残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.08.05

残業代が出ないのは「違法」か

労働基準法は、原則として1日8時間、週40時間を超えた労働や休日や深夜の労働について、使用者に割増賃金の支払いを義務付けています。

この規定の本来の目的は、労働者の賃金を確保するためではなく、このような規制を会社側に課すことによって、労働者を長時間労働させないようにしているのです。

そして労働基準法では、残業代の不払いなど労働基準法に違反した行為について、罰則規定が設けています。

1. そもそも残業代とは

残業代に関する規制や罰則を知る前に、まずそもそも「残業とは何か」について、基本的な知識を押さえておきましょう。

労働基準法では「1日8時間、1週間40時間」を超えて労働してはならないとしています(32条1項2項)。この「1日8時間、1週間40時間」は法律で定められた労働時間で、「法定労働時間」といいます。

法定労働時間を超えて働いた場合の労働は時間外労働となり、これが法律上の残業に当たります。

 

上記の法定労働時間とは別に、就業規則や労働契約で定めてある労働時間を「所定労働時間」といいます。

この所定労働時間を超えて働く場合でも、それが「1日8時間、1週間40時間」の法定労働時間を超えていない場合には、法律上の時間外労働には当たらないので、法律上は、割増賃金を支払う必要はないということになります。

もちろん就業規則などで「所定労働時間を超えた場合は残業代を支払う」と定めている場合には、会社側に法律上の支払い義務がなくても、労働者は社内的には残業代を請求することはできます。

(1) 残業に必要な三六協定

そもそも会社が従業員に法定労働時間を超えて働いてもらうためには、労働基準監督署に三六協定を届けておく必要があります。

「三六協定」とは、残業や休日労働を行う場合に必要な手続で、正式名称を「時間外・休日労働に関する協定届」といい、労働基準法の36条に定められていることからそう呼ばれています。

「三六協定」は、従業員の過半数で組織する労働組合か、もしくは従業員の過半数を代表するものの署名が必要となります。

 

三六協定を提出しないで、法定労働時間を超えて労働させる行為は違法となります。

(2) 職務手当と残業代の問題

職務手当とは、特定の職務を行う社員に対する特別賃金のことですから、職務手当と残業手当は、まったく別のものです。

 

職務手当に残業代が含まれるとするためには、就業規則等で「役職手当は残業代に充当する」等の記載をする必要があります。

ただし就業規則でそのように定めていた場合でも、その役職手当を超えた分については、残業代を請求することができます。

(3) みなし労働と残業代の問題

みなし残業とは、営業職など上司がその労働者の労働時間を把握できない場合に、賃金や手当の中に、あらかじめ一定時間分の残業代が含まれるとみなす制度です。

 

しかし、みなし残業として固定の残業代が支払われていても、実際に行われた残業代の方が、その固定の残業代の額を超えた場合には、その超えた分について、企業は別途残業代を支払わなくてはなりません。

 

そして、みなし残業手当より実際に行われた残業が少なくても、定額のみなし残業手当は支払わなくてはなりません。

(4) 名ばかり管理職と残業代の問題

労働基準法第41条では、次の労働者には労働基準法で定める労働時間、休憩、休日の規定が適用されない、つまり残業代の支払い義務などがないとしています(深夜、年次有給休暇に関する適用はあります)。

 

実際には、管理監督者とは到底言えないようなケースでも「管理職だから残業代は出ない」という会社は、非常に多いのが実情です。

 

「係長になって役職手当は3万円増えたが、残業代が全額カットになったので給料が下がってしまった」という例は、あちこちでよく聞く話です。

実際、会社が残業代をカットするために役職を与えるというケースもあります。

 

このような「名ばかり管理職」の問題は、マクドナルド店長訴訟で一躍表面化しました。マクドナルドの店長が、管理職を理由に残業代を支払わらないのは違法だとして、訴えを起こしたのです。

 

裁判の結果、会社はマクドナルドの店長を「名ばかり管理職」だったと認めて、2年分の未払い残業代など約1000万円を支払うことで和解が成立しました(日本マクドナルド事件・東京高裁・平成21年3月18日)

2. 残業代不払いの罰則

残業代が発生しているにも関わらず残業代を支払わなければ、それは労働基準法違反に当たり、労基法119条で6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金刑に処される場合もあります。

 

また、労働基準監督署によって捜査・送検されたり、場合によって逮捕されることもあります(労基法101条、102条)。

3. 不払い賃金に泣き寝入りしない!

会社の利益は「売上-(引く)経費」で決まりますので、人件費を抑えたいと会社が考えるのは、ある意味当然です。

しかしだからと言って、労働者を無制限に残業させることは許されませんし、みなし労働や職務手当によって、変動コストを固定コストにして利益を上げようとする考えは、間違っていると言わざるをえません。

 

労働者が、会社の利益を上げるために犠牲になる必要はありません。積み重なっている未払いの残業代を請求しないまま、泣き寝入りをする必要はないのです。

実際に働いた自分自身の賃金をしっかり取り戻しましょう。

 

 

残業代などの賃金の請求権には消滅時効があり、2年で時効にかかってしまい、請求できなくなってしまいます。

もし今、請求すれば取り戻せるという未払い残業代があるなら、請求ができなくなってしまう前に、ぜひ早めに弁護士に相談しましょう!

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