残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2018.03.31

変形労働時間の残業代はどうやって考える?変形労働時間制を理解しましょう!

変形労働時間制という言葉を聞いたことがありますか?

労働時間の基本「1日8時間、週40日」というルールを月や年単位で設定する制度です。

変形労働時間制が導入されている場合、時間外労働の時間はどのように考えればよいのかご紹介します。

1.変形労働時間制とは

労働時間の基本は法律の定める『1日8時間、週40時間』という法定労働時間となります。変形労働時間はこの労働時間の単位を1日ではなく、月や年単位で設定することを言います。

(1)1ヶ月単位の変形労働時間制

1ヶ月単位の変形労働時間制の場合、まずは法定労働時間以内で就業時間を定める必要があります。

基準となる法定労働時間は下記の通りです。

1か月の単位の変形労働時間の基準となる法定労働時間

上記の法定労働時間に収まるように、日毎もしくは週の労働時間を設定します。

(2)1年単位の変形労働時間

1年単位の変形労働時間は、正確には1ヶ月以上、1年未満で労働時間を設定することを言います。

この場合、年間の就業時間を設定する形となります。考え方は1ヶ月単位の変形労働時間と同様で年間の法定労働時間以内で就業時間を定める必要があります。

基準となる法定労働時間は下記の通りです。

1年単位の変形労働時間の基準となる法定労働時間

1年単位の変形労働時間の場合には、休日の設定など細かな規定が定められています。上記の労働時間と以下の規定を元に、企業毎に就業規則を定めます。

1年単位の変形労働時間に関する規定

2.変形労働時間の時間外労働とは

変形労働時間制の時間外労働の確認方法は、1ヶ月単位・1年単位でそれぞれルールが定められています。

(1)1ヶ月単位の変形労働時間制の時間外労働

1ヶ月単位の変形労働時間の時間外労働は、1日、1週間、変形労働時間制の全期間の3つのパターンでルールが定められています。1日単位の時間外労働を算出し、1日単位で算出された時間外労働を除き、1週単位の時間外労働を算出し、1日単位、1週単位で算出された時間外労働を除き、変形労働時間制の全期間の時間外労働を算出します。

◯1日単位の時間外労働

1日単位の時間外労働の考え方

上記の例のように、所定労働時間が8時間を超える場合、時間外労働の基準は所定労働時間となります。

一方、木曜日と金曜日のように所定労働時間が8時間未満の場合、時間外労働の基準は法定労働時間(8時間)となります。

◯1週単位の時間外労働

1週単位の時間外労働の考え方

上記の例のように、1週間の所定労働時間が40時間を超えている場合、所定労働時間を超えた部分が時間外労働となります。

一方、所定労働時間が40時間未満の場合には、法定労働時間(40時間)を超えた部分が時間外労働となります。

◯変形労働時間の全期間

1日単位、1週単位での時間外労働となる時間を除き、法定労働時間を超えて労働した時間は時間外労働となります。

例えば、1ヶ月の日数が28日の場合、160時間が法定労働時間です。

実労働時間が183時間、1日単位の時間外労働時間の合計が2時間、1週ごとの時間外労働時間が10時間の場合、183時間-(160時間+2時間+10時間)=11時間

変形労働時間の全期間の時間外労働は11時間となります。

(2)1年単位の変形労働時間制の時間外労働

1年単位の変形労働時間の場合も、1日単位、1週単位の時間外労働の考え方は1週単位の変形労働時間制と同様です。

所定が法定労働時間を超えている場合には、所定を超えた部分が時間外労働となり、それ以外は法定労働時間を超えた部分が時間外労働となります。

1ヶ月単位と異なる部分は「変形労働時間制の全期間」の部分です。

変形労働時間の全期間の時間外労働は下記の算出式を用いて計算します。

1週間の法定労働時間(40時間)×変形期間の週数

つまり、変形期間が4週の場合には、40時間×4=160時間となります。160時間から1日単位、1週単位で算出した時間外労働を引いた時間が変形労働時間制の全期間の時間外労働となります。

例えば、実労働時間が180時間、1日単位の時間外労働は2時間、1週単位の時間外労働が10時間の場合、180時間-(160時間+2時間+10時間)=8時間が時間外労働となります。

1ヶ月単位の時間外労働と同様に、3つの方法で算出された時間外労働に対して時間外手当が発生します。

2.変形労働制で誤って理解しているケース

変形労働制を導入している企業で、誤った理解をしているケースがあります。

残業代を計算し、請求するとしても変形労働制のルールをしっかりと理解しておく必要があります。以下のようなケースでは、ルールを誤って理解している可能性があります。

(1)会社の所定労働時間が法定労働時間を超えている

変形労働時間制は「1日8時間週40時間」という原則を変更することが出来る制度ですが、会社が設定する所定労働時間は法定労働時間内でなければなりません。

所定労働時間が法定労働時間を超えている場合には、その部分は時間外手当の対象となります。つまり残業代を支払う必要があると言うことです。

(2)所定労働時間は変動しない

例えば、昨日の所定時間は7時間、今日の所定時間が8時間だったとします。「昨日、8時間働いたから今日は7時間で帰ろう。昨日の残業分を相殺しよう!」という訳には行きません。

就業規則によって決められている所定労働時間を勝手に変更することは出来ないため注意しましょう。

(3)所定時間よりも早く帰ってしまったら!早退になることも。

変形労働時間制の時間外手当の考え方は、

変形労働時間の時間外の考え方の基本

が原則として時間外手当の対象となります。所定時間よりも早く退勤した場合には、早退扱いになることもありますので注意してください。

3.フレックスタイムや裁量労働制とは違うの?

変形労働時間制と同じように、法定労働時間(1日8時間)にこだわらない勤務形態として、「フレックスタイム制」や「裁量労働制」という働き方があります。

(1)フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、出退勤時間を自由に設定できる勤務形態として理解されている方が多いと思います。

正確には必ず出勤しなければならないコアタイムの前後にフレキシブルタイムを設け、

フレキシブルタイムの範囲内であればいつ出退勤しても良いという形になります。

フレックスタイム制は管理等が難しくなり、労使協定にて内容をしっかりと定めておく必要があります。フレックスタイム制も基本的には所定労働時間を定めて管理します。

(2)裁量労働制

裁量労働制は専門業務型、企画業務型など1日8時間という枠で仕事内容の判断をつけることが難しい人が対象となる制度です。

裁量労働制では労使協定によって「みなし労働時間」を定めます。

裁量労働制に関しては下記に詳しく記載していますのでご確認ください。

裁量労働制は労働者にとって損?得?裁量労働制とはどんなものかを知ろう

まとめ

変形労働制は、「1日8時間週40時間」という法定労働時間通りの勤務形態と異なり、時間外労働の考え方などが少し複雑です。

しかし、ルールを理解してしまえば、どのような状態が時間に該当するかわかるようになります。変形労働時間だから残業代はわからないと諦めず、働いた分の賃金はしっかりと貰うようにしましょう。

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