残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.07.20

管理職の未払い残業代を取り戻す方法

「管理職で役職手当がつくようになったから残業代はカットになる」などと言われ、労働者も残業代を請求できないと思い込んでいる場合があります。

これがいわゆる「名ばかり管理職」の問題です。

ここでは管理職と残業代問題についてご紹介します。

1.残業代不要の管理監督者とは

労働基準法41条では、「監督若しくは管理の地位にある者、または機密の事務をとり合う使い者は労働時間、休憩、休日についての規定を適用しない」ことを定めています。
労働基準法41条でいう管理監督者は、事業や業務の特殊性から働時間関連、休憩関連、休日関連に関する労働基準法の規定を適用しなくても、保護されないというわけではないとされているためです。

しかしなかには、どう考えても「労働基準法の管理監督者」に該当するとは思えないケースもあります。
これがいわゆる「名ばかり管理職」の問題です。

(1) 労働基準法でいう「管理監督者」とは

労働基準法でいう「管理監督者」は、単に役職だけで判断されるべきではありません。
つまり「管理職」が当然労働基準法でいう「管理監督者」といえるわけではなく、管理監督者と判断する場合には、名称などにとらわれずに実態に即して判断すべきであるとされています。

労働基準法でいう「管理監督者」であるか否かについて、労働基準法などで具体的に定めた規定がありませんが、裁判例などから見て、以下の点が判断のポイントになるとされています。

* 事業主の経営に関する決定に参加し、労務管理を行う地位にあり指導監督権限を認められている者であること
→過去の裁判例では、肩書やなどの役職の名称は重視されず、管理監督者であるかどうかの判断は、実際の職務内容や権限で判断されています。

* 自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権をもっていること
→つまり出退勤や昼休みなどについて裁量権をもっていることが必要です。

* 一般の従業員と比較して、その地位と権限にふさわしい賃金上の処遇が与えられていること
→過去の裁判例では、月給40万円という給与額は労働時間等の規制を受けるほど優遇されているとまではいえないとしています。
ですから、もしもらっている給与が不相応に低い場合には、そもそも管理監督者ではないといえると思っていてよいでしょう。

(2) 管理監督者に適用除外となる規定

管理監督者は、以下の労働基準法の適用から除外になると規定されています。

* 労働時間関連
労働基準法の32条ないし32条の5で規定されている労働時間、36条で規定されている時間外労働についての協定、40条の労働時間及び休憩の特例、60条の年少者の労働時間の制限
* 休憩関連
労働基準法34条の休憩、40条の労働時間及び休憩の特例

* 休日関連
労働基準法35条の休日、33条の災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等、36条の休日労働についての協定

2. 増える「名ばかり管理職」の問題

「名ばかり管理職」の問題は、以前から問題になっていましたが、某ファーストフードチェーン店長事件以降「労働基準法でいう管理監督者の範囲がかなり狭い」ということが世の中に広まったことから、改善されるケースも増えてきました。

この某ファーストフードチェーン店長事件の裁判以降、多くの店長から未払い残業代の請求をされることになり、1年で10億円以上の残業代の支払いを行った飲食店チェーンもあります。

(1) 管理職でも割増賃金を請求できることも

これまで述べてきたように、どうみても労働基準法の管理監督者とは判断できない場合まで「管理監督者なので、適用除外である」として残業代がカットされているケースは多々あります。
係長や課長程度の管理職や、チェーン店の店長などは、労働基準法上の管理監督者に該当するとはいえませんし、管理監督者であるという主張を立証する責任は会社側にあるので、ほとんどのケースで割増賃金を請求できます。
管理監督者の範囲をしっかり把握して、未払いの賃金を取り戻しましょう。

(3) 深夜割増賃金は請求できる

前述したとおり、管理監督者は、労働時間関連、休憩関連、休日関連に関する労働基準法の規定から除外されています。
しかし労働基準法では「深夜業(深夜労働)」は、労働時間とは区別されていて、労働時間に深夜業は含まないとされています。
ですから仮に管理監督者であると判断される人でも、深夜労働した場合には、原則どおり深夜労働の割増賃金を請求することができます。

ただし過去の裁判例では、「労働協約、就業規則その他によって深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には、その額の限度では深夜業の割増賃金を支払う必要はない」としています(ことぶき事件 昭和63年3月14日)。

管理監督者が深夜業の割増賃金を請求したい場合には、あらかじめ労働協約、就業規則について確認するようにしましょう。

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