労働災害
労働災害とは業務中・通勤中など業務に従事することによって起こった傷病を言います。業務中に(または業務と因果関係があり)起こったケガ、病気、死亡等は業務災害、通勤中に起こった場合には通勤災害、第三者による不法行為によって起こった場合には第三者行為災害と呼ばれます。近年では、過労死も労働災害と認められるケースがあります。
2017.10.04

労働災害による後遺障害が残った時の年金と損害賠償請求

 

仕事中や通勤途中のケガヤ病気の治療が終わった後、一定の障害が残ってしまった場合には、その残った障害の程度(等級)によって、年金が支給されます。

障害年金を受け取るには、年金の納付状況などによって、いくつかの条件が設定されています。

1.障害(補償)年金とは

病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合には、障害年金を受け取ることができます。

障害年金は、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金を受け取る場合には、残った障害の程度によって障害等級の1級から7級に該当する時に支給されます。そして、8級から14級の障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残った場合は、障害手当金(一時金)が支給されます。

 

障害(補償)年金は、支給要件に該当することになった月の翌月分から支払われ、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の6期に、それぞれの前2か月分が支払われます。

(1) 障害等級

障害等級は下記のとおり分けられていて、障害等級第1級から第7級に該当する時には、障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金が支給されます。

障害等級第8級から第14級に該当する時には、障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。

 

身体障害 障害(補償)給付金 障害特別年金 障害特別支給金
1. 両眼が失明したもの
2. そしやく及び言語の機能を廃したもの
3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
5. 削除
6. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
7. 両上肢の用を全廃したもの
8. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
9. 両下肢の用を全廃したもの
当該障害に存する期間1年につき給付基礎日額の313日分(年金) 算定基礎日額の313日分(年金) 342万円
1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になつたもの
2. 両眼の視力が0.02以下になつたもの
2-2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2-3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
同277日分 同277日分 320万円
1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になつたもの
2. そしやく又は言語の機能を廃したもの
3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5. 両手の手指の全部を失つたもの
同245日分 同245日分 300万円
1. 両眼の視力が0.06以下になつたもの
2. そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力を全く失つたもの
4. 1上肢をひじ関節以上で失つたもの
5. 1下肢をひざ関節以上で失つたもの
6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
同213日分 同213日分 264万円
1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になつたもの
1-2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1-3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
2. 1上肢を手関節以上で失つたもの
3. 1下肢を足関節以上で失つたもの
4. 1上肢の用を全廃したもの
5. 1下肢の用を全廃したもの
6. 両足の足指の全部を失つたもの
同184日分 同184日分 225万円
1. 両眼の視力が0.1以下になつたもの
2. そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
3-2. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が41センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
4. せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
5. 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
6. 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7.  1手の5の手指又は母指を含み4の手指を失つたもの
同156日分 同156日分 192万円
1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になつたもの
2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
2 の2 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
3. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4. 削除
5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6. 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失つたもの
7. 1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの
8. 1足をリスフラン関節以上で失つたもの
9. 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10. 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
12. 外貌に著しい醜状を残すもの
13. 両側のこう丸を失つたもの
同131日分 同131日分 159万円
1. 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になつたもの
2. せき柱に運動障害を残すもの
3. 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指を失つたもの
4. 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの
5. 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6. 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
7. 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8. 1上肢に偽関節を残すもの
9. 1下肢に偽関節を残すもの
10. 1足の足指の全部を失つたもの
給付基礎日額の503日分(1時金)
65万円
1. 両眼の視力が0.6以下になつたもの
2. 1眼の視力が0.06以下になつたもの
3. 両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6. そしやく及び言語の機能に障害を残すもの
6-2. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
6-3. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
7. 1耳の聴力を全く失つたもの
7-2. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
7-3. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
8. 1手の母指又は母指以外の2の手指を失つたもの
9. 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの
10. 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失つたもの
11. 1足の足指の全部の用を廃したもの
11-2. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
12. 生殖器に著しい障害を残すもの
同391日分 50万円
1. 1眼の視力が0.1以下になつたもの
1-2. 正面視で複視を残すもの
2. そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
3. 14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
3-2. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
4. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
5. 削除
6. 1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの
7. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
8. 1足の第1の足指又は他の4の足指を失つたもの
9. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
10. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
同302日分 39万円
1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3. 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
3-2. 1歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
3-3. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
4. 1耳の聴力が41センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
5. せき柱に変形を残すもの
6. 1手の示指、中指又は環指を失つたもの
7. 削除
8. 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
9. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
同223日分 29万円
1. 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2. 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3. 7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
4. 1耳の耳かくの大部分を欠損したもの
5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8. 長管骨に変形を残すもの
8 の2 1手の小指を失つたもの
9. 1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
10. 1足の第2の足指を失つたもの、第2の足指を含み2の足指を失つたもの又は第3の足指以下の3の足指を失つたもの
11. 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
12. 局部にがん固な神経症状を残すもの
13. 削除
14. 外貌に醜状を残すもの
同156日分 20万円
1. 1眼の視力が0.6以下になつたもの
2. 1眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
2-2. 正面視以外で複視を残すもの
3. 両眼のまぶたの1部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
3-2. 5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
3-3. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
4. 1手の小指の用を廃したもの
5. 1手の母指の指骨の1部を失つたもの
6. 削除
7. 削除
8. 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
9. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失つたもの
10. 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
同101日分 14万円
1. 1眼のまぶたの1部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
2. 3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
2-2. 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
3. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
4. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5. 削除
6. 1手の母指以外の手指の指骨の1部を失つたもの
7. 1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
8. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
9. 局部に神経症状を残すもの
10. 削除
同56日分 8万円

 

等級表は、厚生省の下記表を参照しています。

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-8-02.pdf

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-8-03.pdf

2. 労災の請求手続き

労災の請求手続きについて、業務災害の場合には、傷害補償給付支給請求書を使用します。

通勤災害の場合には、障害給付支給請求書を使用します。

傷害補償給付支給請求書の場合も障害給付支給請求書の場合も、それぞれ医師または歯科医師の診断書をもらって、管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。

 

また、障害(補償)年金の前払一時金を請求する場合には、障害(補償)年金前払一時金請求書を提出する必要があります。

受給権者の死亡によって障害(補償)年金と前払一時金との差額である差額一時金を支給する場合には、障害(補償)年金差額一時金支給請求書を提出する必要があります。

 

なお、障害(補償)年金のように、年金形式で受け取る給付については、1年に1回、生年月日ごとに年金の保険給付の受給権者の定期報告書を提出する必要があります。

 

支給申請をする時には、ケガや病気にかかった人が障害の認定日に労働基準監督署に行くときには、障害の状態が分かるようにレントゲン写真などを持っていく必要があります。

なお、請求書の提出の際に、医師の診断書を受けた時には、診断書料を支払います。ただし「療養補償給付の療養の費用請求書」または「療養給付たる療養の費用請求書を提出すれば、4000円までは払い戻しを受けることができます。

(1) 会社が労災に協力してくれない時

会社が労働災害の事実を申告しない、いわゆる労災隠しをしている場合には、不当な隠ぺい行為をしないように抗議する必要があります。この場合には、弁護士が会社に対し手続に協力するよう交渉をすることができますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

なお、会社が、治療や後遺障害のため働けなくなった労働者を解雇する場合、弁護士が使用者である会社と交渉することで解雇をしないよう交渉したり、補償を求めたりすることもできます。

このような交渉を行う場合には、まずは内容証明郵便で交渉を行うのが一般的ですが、必要となる書類や手続きは難解で煩雑なことが多いので、どのような書類が必要になるのか、内容証明郵便の文面はどのようなことを記載すればよいのかなどについて、あらかじめ弁護士に相談する方がよいでしょう。

(2) 会社に損害賠償請求する時

労災保険の給付だけでは、労働者の損害を十分に補償することができない場合がほとんどです。その場合、被災者は会社に対して労災とは別慰謝料等の損害賠償を請求できる場合があります。

近年、労災や職業病で会社に対して損害賠償請求する場合には、かなりの高額な損害賠償を請求するケースが増えています。

平成6年の三六木工事件では、判決認容額が1億6,524万円となっています(横浜地裁小田原支部平成6年9月27日)。

その理由としては、賃金が上がったこと、過労死・過労自殺などの事件が多くなったことが影響しているものとみられています。

ただ、裁判に至る前の和解で解決するケースも多く、その場合にはさらに高額な賠償額となっている可能性もありす。

会社が労災隠ししている場合も、会社に損害賠償請求する場合にも、重要なのは必要な証拠や書類を準備することと、一日も早く労災問題に詳しい弁護士に相談することです。

 

証拠としては、日記や業務日報、メモなどのほか、会社とのやり取りを録音したデータなどが効果的です。

もっとも個々の状況に応じて必要な証拠や書類は異なりますので、やはり早めに弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

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