残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.08.09

時給で働いている時の残業代の計算方法

労働基準法37条1項では「使用者(※会社)が労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内で、それぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と規定しています。

つまり時間外労働、すなわち法律上の「残業」に対しては正社員・パートの区別なく、1.25倍の割増賃金を支払う必要があるとしています。

たとえば通常時給1000円で働く労働者の場合には、時間外労働1時間につき、1250円以上の割増賃金を支払う必要があります。

1. そもそも残業とは

残業代の時給の計算方法について知る前に、まずそもそも残業とは何かについて知っておく必要があります。どこからが残業になるのかが分からなければ、残業代を計算する基礎となる数字が出せないからです。

(1) 法律上の残業

労働基準法32条1項・2項では、「1週間に40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない」と規定していて、これを「法定労働時間」といいます。そしてこの法定労働時間を超えて働いた場合が時間外労働、すなわち法律上の「残業」になります。

(2) 就業規則の残業

会社では通常、前述した法定労働時間とは別に、労働契約書や就業規則で労働時間を定めていて、これを「所定労働時間」といいます。

会社が定めた所定労働時間を超え、労働基準法で定められた労働時間以内の範囲で行われた残業は「法内残業」といいます。

法内残業も社内的には残業ですが、1日8時間、週40時間内であれば、法律上の「残業」ではないため、割増しとなる残業代を支払う義務はありません。しかし社内的には、残業代を請求できます。

2. 残業代の計算方法

残業代を計算する場合には、計算する基礎となる時給や除外する手当について知っておく必要があります。

(1) 基礎時給とは

基礎時給とは1時間当たりの賃金額のことです。

時間給の場合は、その時給金額がそのまま計算の基礎になります。

例えば普段1,000円の時給の人が法定労働時間を超えて働いた場合には、時給である1,000×1.25=1,250円の割増賃金が支払われることになります。

(2) 除外手当とは

残業代を計算する場合には、実際に支払われる賃金から諸手当などを除外したものが対象となります。

除外される手当は以下のとおりです。

 

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)
  7. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

3.割増時給の計算

割増時給については、「基礎時給×各残業時間帯における割増率」で計算します。

労働基準法では、深夜労働については通常の賃金の1.5倍の割増賃金を支払う必要があるとしているので、22時~明朝5時におよんだ残業に対しては1.5倍の割増賃金を支払う必要があります。

 

また22時以前の残業であっても、労働時間が週に60時間を超えた分については5割増で計算されます。

つまり例えば普段1,000円の時給の人なら、1,000×1.5=1,500円の割増賃金が支払われることになります。

 

 

(1) 各残業時間帯の割増率

各残業時間帯の割増率は以下のとおりです。

 

* 法定労働時間を超えた労働について

基礎時給の25%割増(基礎時給×1.25)

 

* 法定休日の労働について

基礎時給の35%割増(基礎時給×1.35)

 

* 深夜労働(午後10時から翌午前5時まで)について

基礎時給の25%割増(基礎時給×1.25)

 

* 法定労働時間を超え、且つ、深夜労働する場合について

基礎時給の50%割増(法定労働時間外労働25%+深夜労働25%)

 

* 法定休日、且つ、深夜労働する場合について

基礎時給の60%割増(法定休日労働25%+深夜労働25%)

 

例1:時給1,000円の労働者がある日の午前8時から深夜の10時まで14時間労働した場合

 

* 1,000円×8時間=8,000円……基本賃金

* 1,000円円×1.25×7時間=7500円……時間外割増賃金

* 1,000円×0.25×1時間=250円……深夜割増賃金

つまり8,000円+7500円+250円=15,750円以上の支払いが必要です。

 

例2:年間休日105日、1日の所定労働時間7時間で、時給1,000円、通勤手当が月額12,000円、精勤手当が月額10,000円の労働者が、月に110時間働いた場合

 

* 1,000円×110時間=110,000円……基本賃金

* 8,000円……精勤手当

* 12,000円……通勤手当

* 1,000円×1.25×6時間=7,500円……基本賃金の時間外割増賃金

* 1,000円×0.25×1時間=250円……基本賃金の深夜割増賃金

 

※通常であれば通勤手当は賃金から除外して計算するので、割増賃金を計算する際の基礎賃金には入りません。

しかし精勤手当8,000円は精勤手当の時間外割増賃金として計算することとし、(365-105)÷12×7=151.6時間を1か月の所定労働時間数として以下のように計算します。

 

* 8,000÷151.6×1.25×6時間=396円……精勤手当の時間外割増賃金

* 8000÷151.6×0.25×1時間=66円……精勤手当の深夜割増賃金

つまり110,000円+8,000円+12,000円+7,500円+250円+396円+66円=138,212円以上の支払いが必要です。

 

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