「残業代ゼロ法案」とは

残業代
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残業代ゼロ法案とは、簡単に言えば「量」より「質」に対して給料を支払うという考え方で、働いた時間より結果に対して給料を支払うという制度で、2016年春から企業の規模が年収1,075万円以上の労働者の一部に対してのみ施行されています。

一部のメディアや労働組合などからは、いくら働いても残業代の出ない「残業代ゼロ法案」と批判されていますが、この法案にはメリットもあります。

ここでは「残業代ゼロ法案」のメリット・デメリットのほか、対象職種、摘要するための条件などについてご紹介します。

1. 残業代ゼロ法案とは

一部のメディアや労働組合などからは「いくら働いても残業代がゼロの制度だ」と批判され「残業代ゼロ法案」と呼ばれていますが、正式名称は「日本型新裁量労働制」といいます。

この法案は簡単に言えば、「労働した時間ではなく成果で評価する」を目指した制度で、年収1,075万円以上で、職務の範囲が明確で高度な業務能力を有する労働の人を、残業代の支払い対象から除外することを目指した制度です。

つまり、残業代ゼロ法案の対象となった労働者は、労働時間の長短と関係なく成果だけによって給与額が決まることになりますので、普通の労働者が支払われている時間外・深夜・休日労働の割増賃金はすべて支給されないことになります。

そしてこの点がいくら働いても残業代が出ない、まるで「残業代ゼロ法案」と批判を受けるゆえんだといえます。

2. 残業代ゼロ法案の対象職種や年収

残業代ゼロ法案とは、「時間ではなく、成果で評価される働き方を希望する労働者」の意欲や能力を十分に発揮できるようにし、生産性を高めることを目的とした制度です。

 

残業代ゼロ法案の対象となるのは、開発・分析・研究などの高い専門能力を持つ人で年収1,075万円万円以上の人たちです。

 

具体的には以下の職種が対象とされています。

 

* 金融商品の開発業務

* 金融商品のディーリング業務

* アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)

* コンサルタントの業務(事業・業務の企画 運営に関する高度な考案又は助言の業務)

* 研究開発業務等

 

3. 残業代ゼロ法案を適用するための条件

残業代ゼロ法案を適用するための条件は、以下のとおりです。

この条件にあてはまる労働者に対しては、「1日8時間以上労働させた場合には割増した残業代を支払う」という法律を適用しないでもいいということになります。

ちなみにサラリーマンのうち、残業代ゼロ法案の対象となる人は、約4%程度といわれています。

 

また残業代ゼロ法案では、「賃金が減らないよう明記すること」と規定されていて、対象となった労働者の賃金が低くならないように、一応の配慮はされています。

 

* 使用者との間の書面(職務記述書など)による合意に基づき職務の範囲が明確に定められ、その職務の範囲内で労働する労働者であること。

* 対象労働者の年収は1,075万円であること。

* 本制度の対象となることによって賃金が減らないよう明記すること。

* 年少者(満18歳未満)でないこと。

 

4.残業代ゼロ法案のメリット

どんなに仕事しても残業代がゼロ……と批判されることの多い「残業代ゼロ法案」ではありますが、以下のようなメリットもあるといわれています。

 

* 出社や退社の時間を自由に決められるので、時間を気にせず仕事ができて、業務と育児や介護などを両立することができる。

* 労働した時間ではなく成果を上げている人が評価されるようになるので、残業代目当てにダラダラと残業をしていた人の方が、時間をかけずに仕事できる人よりも、賃金が低いという矛盾を解消することができる。

* 成果が上げることができるようになれば、早く仕事を終えることができるので、生産性アップにつながる。

* 「残業代が出ないなら仕事を早く終わらせよう」というモチベーションアップにつながる。

 

5. 残業代ゼロ法案のデメリット

残業代ゼロ法案のデメリットとしては、「サービス残業が横行し、ブラック企業の温床になってしまうのではないか」「従来より評価基準が厳しくなるのではないか(ノルマが増えるなど)」といった点のほか、以下のような点を指摘されています。

 

* 希望しない労働者には制度は適用されないとされているが、現実には上司と部下の関係があるため、上司から申し出があれば、断ることができないのではないか。

* 「仕事が終われば早く帰れる」という建前だが、日本の職場環境は「終わらない人を手伝う」風潮にあるため、実際には自分の仕事が終わっても帰ることができない恐れがあるのではないか。

* 使用者との間の書面(職務記述書など)による合意を交わすことになっているが、職務の範囲が曖昧だと、業務の範囲が限りなく広がってしまうがそれを労働者に確認させるのは酷ではないか。

* 現在は年収1,075万円以上とされているが、年収要件の引き下げによって適用が拡大され、将来的には年収400万円台や300万円台の労働者も対象となる可能性があるのではないか。

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