残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.08.12

残業代が出ない会社とその理由

 

割増の残業代は、会社にとっては計算外の人件費です。

そのため「みなし労働」や「職務手当」を支払うことにして、変動コストを固定的なコストにして、残業代を支払わないとする会社が多く存在します。

しかし残業代を支払わならいことにして、会社の利益を多くしようという考え方は、やはり間違っています。

ここでは、みなし労働や役職手当で残業代が出ないと言われた場合の対処方法などについてご紹介していきます。

1. 残業代不払いの隠れみの

時間外労働とは、労働基準法では1週間に40時間、1日で8時間を超える分の労働で、これは「法律上の残業」に当たります。

(1) みなし労働

営業職など会社の外で仕事することが多く、上司の目が直接届かない業務の場合や、研究開発業務、企画業務など労働者個人の自由裁量の余地が大きい仕事をしている人たちは、労働時間で管理するのが合理的でない場合があります。

このような仕事をしている労働者について、労働基準法38条の2第1項では、時間外労働算定のための時間外計算を行わず、労働時間を一定時間労働したものとみなすこととしています。これが「みなし労働」です。

 

このみなし労働を適用するためには、出勤時間や退社時間、昼休みの時間などについて、すべて労働者自身が決めている実態が必要です。

労働の一部が事業場外で行われていても、残りの一部を事務処理など事業場内で行われる場合は、事業場外の労働の部分についてのみ「みなし計算」の対象となることになります。

 

みなし労働とされている場合でも、実際には出勤時間も退社時間も決められていて、営業から会社に戻って、事務処理などを毎日3時間も4時間もしているのに、「みなし労働だから残業代は支払わない」としているケースが大変多いのが現実なのです。

(2) 職務手当

職務手当とは、基本給とは別に会社が必要とする特別な職務を行う社員に対する特別賃金のことです。

「職務手当を支払っているから残業代は支払わない」としている会社がいますが、職務手当と残業手当は、まったくの別物で、本来職務手当はその職務に対して特別に支給されるものなのです。

そして残業代は、実際に働いた時間が所定労働時間もしくは法定労働時間を超えた時に割り増して支払われるものです。

 

ただし給与規定に「職務手当の一部に残業手当が含まれている」と明記されていて、その額が実際に行った残業代の平均を上回っている場合には、違法ではありません。

 

しかし実情は残業代部分の定額が示されていなかったり、示されていても実際の残業代を大きく下回っているケースが多々あります。このような場合には、その差額を残業代として請求することができます。

(3) 名ばかり管理職

労働基準法41条では、残業代が不要とされている管理監督者を「監督若しくは管理の地位にある者、または機密の事務を取り扱う者は労働時間、休憩、休日についての規定を適用しない」と定めています。

 

ここで「管理監督者とはどういう立場か」が問題になりますが、労働省の通達によると「部長や工場長など労働条件の決定やその他の労務管理について、経営者と一体的な立場にある者」とされています。

 

ですから部長、店長、工場長など、単に会社組織における管理職であるだけでは、労働基準法が定める管理監督者の要件を満たさないケースがほとんどです。

 

あるコンビニエンスストアの元店長の訴訟では、入社後9ヶ月で「店長」になったとたん、店員時代より大幅に給料が下がり、しかも労働時間が大幅に増加したという事例がありました。

訴訟では、残業代カットの手段である「名ばかり店長」であったことを認め、店長を管理職扱いして残業代を支払わないのは違法として、計約450万円の未払い残業代と慰謝料を支払うよう命じました。

2. 残業代を請求する方法

前述したようなケースでは、残業代を請求できる場合があります。

未払いの残業代は、実際に残業した人の賃金として、自分の収入としてしっかり請求していきたいものです。

(1) まずは残業代を計算する

残業代を請求する場合には、まず残業代を正確に計算する必要があります。

残業代は実際に支払われる賃金から、家族手当、通勤手当などの諸手当などを除外したものが対象とします。

割増率については、下記のとおり労働する時間帯によって異なります。

 

* 法定労働時間を超えた労働

基礎時給の25%割増(基礎時給×1.25)

 

* 法定休日の労働

基礎時給の35%割増(基礎時給×1.35)

 

* 深夜労働(午後10時から翌午前5時まで)

基礎時給の25%割増(基礎時給×1.25)

 

なお法定労働時間を超え且つ深夜労働する場合には、法定労働時間外労働25%+深夜労働25%と計算し、基礎時給の50%割増の割増率となります。

同様に法定休日且つ深夜労働する場合にも、法定休日労働%+深夜労働25%と計算し、基礎時給の60%割増の割増率となります。

(2) 労働基準局に相談する

労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社を是正し、民間企業に労働基準法を遵守させる役割を担っていて、賃金の不払いや労働時間に関する相談も受け付けています。必要な助言や指導、あっせんを行ってくれることはありますが、残業代の支払いまで命じてくれる強制力はありません。

(3) 弁護士に相談する

弁護士が介入することで、まず会社側の対応が変わります。

弁護士が法的知識に基づいて正当な主張を行い、労働基準法に基づいて計算した残業代を示すことで、会社側も裁判に至るのを避け、支払いに応じるケースは多々ありますし、

弁護士名で内容証明郵便を送付するだけで会社側の態度が一変することもあります。

 

また、弁護士が介入し煩雑な交渉を全て代行させて頂くことで、精神的なストレスも軽減されますので、弁護士に相談するメリットは非常に高いと言えるでしょう。

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