残るようにしておきましょう。

後々トラブルに発展した場合に、会社に責任を問うために重要な証拠となるからです。

2.復職をめぐるトラブル

うつ病で休職していて復職する場合、会社が復職をかたくなに認めずに休職期間満了として、解雇されるなどのトラブルが起こることがあります。

厚生労働省では、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」というガイドラインを発表し、会社に対してさまざまな配慮を求めています。

会社がどうしても復職を認めないなどのトラブルが起こった場合には、弁護士や労働組合に必ず相談するようにしましょう。

(1)体調が悪化した

復職してしばらくは、その日の疲労を取ることだけに集中しましょう。

ひさびさの職場ということで、緊張するのは当たり前のことですし、休職前より疲れを感じるはずです。そしてもし万が一体調が悪化したら、無理をせずに会社を休みましょう。

(2)給料を減額された

会社から「復職しても、しばらくは以前のように働けないのだから、給料を減額する」と言われることがありますが、このような主張に同意する必要はありません。

それでも退職扱いになったり解雇された場合にも、後から給料を請求することができますので、早めに弁護士に相談しましょう。

(3)復職を拒否された

会社が復職を認めてくれない場合には、復職を認めない理由を書面で説明してもらいましょう。もし書面で提出してもらえない場合には、口頭での説明を録音しておきます。

そして、そのうえで改めて復職を求めて、いつでも出社できる状態であることを伝えましょう。そして、その際にも復職を求める場合はなるべくメールを送信して証拠を残すようにしましょう。もし口頭で伝えた場合には、その様子を録音するとよいでしょう。

(4)解雇された

会社がどうしても復職を認めず解雇になった場合には、早めに弁護士に相談して下さい。休職前に担当していた仕事ではないとしても、その他の仕事が出来るのであれば、復職できる場合もありますので、解雇を撤回させることも不可能ではありません。

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