残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.08.11

残業代ゼロ法案のメリット・デメリット

 

「残業代ゼロ法案」とよばれていますが、正式名称は「日本型新裁量労働制」といい、「働いた時間より結果に対して給料を支払う」ということを目的にした制度です。

「いくら働いても残業代の出ない」「いくら長時間働いても、ノルマをこなせなかったり成果が少なければ、残業代も深夜割増賃金も支払われない」と一部メディアや労働組合から批判され、「残業代ゼロ法案」と呼ばれるようになりました。

ここでは「残業代ゼロ法案」のメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

1. 残業代ゼロ法案の内容

残業代ゼロ法案とは、2015年4月3日に閣議決定された制度で、正式名称を「日本型新裁量労働制」といいます。

この制度は簡単にいえば、労働規制を緩和し労働時間の規制を適用せず「働いた時間ではなく、労働の質で給料を払う」ことを目的とした制度です。

(1)なぜ「残業代ゼロ法案」と呼ばれるのか

この法案は「働いた時間より結果に対して給料を支払う」ことを目指しているので、一部メディアや労働組合からは、「いくら働いても残業代の出ないではないか」と批判され「残業代ゼロ法案」と呼ばれるようになりました。

つまりこの制度が開始すれば、一部の労働者は成果で評価されるようになるので「どんなに残業をしても残業代がもらえなくなる」ようになるのです。

 (2)残業代ゼロ法案には年収制限がある?

残業代ゼロ法案はすべての労働者が対象となるわけではありません。

残業代ゼロ法案の対象となるのは、年収が1,075万円以上で、金融商品の開発、金融商品のディーリング、アナリスト(企業・市場等の高度な分析業務)、コンサルタント(事業・業務の企画 運営に関する高度な考案又は助言の業務)、研究開発など高度な専門的知識を必要とし、労働時間と成果との関連性がそれほどない労働者のみとされています。

(3) 残業代ゼロ法案に適用条件があるか?

残業代ゼロ法案を適用するには、前述した年収・職種に限定されているほか、以下のような条件が必要とされています。

 

* 使用者との間の書面(職務記述書など)による合意に基づき職務の範囲が明確に定められ、その職務の範囲内で労働する労働者であること。

* 本制度の対象となることによって賃金が減らないよう明記すること。

* 年少者(満18歳未満)でないこと。

2. 残業代ゼロ法案にもメリットはある?

批判されることの多い残業代ゼロ法案ではありますが、残業代ゼロ法案にはメリットもあります。

(1) 仕事の生産性がアップし自由になる時間が増える

残業代ゼロ法案は成果を重視するので、業務が終われば時間に縛られずに帰宅することができ、介護や育児と仕事を両立しやすいというメリットがあります。

また効率の良く業務をこなすようになり、生産性の向上に結びつくのではないかという期待もされています。

(2) 成果と無関係に労働時間で給料が決まる労働の矛盾の解消

これまでは成果と関係なく労働時間外の労働については、残業代を支払わなければならず、ダラダラと残業をしていた人より、効率よく業務をこなしていた人の方が給料が安いという矛盾が生まれていました。

残業代ゼロ法案は、このような「成果ではなく労働時間によって給料が決まるという不公平感」を改善するのではないかという期待がされています。

3. 残業代ゼロ法案のデメリットは?

残業代ゼロ法案は「いくら働いても残業代の出ない」と批判され「残業代ゼロ法案」と呼ばれるようになったように、いくつかのデメリットが指摘されています。

(1) 対象となる労働者が広がる可能性

現在は年収1,075万円以上の労働者が対象とされていますが、将来的には年収400万円台や300万円台の労働者など対象となる労働者が広がる可能性もあります。

つまり長時間働いても、仕事の質が低かったら残業代が支払われず、賃金が低くなってしまう可能性があるのです。

(2) サービス残業が増える可能性

「時間ではなく成果」に対して給料が支払われるようになると、会社が労働者に対してノルマを強化する可能性もあります。そのため給料をもらうためには高いノルマをこなさなければならず、サービス残業が横行するなど過酷な労働条件となるのではないかという懸念があります。

(3) 希望者のみとされているが……

残業代ゼロ法案は、上司と部下が面談したうえで希望した労働者のみ適用されるとしていますが、現実には上司と部下の関係があるため断りづらいのではないかという指摘もされています。

また使用者との間の書面(職務記述書など)による合意を交わすことになっているが、労働者自身にその記述書を精査させる負担をかけるうえに、職務の範囲が曖昧だと、業務の範囲が限りなく広がってしまうという懸念もあります。

(4) 長時間労働の拡大につながりかねない

「働いた時間ではなく、成果で賃金を払う」といいながら細かい規定がないことから、長時間労働の拡大につながりかねないのではないか、と懸念されています。つまり成果を出せばいつ帰宅してもいいと言いながら大げさい言えば、休日も休暇も泣く24時間働かせることを可能にするのではないかという意見もあります。

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