残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.07.20

残業代を計算する時に除外する手当とは

会社が労働者に時間外労働、深夜労働(原則として午後10時~午前5時)をさせた場合には、1時間当たりの賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

また法定休日に労働させた場合には1時間当たりの3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

この1時間当たり賃金を計算するときには、家族手当、通勤手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金などの手当は含まずに計算します。

ここでは、残業代を計算する時に除外される手当や計算方法についてご紹介します。

1.割増賃金とは

残業代(割増賃金)の計算方法の前にまず「残業とは何か」という点について知っておく必要があります。

まずひとくちに「残業」と言っていますが、実は残業には「法外残業」と「法内残業」の2種類あり、このうち法律上割増して支払わなければならないとされている残業とは、「法外残業」です。

そして割増賃金の支払が必要とされるのは、法外残業を含め、以下の3種類があります。

* 法外残業(時間外労働)

* 深夜労働

* 法定休日労働

(1) 法外残業(時間外労働)

労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定め、これを超えて時間外労働をさせる場合には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払う必要があるとされています。

先程、残業には「法外残業」と「法内残業」の2種類あると述べましたが、この割増賃金を支払う必要があるとされる残業がこの「法外残業」です。

これに対して「法内残業」とは、労働契約や就業規則などで規定されている労働時間を超えた残業のことです。

「法内残業」も社内的には残業と認められますが、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えていないので、法律上の残業には当たらず割増賃金を支払う必要はありません。

(2) 深夜労働

深夜労働とは、会社が労働者に午後10時から翌日午前5時までの間に労働させることで、深夜労働をした際には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払う必要があるとされています。

(3) 法定休日労働

労働基準法第35条では、使用者は労働者に対して最低でも1週間に1回以上の休日を与えなければならないと規定されていて、この法定休日に労働させた場合には、通常の賃金の3割5分以上の割増賃金を支払う必要があるとされています。

(4) 割増賃金が重複して発生する場合

たとえば、時間外労働が午後10時から翌日午前5時の深夜労働となった場合には、時間外労働と深夜労働の割増率の2割5分+2割5分を合算し、合計5割以上の割増賃金を支払う必要があります。

また法定休日労働が深夜労働となった場合は3割5分+2割5分を合算し、合計6割以上の割増賃金を支払う必要があります。

法定休日に深夜労働をさせた場合には、法定休日手当の割増率1.35と深夜手当の割増率1.25パーセントを合算しますので、3割5分+2割5分となり合計6割以上の割増賃金を支払わなければならないとしています。

ただし法定休日には法定労働時間というものが存在しません。

よって、法定休日に時間外労働をさせた場合には、休日労働に対する割増賃金と時間外労働に対する割増賃金は重複して発生することはありません。

2. 残業代の計算方法

残業代を計算する際には、残業代の計算方法を式で表すと、以下のようになりますので、まず「1時間当たりの賃金単価」を算出する方法があります。

1時間当たりの賃金単価×残業した時間×割増率

(1) 1時間当たりの基礎賃金を算出

残業代を計算する際には、給与体系が月給制や週休制であってもまず1時間当たりの賃金単価を求めてから計算する必要があります。

* 時間給制……時間給そのままの金額

* 日給制……日給を1日の所定労働時間数で割った金額

* 週給制……週給を1週間の所定労働時間数で割った金額

* 月給制……月給を1か月の所定労働時間数で割った金額

例えば月給制の場合には、まず1か月の平均所定労働時間を把握する必要があります。

1か月の平均所定労働時間は、以下の計算方法で算出します。

1か月の平均所定労働時間=(365-年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12

つぎに1時間あたりの賃金額を算出します。

1時間あたりの賃金額は、以下の計算方法で算出します。

1時間あたりの賃金額=月によって定められた賃金÷月平均所定労働時間

(2)割増賃金から除外可能な手当

なお割増賃金を計算するときには、この基礎賃金には労働者に支払われている給与をそのまま当てはめて計算すればよいものではありません。

支払われた給与からは、以下の諸手当は除外して計算する必要があります。

* 家族手当

* 通勤手当

* 別居手当

* 住居手当

* 臨時に支払われた手当(結婚手当など)

* 1か月を超える期間における賞与(賞与など)

家族手当、通勤手当、別居手当などが除外される理由は、これらの手当が労働内容や量とは無関係な労働者の個人的事情なものであり、同一時間の時間外労働に対する割増賃金額とするのが不合理だからです。

たとえば通勤手当の場合だと、遠くに住んでいる人の方が近くに住んでいる人より通勤手当は多く支払われているものですが、この通勤手当まで割増賃金の基礎賃金としてしまうと、遠くに住んでいる人の残業代の方が、近くに住んでいる人より多いことになってしまって不公平になってしまうからです。

ですから、たとえば住居手当が住宅費用や住宅の形態に関わらず、一定の額を支給しているような場合には、基礎賃金に含めてもよいこととされています。

このことは通勤手当や家族手当の場合も同様です。

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