残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.07.31

残業代請求の時効は2年間!時効を中断させる方法とは

残業代などの賃金の請求権の消滅時効は、2年です。

つまり2年経つと未払いの残業代があっても、時効により請求することができなくなってしまうわけです。

ですから時効が迫っている場合はとくに、配達証明つき内容証明を送付し「未払い残業代があること」「その総額が○○円であること」などを会社に通知するなどして、時効の進行が阻止するために「時効の中断」をする必要があります。

ここでは残業代請求の時効を中断し、未払いの残業代を請求する方法をご紹介します。

1.残業代請求の時効は2年

労働基準法第115条では、「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する。」と規定しています。

つまり残業代などの賃金請求権の消滅時効は、請求できる時から2年経過すると、請求権が消滅してしまい、未払いの残業代があっても取り戻すことができなくなる可能性があるのです。

そこで、時効がきて権利がなくなってしまう前に、内容証明郵便により支払い請求の意思表示(催告)を行い、時効の進行を阻止する必要があります。これを「時効の中断」といいます。

(1) 毎月の給料日が時効

よく残業代の時効の起算点を「退職した時」と勘違いしている人もいますが、残業代などの賃金請求権の時効の起算点は、一般的に「具体的に権利が発生したとき」とされていて、この「具体的に権利が発生したとき」とは、残業代の場合には「賃金の支払い日」となります。

 

つまり請求しないでいると、毎月毎月の給料日に2年前の賃金が消滅してしまっているということになります。

ですから請求すれば取り戻せる未払いの残業代があるのであれば、消滅時効にかかって請求できなくなってしまう前に、ぜひ行動を起こしましょう。

 

2. 2年の時効が適用されない「例外」

前述したとおり、残業代などの賃金の請求権は2年の時効がありますが、例外的に以下の場合には、2年以上前の分について請求できるとされています。

* 不法行為による場合

* 使用者(会社)が支払義務を認めたような場合

* 時効を中断した場合

(1)不法行為による場合

2年間の消滅時効が完成している場合でも、不法行為による損害内相請求として請求してそれが認められた場合があります。(杉本商事事件・広島高判・平成19年9月4日)。

損害賠償の時効は3年なので、通常の残業代請求より1年分多く請求することができることになります。

(2) 使用者(会社)が支払義務を認めたような場合

時効の期間が過ぎた後でも、会社(使用者)が給料の支払義務を認めたような場合には、会社側はその後「やはり時効がかかっていたから、払わない」とは言えなくなります。

(3) 時効を中断した場合

時効の期間が経過するよりも前に、労働者が内容証明郵便により「支払い請求の意思表示(催告)をしたうえで半年以内に裁判などで未払い残業代を請求した場合には、時効が中断します。

3. 時効を中断する方法と請求手順

時効を中断し未払いの残業代を請求するためにはまず、内容証明郵便を送付するなどして過去の未払い残業代の請求権の時効を中断させましょう。

早めに弁護士に相談するようにして、以下の時効を中断する方法について検討することをおすすめします。

(1) 内容証明郵便を送る

内容証明郵便を相手方に送付するのは、未払いの残業代を請求するための、法的手段の第一歩です。

内容証明郵便とは、いつ誰が誰宛てに、どのような内容の文書を差し出したかを、日本郵便が証明するものです。

とくに弁護士名で内容証明郵便を送付するのは、相手へのプレッシャーという意味で大変効果があります。

内容証明には「未払い残業代があること」「その総額がいくらになっているか」「すでにその事実を通知しているのに未だに回答がない事実」「そのうえで改めて内容証明で請求していること」を伝えることが大切です。

内容証明は「未払いの残業代を支払ってください」というお願い状というわけではないので、余計なことは書かずに法律用語などの使い方についても、十分注意する必要があります。

ですから、可能であれば送付前に弁護士に相談することをおすすめします。

(2) 労働基準監督署に申告する

労働基準監督署に相談する勇気が出ないまま、残業代が消滅時効にかかってしまう……というケースも非常に多くみられます。

 

しかし未払いの残業代があるにも関わらず請求しないまま、サービス残業をしていることが分かっていて泣き寝入りしてしまうと、あとから入ってくる後輩も同じようにサービス残業を強いられることになってしまいます。

未払いの残業代があることを労働基準監督署に申告しても、それを理由に会社が給料引下げ(賃金カット)、解雇、退職強要するなど、労働者を不利益に扱うことは違法とされていますので、弁護士に相談して十分な証拠、必要書類など準備してから、労働基準監督署への申告を検討してみてもよいでしょう。

 

ただし、労働基準監督署に相談、申告をして公的機関のあっせん、指導してもらっても、強制力がないため、ブラック企業だととくに「以後気を付けます」と言うだけで状況は変わらず、未払い残業代についても支払ってもらえず、放置されてしまう可能性もあります。

(3) 弁護士に相談する

前述したとおり、労働基準監督署のあっせん、指導には強制力がありません。また是正するように指導を行ってくれますが、未払いの残業代を支払うよう命令してくれるわけではなりません。

 

労働基準監督署に行っても、「まずは当事者で解決するよう言われた」「有益なアドバイスがもらえなかった」というケースも稀にあります。

 

弁護士に早めに相談すれば、煩雑な残業代の計算はもちろん、必要な証拠のアドバイス、内容証明郵便の作成、会社との交渉などを迅速に開始してくれます。

 

前述したとおり、弁護士名の内容証明郵便は相手へプレッシャーを与えるという意味で、大変効果があります。

「後の審判・訴訟を回避したいから、早期解決しよう」と会社が残業代の支払に応じるケースもあります。

 

また弁護士が介入することの大きなメリットのひとつとして、相手方と直接交渉する必要がなくなり、精神的ストレスから解放される……という点があります。

 

残業代を支払わない会社はブラック企業であることも多ですし、交渉相手が上司である場合もあり「上司を目の前にしただけで、委縮してしまって言いたいことも言えない」……という場合もあるでしょう。

弁護士に介入してもらえば、以降弁護士が窓口となるので、このような精神的なストレスは大幅に軽減されるはずです。

 

もういちど繰り返しますが、残業代の時効は2年です。

会社と直接交渉する場合にも、審判・訴訟などの手続きをとる場合にも、タイムカードや給与明細など、必要な証拠を揃えるためにはそれなりの時間が必要ですし、そうしているうちに、毎月の時効は迫っていることになります。

1日も早く弁護士に相談して、時効を中断するための手続きなどについて相談することをおすすめします。

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