セクハラ
セクシャル・ハラスメントとは職場内での性差別的な要素を含む言動や嫌がらせを言い、男性から女性、女性から男性、同性同士の場合もセクハラと認められます。定義が曖昧なため、セクハラに該当するかしないかは、受けた本人の判断次第となりますが、周りがその状況を明らかに不快に感じている場合にはセクハラに該当する場合があります。
2017.09.05

これがセクハラ!|飲み会のセクハラ事例

 

職場の飲み会で行われる行為がセクハラに当たる場合には、加害者や企業は法的責任を負います。飲み会ではつい気持ちが緩みがちになり、セクハラ行為が起こるケースが多々あります。

「酔っていた」と言えば許されるとでも思っているのか、女性の身体に無理やり触ろうとしたり、親睦を深めようと勘違いをして、プライベートな質問をズケズケとしてくる……こんなシチュエーションに思い当たる人も多いのではないでしょうか。

しかし職場の飲み会でつい羽目を外したとしても、セクハラは決して許される行為ではありません。

 

1.飲み会のセクハラ

職場での飲み会は、セクハラの温床である……と言っても過言ではないほど、セクハラの被害の悩みは、飲み会で起こったケースが多いものです。

 

飲み会でのセクハラで訴えられた加害者は、「飲み会でのジョークだ。相手も楽しんでいた」と本気で思い込んでいることも多く、被害者の訴えが理解できずに反論するケースもあります。

 

しかしもしその場で被害者がはっきりと拒絶の意思を示さなかった場合でも、被害者が不快に思い被害を訴えれば、セクハラ認定は成り立つ可能性があります。被害者と加害者の間に、上下関係や権力関係があればなおさらです。

 

なお、「飲み会は職場ではないのではないか」という方もいらっしゃいますが、「職場」という言葉は単に働いている場所というより、もっと広い範囲、例えば出張先や移動中の車内、接待の席、顧客の自宅などであっても、業務を遂行する場所であれば「職場」と解釈されますので注意しましょう。

 

ここではよくある「飲み会のセクハラ」について、ご紹介します。

(1)ボディタッチ

「デュエットしよう」などと言って肩に手を置いたり、不必要に胸や足を触る行為は、明らかにセクハラです。

「部下との交流をはかるために、必要なスキンシップだと思った」などという言い訳は通用しません。

部下との交流をはかるために、ボディタッチなどのスキンシップは必要ありません。

 

スキンシップは、家族や恋人などとの間で行われるのが通常であり、職場の人間と交流をはかるために用いられるべき交流手段ではありません。

(2) お酌させる

「女性だから」という理由でお酌をさせる行為も、セクハラに当たる可能性があります。労働省の「職場におけるセクシュアル・ハラスメント調査研究会報告書」によると、「接待でお酌を強要する行為」もセクハラに当たる可能性があると指摘しています。

 

なお、通達(平成18年10月11日 雇児発1011002号)では、女性労働者のみにお茶くみをさせる行為自体は性的な言動ではない」としています。このような言動は男女雇用機会均等法の11条1項でいう「セクハラ」には該当しませんが、「ジェンダーハラスメント(女らしさ・男らしさという評価軸から外れた行動や態度に対し非難すること)」に当たる可能性がありますが、いずれにせよ適切な行為ではありません。

(3) プライベートな質問

「いつ結婚するのか」「子どもを産め」などのプライベートな質問は、セクハラに当たります。

「飲み会で親睦を図ろうと思った」という人もいますが、前述したとおり、飲み会も職場の延長と解釈されますし、プライベートな質問をしたからと言って親睦が図れるわけもなく、むしろ相手に不快に思われればセクハラであって、親睦を深めるどころか、むしろ職場の信頼関係を崩しかねない行為です。

(4) 下ネタ

「下ネタを話す」という行為は、飲み会だから許されると思った……という人も多々いますが、それをその場にいた人が不快に感じるのであれば、セクハラに当たります。

飲み会でも職場の関係は続いているのです。いくら悪気がなくその場を和ませるつもりであっても、下ネタで交流を図ろうとする行為は慎むべきです。

2. 飲み会のセクハラ(裁判例)

これまで述べてきたように、セクハラは、職場においてよりもむしろ業務後の歓迎会や送別会、親睦会などの飲み会などで行われるケースが多々あります。

ここでは過去に裁判になった「飲み会でのセクハラの事例について、ご紹介します。

(1)カラオケボックスでキスをする

大阪セクハラ事件(大阪地裁 平成10年12月21日)では、加害者である上司は、二次会のカラオケボックスで女性社員を押し倒しキスしようとしたり、席の移動中に女性のスカートをめくろうとしました。

また、ソファに腰かけた女性社員の背後から胸をつかむなどの行為も行いました。

 

判決では、被告に対して、不法行為に基づく損害賠償を命じた他、会社に対しても使用者責任による賠償責任を命じました。

 

(2)慰安旅行で、胸の大きさを訪ねる

Y社電動機器販売会社事件(東京地裁 平成21年4月24日)では、慰安旅行の宴会において、女性社員数名に対して手を何度か握ったり肩を抱いたり、自分の膝に座らせるなどの行為をして、「胸が大きいな」等の発言等を繰り返しました。

 

会社は、加害者のこれらの行為を懲戒解雇事由の一つとして「職務、職位を悪用したセクハラ行為であるとして、懲戒解雇しました。

 

判決では、加害者の一連の言葉や行動は女性を侮辱する違法なセクハラであり、懲戒の対象となる行為であることを認めましたが、だからと言ってセクハラ加害者をいきなり懲戒解雇としるのは行き過ぎであるとして、セクハラ加害者に対し未払い賃金の支払いを命じています。

(3) 「男の人と何人とやった」と尋ねる

東京セクハラ(T菓子店)事件(東京高裁 平成20年9月10日)では、他の社員も同席する飲み会で、「店にいる男の人と何人やったんだ」「キスされたでしょう」「俺には分かる」などと、たたみかけて発言された行為がセクハラになると判断され、判決では会社に対し慰謝料50万円、逸失利益として給料6か月分の99万円、その他弁護士費用の支払いを命じました。

2. 飲み会でセクハラ被害に遭ったら

飲み会でセクハラ被害にあった場合には、場合によっては損害賠償請求や刑事告発をすることもできます。

飲み会でセクハラ被害に遭いながら、言い出せずにいる人もいますが、それこそがセクハラ加害者の思うつぼであり、黙っていればこれからずっと不快な飲み会が続いてしまう可能性もあるのです。

 

また、他の社員が新たな被害者になることも考えられます。

決して泣き寝入りせずに、そして一人で悩みを抱え込まずに早目に周りに相談しましょう。

(1) 不快という気持ちを示す

お酒の席には「雰囲気を壊してはいけないのではないか」という心理から、その場で拒否をするのを、ためらう人が多いのではないでしょうか。

その場合でも、席を離れたり、勇気を出して「辞めてください」と言葉に出してみましょう。もし、どうしてもはっきり言う勇気を持てないなら、その場からすぐ離れるようにしましょう。

(2) 信頼できる上司・同僚に相談する

もし不快だという気持ちを表すのが難しい場合には、信頼できる上司・同僚に相談するようにしましょう。

あらかじめセクハラの悩みを相談しておけば、ある女性がセクハラを受けた場合、すぐに上司や同僚が助け船を出してくれることもあります。

(3) ひどい時には弁護士に相談を

悪質なセクハラ加害者に対しては、損害賠償請求することができますし、加害者を刑事告発をすることもできます。

その場合には、証拠が何よりも重要となりますので、どのような証拠が必要かその証拠をどのように集めればいいのか、などは、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

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