労働災害
労働災害とは業務中・通勤中など業務に従事することによって起こった傷病を言います。業務中に(または業務と因果関係があり)起こったケガ、病気、死亡等は業務災害、通勤中に起こった場合には通勤災害、第三者による不法行為によって起こった場合には第三者行為災害と呼ばれます。近年では、過労死も労働災害と認められるケースがあります。
2018.01.10

労災事故が発生した時に会社に追及できること

仕事が原因で生じたケガや病気が労災と認定されると、労災保険の適用を受けることができます。また、そのケガや病気について会社に落ち度がある場合には、会社に対して治療費やもらえるはずだった給料、慰謝料などについて損害賠償請求することができる可能性もあります。

1.労災事故に関する会社の責任

労働者は、会社に労務を提供して賃金を得て生活しています。

ですから、仕事が原因でケガをしたり病気にかかってしまったり、身体に障害が残ったり死亡してしまうと、労働者やその家族の生活が脅かされることになってしまいます。

労災保険制度とは、このような被災した労働者やその家族、遺族を保護するために必要な保険給付を行うものです。

 

なお労働基準法では、業務状災害が発生した場合に、ケガや病気の原因となった業務を行わせた会社に、ケガや病気によって生じた労働者の損失を補償するよう義務付けています。つまり業務上発生してしまった災害については、原則として会社の責任で補償を行うものとしているのです。

 

ただし、重大な災害が発生した場合には、被災した労働者に対して十分な補償を行うだけの資力がない会社もあります。そうなると、その会社の労働者は実質的に十分な補償を受けることができなくなってしまいますし、会社もこれが原因で事業経営が困難になってしまうことが考えられます。

 

そこで、被災した労働者が確実に災害補償を受けることができるようにするために労災保険制度があるのです。

 

しかし、だからといって労災保険が適用されれば、会社の責任がすべて免除されるというものではありません。

そのケガや病気について会社に落ち度があるのであれば、被災した労働者は会社に対しても治療費や慰謝料などの損害賠償を請求することができる可能性があります。

(1)安全配慮義務

会社には、労働者の生命や健康を危険から保護するよう配慮する義務があります。これを「安全配慮義務」といいます。

もし会社が故意または過失によって安全配慮義務に違反したために、労働者がケガをしたり病気になったり身体に障害が残ったり死亡したりした場合には、会社は債務不履行として損害賠償責任を負うことになります。

なお、出向先の会社と出向労働者の場合や派遣社員は、出向先の会社や派遣先の会社と直接に雇用関係はありませんが、それでも出向先や派遣先は安全配慮義務を負っています。

ただし、だからと言って出向元や派遣元が全く安全配慮義務を負っていないというわけではなく、出向先や派遣先が安全配慮義務を尽くしていないことを知りながら、そのまま放置しているような場合には、出向元や派遣元も安全配慮義務違反を問われることになります。

(2)不法行為責任

会社は、労働者が事業を執行するうえで第三者に損害を与えてしまった場合には、その損害賠償責任を負うこととされています(民法715条)。

ですから、従業員が第三者に暴行を与えた場合でも、それが業務を行う行為と密接な関連があるのであれば、会社はその責任を負いますが、会社がその労働者を選任する際やその事業の監督をする際に十分な注意をしたと認められる場合には、会社はこの責任(使用者責任)を免れることになります。ただし、実際に裁判となった場合にこの使用者責任を免れるケースはほとんどありません。

2. 労災認定の手続き

労災を受けるためには、職場に一番近い労働基準監督署に請求書を提出して申請します。

この請求書は労働基準監督署などに置いてありますし、厚生労働省のホームページでダウンロードすることもできます。

 

なお、「業務が原因で生じた」といえるかどうかについては、具体的な事故の状況や仕事の内容、病気であれば病名などによって総合的に判断されることになります。

うつ病や適応障害、パニック障害などの精神障害も労災の対象となりますし、労働者のミスで発生した場合にも労災の支給を受けることができます。

「業務が原因で生じた」と言えるかどうか判断できない場合などには、労働基準監督署に問合せたり、労災問題に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。

(1)時効に注意

労災申請には、以下のとおり時効がありますので注意しましょう。

 

■時効が2年の給付

療養(補償)給付・休業(補償)給付・休業給付・葬祭料・葬祭給付・介護(補償)給付・介護給付・二次健康診断等給付の給付

 

■時効が5年の給付

障害(補償)給付・遺族(補償)給付の給付は、時効5年です。

(2)会社との交渉する時の注意点

労災が発生すると、会社に労働基準監督署の調査や指導が入ることがあるので、会社によっては、労災が発生したことを報告しない「労災隠し」を行うことがありますが、労災隠しは犯罪です。会社から「とりあえず健康保険を使って治療しておいてくれ」など言われて労災申請をしなかったりすると、後々必要な支給を受けることができなくなってしまい、十分な治療を受けることができない場合もありますので、注意が必要です。

 

労災のため会社を休んでいる場合や、会社は休んでいる労働者を解雇することはできません(ただし通勤災害は含まれません)ので、解雇されたり執拗に退職を迫られたりした場合にも、早めに弁護士に相談しましょう。

 

またケースに応じて治療費や将来もらえるはずだった給料や慰謝料などを、会社に請求できる場合もあります。

 

労災申請や治療費などについて会社と交渉する場合には、会社の言いなりにならずまずは、労災問題に詳しい弁護士に相談し、手続きや資料、証拠などについてアドバイスをもらい、必要に応じて弁護士に介入してもらいながら交渉を進めることをおすすめします。

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