マタハラ・ジェンダーハラスメント~セクハラとの違いとは

セクハラ
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マタハラ(マタニティ・ハラスメント)やジェンハラ(ジェンダー・ハラスメント)などのハラスメントは、セクハラと区別され問題視されているハラスメントの一種です。

これらの各種ハラスメントの被害者のなかには、休職、退職、深刻な場合には自殺に追い込まれる場合もあるのです。

ここでは、とかく混同されがちなマタハラ・ジェンハラとセクハラとの違いについてご紹介します。

1.ジェンダー・ハラスメントとは

ジェンダー・ハラスメントとは、女性社員だけにお茶くみをさせたり、「女性は早く退職して結婚するのが幸せ」などの発言をする行為のことをいいます。

「性的な表現」を含まない言動ではないので、男女雇用機会均等法でいう11条1項でいう「セクハラ」には該当しません。

通達(平成18年10月11日)でも「女性労働者のみにお茶くみなどを行わせること自体は、性的な言動には該当しない」と記載されていて、セクハラとは区別されています。

 

これはジェンダー(社会的・文化的意味合いから見た、男女の性区別)によるハラスメントと呼ばれるハラスメントの類型です。

(1)ジェンダー・ハラスメントの課題

ジェンダー・ハラスメントが男女雇用機会均等法でいうセクハラに該当しないからといって、問題にしないで良いというわけではありません。

このような差別的な考えがあたり前に行われるような職場では、女性差別の意識を生み出しますし、セクハラの温床になる可能性が高いといえるからです。

セクハラを未然に防ぐためにも、性差別による言動・行動は慎むよう職場で適切な対策をとることが大切です。

厚生労働省の平成25年改正では、性別役割分担意識に基づく行動(「男のくせにだらしない」「女には仕事は任せられない」などの言動)も、セクハラ発生の原因になりうるとして、企業に対して、このような言動を慎むよう労働者に周知することを要請しています。

ちなみに、国家公務員の場合には「セクシャル・ハラスメントをなくすために職員が認識すべき事項についての指針」が制定されています。

この指針では「異性を劣った性として見る意識をなくすこと」とし、セクハラになりうるものとして「女性であるというだけで、職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要すること」を記載しています。

 

つまり男女雇用機会均等法のセクハラに該当しない言動・行動でも、ハラスメントの一種として問題視していることが分かります。

2. マタニティハラスメントとは

マタニティハラスメントとは、妊娠・出産、産前・産後、育休などを理由とした不利益な取り扱いのことをいい、マタハラは男女雇用機会均等法および育児・介護休業法で規制され、事業主は職場におけるマタハラ防止措置を行うことが義務化されています。

たとえば、妊娠を理由として解雇することは無効となります(男女雇用機会均等法9条4項)。また、妊娠し、つわりなどで十分仕事が出来なくなったため、降格させる行為も、その行為が妊娠を理由としていることになりますので、不利益な取り扱いをしていると判断される可能性があります。

(1) マタニティハラスメントの課題

マタハラが社会問題となり、就業環境が改善される傾向は見せてきている者の、未だにマタハラの被害に遭って苦しんでいるケースは多々あります。

妊娠を理由とした降格や解雇は禁止されていますが、下記のような言動・行動もマタハラに該当する可能性がありますので、下記のような行為に悩んでいる場合には、早めにハラスメント問題に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。

 

* 妊娠や出産を理由に解雇された。降格された。契約を打ち切られた。

* 「妊娠は病気じゃないんだから、しっかり働け」などと言われた。

* 軽微な業務への転換について上司に相談したら「契約社員からパートになれ」と言われた。

* 残業・重労働などを強いられる職場に異動させられ、やむなく退職した。

3. 会社の責任は

マタハラは法律違反です。

男女雇用機会均等法第9条では、女性労働者の結婚・妊娠・出産すると退職する制度を禁止しています。また、女性労働者の結婚・妊娠・出産を理由とする解雇、降格、その他不利益取扱いを禁止しています。

 

ジェンダー・ハラスメントについては、それ自体を規制する法律はまだありませんが、前述したとおり、セクハラの温床となりかねないハラスメントであり、このような就業環境を放置している会社の姿勢が問題視される可能性は高いといえるでしょう。

 

(1) ハラスメントの対処法

ハラスメントの悩みは、なかなか他人には相談しづらいものです。「我慢した」「泣く泣く退職するしかなかった」という方がいるのも事実です。

会社の相談窓口に相談したくても、「とても、相談できるような雰囲気じゃない」「相談しても、状況が全く改善しなかった」というケースも多々あります。

 

そのような場合には、労働基準監督署・都道府県労働局総合相談コーナー・都道府県労働局雇用均等室などの相談窓口や、ハラスメント問題に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。

(2) 弁護士に相談するメリット

ハラスメント問題は、証拠が大変重要です。

また、「ハラスメントに該当するか否か」の判断が難しいケースも多々あります。

弁護士に相談すれば、「ハラスメントに該当するか」「証拠は何を準備すればいいか」「今後どのように対処すればよいか」など、細かくアドバイスをもらうことが出来ます。

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