セクハラ
セクシャル・ハラスメントとは職場内での性差別的な要素を含む言動や嫌がらせを言い、男性から女性、女性から男性、同性同士の場合もセクハラと認められます。定義が曖昧なため、セクハラに該当するかしないかは、受けた本人の判断次第となりますが、周りがその状況を明らかに不快に感じている場合にはセクハラに該当する場合があります。
2017.10.23

    セクハラ裁判~身体接触が問題となった事例

    セクハラに関する民事裁判例では、身体接触によるセクハラで労働者の就業環境が害される「環境型セクハラ事例」の事例が数多くあります。

    セクハラ加害者は民事上の責任を負いますが、身体接触が問題となった場合のセクハラ加害者は、民事上の責任だけでなく、刑事上の責任を負う可能性があります。

    ここではセクハラ裁判のうち、身体接触が問題となった裁判例についてご紹介します。

    1.セクハラの2つの類型

    セクハラは大きく分けて「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」に分類されます。

    「対価型セクハラ」とは、加害者が労働者の意に反する性的な言動を行い、これに対して労働者が拒否や抵抗したことを逆恨みして、労働者を解雇、降格、減給するなどするセクハラのことをいいます。

    「環境型セクハラ」とは、労働者の意に反する性的な言動で労働者の就業安協が不快なものになり、能力の発揮に重大な悪影響が出るセクハラです。

    会社で労働者の胸、腰などをたびたび触ったため、その労働者のメンタルヘルスが悪化し、就業意欲が低下するなどの身体的接触によるセクハラは、この「環境型セクハラ」に該当します。

    2. 環境型セクハラ事例(身体的接触)

    過去の裁判例では、身体的接触が問題となったケースが圧倒的に多い傾向にあります。

    ここでは、身体的接触が問題となった裁判例をご紹介します。

    (1) 岡山セクハラ事件

    被害者:店長の女性 甲

    加害者:店舗統括責任者の男性 乙

    新規事業推進部部長 丙

     

    乙は、被害者甲の腰に手をまわしたり、膝を触ろうとしたり膝の上に座ろうとしました。また、被害者甲に下着を見せ、笑いながら「奥のものを見る」などの発言をしました。

    丙は、被害者甲が加害者乙のセクハラ行為を相談したところ、被害者甲のマンションまで送った際に家に上がり抱きついてキスをし、押し倒して下着の中に手を入れました。

    乙の行為は、性的不快感を与えるばかりでなく人格権を侵害するものとして、不法行為に該当すると判断されました。また、丙の行為も不法行為に該当するものの、自宅まで送った行為が職場の延長上とは判断されず、この点については、会社の使用者責任はないとされました(岡山地裁 平成14年11月6日)。

    (2) 横浜セクハラ事件

    被害者:営業所女性社員 甲

    加害者:営業所長 乙

    乙は、被害者甲と二人きりになった際に、肩を叩いたり、髪を触ったりしました。

    被害者甲が腰を痛めた際には、「私の手は人の手より熱いんだよ。どう?良くなってきた?」と言いながら、腰を触りました。

    さらに事務所内で被害者甲に抱き着き、首筋や唇にキスをして、作業着の中に手を入れ、胸腰を触ったりしました。

     

    加害者乙の行為は、部下である被害者甲と二人きりでいる時にあえて行った行為であり、女性の性的自由を侵害し人格権を侵害するとして、不法行為に該当すると判断されました(東京高裁 平成9年11月20日)。

    (3) 大阪セクハラ事件

    被害者:コミュニケーターである女性 甲

    加害者:ドライバー社員 乙

    加害者乙は、カラオケボックスで被害者である女性甲を押さえつけてソファーに押し倒し、倒れ込んだ被害者甲の上に乗りかかり、顔を近づけ、とっさに顔を手でふさいだ被害者甲の左手にキスをしました。

    そして、被害者甲の頬にキスをしたり、他の女性社員のスカートをめくろうとし、ブラウスの胸元のボタンをはずしました。

     

    加害者乙の一連の行為は性的嫌がらせであり、不法行為に該当すると判断されました(大阪地裁 平成10年12月21日)。

    (4) 消費者金融会社事件

    被害者:女性社員 甲

    加害者:上司課長 乙

     

    飲食店で食事をしている時に、加害者乙は、被害者甲の股や太もものあたりをなでまわし、自分の足を被害者甲の足に乗せようとして、「単身赴任は寂しい」「家で待っている愛人がほしい」などの発言をしました。

    別の食事会では、キスを強要したり抱きついたりして「やらせろ」などと発言をしました。

    加害者乙の一連の行為は性的嫌がらせであり、不法行為に該当すると判断されました(京都地裁 平成18年4月27日)。

    3. 裁判事例にみる慰謝料相場

    これまで述べてきたように、セクハラ行為といっても、セクハラ行為の回数、期間、頻度なども算定に影響しますので、慰謝料の相場はいくらと言い切るのは難しいといえます。

    ただし最近は、セクハラ慰謝料は、900万円、1100万円など高額なケースも増えてきました。

    セクハラの被害を訴えた女性社員らに対して、解任、降格、減給などの不利益な処分を行った岡山セクハラ事件では、合計3000万円強の慰謝料が認容されていて、今後も数千万円レベルの慰謝料が認められるケースが増えるだろうと予想されています。

    セクハラ裁判を起こすには

    悪質なセクハラに泣き寝入りをしてはいけません。

    セクハラの加害者には民事上の損害賠償を請求することが出来ますし、場合によっては刑事責任を追及することが出来ます。

    また、適切な措置を怠ったとして、使用者である会社などに対しても、損害賠償を請求出来ることもあります。

    セクハラの被害に遭い、慰謝料を請求したいと思っている時には、証拠の集め方や請求方法などについて、早目にセクハラ問題に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。

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