労災事故が発生したらするべきこと~手続きの流れ~

労働災害
労働災害

労災事故が発生した場合には、さまざまな手続きや書類が必要になります。

病院に必要書類を求められる場合もありますし、労働基準監督署に必要書類を遅滞なく提出する必要があります。

また身体障害が残ったり被災者が死亡した場合には、遺族と示談交渉をする必要もあります。

1.労災事故が発生したら

労災事故が発生した場合には、さまざまな手続きや書類が必要になります。

もし被災者がケガをしている場合には、何よりもまず119番通報をして、被災者の救護に当たる必要があります。

災害発生状況について警察や消防署に連絡すべき場合もあります。また、ガス漏れや火災が起こっている場合には、電力会社、ガス会社への連絡も必要となります。

警察署も労働基準監督署も、立入調査を行う場合がありますので、現場をどのように保全しておくべきかなど、連絡した時に併せて指示をもらっておくとよいでしょう。

(1) 会社に連絡する

労災事故が発生したことについて、会社にも連絡をしておきます。

被災者の付き添いが第一ですが、どのような状況で労災事故が発生したのか、状況の説明が出来るようにしておくことが必要です。

(2) 治療費は労災保険から支給される

労災事故の治療費は労災保険から支給されます。

労災保険のおもな保険給付は以下のとおりです。

* 療養(補償)給付

社員が労災にあって療養が必要なときに無料で治療が受けられるようにするための給付です。

* 休業(補償)給付

社員が療養するために会社を休んで給付をもらうことができないときに、生活費として支給される給付です。

* 障害(補償)給付

ケガが病気な治ったあとに一定の障害が残ったときに障害の程度に応じて支給されます

 

* 遺族(補償)給付

社員が亡くなったときに、残された遺族に対して年金や一時金が支給されます。

 

* 葬祭給付(葬祭料)

社員が亡くなったときに葬祭費用として一時金が支給されます。

 

* 傷病(補償)給付

社員が療養をはじめてから、後1年6か月を経過しても一定の障害の程度で治っていないときに支給されます。

 

* 介護(補償)給付

ケガや病気が億、介護を受けたときに支給されます。

(3)病院に提出する書類を揃える

病院に提出する書類として「療養補償たる療養の給付請求書」を提出する必要があります。これは労災指定病院で治療を受ける時に、その病院の提出する書類です。

病院に提出する際には「労災保険で」ときちんと説明するようにしましょう。

(4) 労災指定病院以外で治療した場合

労災指定病院以外で治療し、病院を移りたい合には、た場合には、「療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」を新たに受診する病院に提出します。

現在受診している病院に事情を説明し、必要に応じて紹介状を書いてもらうと良いでしょう。

(5) 労基署から診断書を求められたら

労働基準監督署から医師の診断書を求められることがあります。

病院でその旨を説明し、発行してもらうようにしましょう。

なお、診断書の料金は労災から支払ってもらうことが出来ます。病院で診断書料を支払ったら、その領収書を添付して、「療養補償給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)を用いて、労働基準監督署に診断書量の請求をします。なおこの際の上限は4000円までとされています。

2. 労働基準監督署での手続き

労災事故が発生した場合には、労働基準監督署に、労働者死傷病報告を遅滞なく提出する必要があります。

この際の「遅滞なく」とは、遅れることについて合理的な理由がある場合を除き直ちに、という意味です。

(1) 補償を請求するためには

労災補償の給付を受けるためには、労働基準監督署で手続きをする必要があります。

たとえば、仕事を休みその期間の補償を請求する場合には、「休業補償給付支給請求書、休業特別支給金支給申請書」(労災保険則様式第8号)を提出します。

休業補償は、平均賃金を元にして、給付基礎日額が算定されます。そしてその金額のうち60%が支払われます。

なお、20%の特別支給金も支払われますので、合計80%が支払われることになります。しかも非課税です。

 

なお、労災で仕事を休んだ場合、休んだ最初の3日間は労災から補償はされず、その分の補償は事業主負担(会社負担)とされます。

(2) 被災者に重過失がある時は

労働者の重大な過失により災害が発生した場合には、事業主の労災補償責任が免除されることがあります。

重大な過失とは、わざとケガをしたと言えるほどの重過失のことを指します。

どの程度の過失が「重過失」に該当するかについては、労働基準監督署か労災問題に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。

3. 示談をする時には

一定の身体障害が残ってしまった場合や被災者が亡くなった場合には、労災による補償の他に、会社と示談を行うことが必要となります。

 

この際、提示される示談内容に応じる際には、注意が必要です。

相手方から提示される示談内容は相手方側に有利な基準で提示されています。

 

そのため、本来受け取るべき正当な賠償額を大きく下回っているケースも多くあるからです。このようなケースにおいて、弁護士が介入し交渉を行うと、初めに提示する示談内容が2倍、3倍と大幅にアップすることもあります。

 

まずは、提示された示談内容が的確な内容かについて、早めに弁護士に相談してみると良いでしょう。

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