残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2018.03.13

従業員から残業代の請求をされたら?企業側のリスクと残業代請求に対する対策

企業にとって労働問題は起こってほしくない問題のひとつと言えます。しかし、近年、労使間でのトラブルは増加傾向にあります。

厚生労働省が公表している平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況を見ると、総合労働相談件数は113万件を超え、9年連続で100万件を超えています。

つまり、労働問題は企業にとって対岸の火事ではいられない現状であると言えます。今回は、労働問題の中でも残業代未払いを請求された場合について考えてみたいと思います。

1.法定内残業代と法定外残業代

残業代請求について説明する前に、まず、残業代について確認しておきたいと思います。残業代には「法定内残業代」と「法定外残業代」の2つがあります。

それぞれの違いをしっかりと理解しておきましょう。

(1)法定内残業代

法定内残業代とは、所定労働時間以上法定労働時間内の残業を言います。所定労働時間は労働契約によって定めている時間、つまり会社で定めている労働時間です。

一方、法定労働時間は労働基準法で定められている労働時間です。労働基準法の労働時間の上限は8時間となっていますので、8時間が法定労働時間となります。

例えば、9時から17時、休憩1時間の労働契約の場合、所定労働時間は休憩を除き、7時間です。この方が18時まで働いた場合、1時間が法定内残業です。

法定内残業は、割増賃金の設定は就業規則等で定めることができます。つまり、法定内残業の残業代(割増賃金)の設定は会社が自由に決められるため、割増賃金を支払わなくても問題はないということになります。(就業規則で定めておく必要はあります。)

(2)法定外残業代

法定外残業代は労働基準法の労働時間上限8時間を超える場合、超えた部分に対しては残業代を支払う必要があります。

法定外残業代は、要件によって支払う残業代の割合も決められています。

【労働時間の定義はある?】

残業代請求で最も重要視される点は「労働時間」の定義はどうなるかという点です。この定義については、以下のように判示されています。

労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう

(最高裁平成12年3月9日民集54巻3号801頁引用)

つまり、従業員が行っている活動が会社の業務として行っているか、私的な活動なのかという点がポイントとなります。例えば、休憩時間は労働時間に当たりません。また、始業前や就業後の時間も労働時間ではありません。

2.企業が残業代請求を受けることによるリスク

残業代の未払いを従業員から請求されると、企業側にとってはかなりリスクが多くなります。これは、労働基準法の根本的な考え方が労働者の保護を目的としているという点にあります。残業代請求などの労働問題が起こると、労働基準法を基に判断が下されることになります。そのため、企業側にとっては厳しい判断が下されるケースが多くなります。

(1)労働基準監督署に駆け込まれてしまう

労働基準監督署は、厚生労働省の出先機関であり、労働基準法など労働者の保護法規に基いて企業などを監督する機関です。

従業員が残業代未払いについて労働基準監督署に相談に行くと、労働基準監督署から是正勧告書や指導票などの書類が交付されます。是正勧告書や指導票には強制力はありませんが、労働基準監督署の労働基準監督官は警察官と同様の権限を持っているため、残業代未払いが悪質と判断された場合には、逮捕・送検される可能性もあります。

労働基準法違反となれば懲役刑や罰金刑となる刑事罰があり、残業代未払いの場合には6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が定められています。

(2)損害遅延金・付加金が発生する可能性がある

残業代請求を受けた場合、支払う必要がある残業代だけを支払えば良いという訳ではありません。

当該従業員が退職した後に残業代の請求を受けた場合、法律では年14.6%の遅延利息が発生することになります。裁判などに発展してしまった場合、判決が出るまでに長期間の時間がかかることがあります。そのため、遅延利息が大きくなることも予想されます。

また、裁判の判決によっては、付加金という罰則のようなものが発生する可能性もあります。

付加金は未払いの金額と同額の金銭の支払いを行う必要があります。

例えば、200万円の未払いの残業代請求による裁判が行われた場合、200万円の未払い残業代に付加金200万円が加算され、400万円の支払いを命ぜられる可能性があるということです。

3.うちは大丈夫!が一番危険!リスクを回避するための対策を

経営者の方の中には、うちの従業員は労基署に駆け込むことはないよ!うちは残業代支払わないと説明しているから大丈夫だよ!という方がいらっしゃいます。

人間関係はどのようなことで崩れるかわかりません。特にお金にまつわることに「絶対、大丈夫」は無いと思ったほうが良いでしょう。

残業代未払い請求が行われれば、企業のイメージなども崩れてしまう可能性が十分に考えられます。リスクを回避するためにしっかりと対策を取る必要があります。

対策1:労働時間の管理の見直し

一昔前の日本では長時間働くことが美徳とされていた時代もあったと思います。また、歴史のある企業であればあるほど、そのような考え方が残っていることがあります。

現代では、過重労働撲滅特別対策班が労働基準監督署に設けられるほど、残業代未払いや過重労働は社会問題となっています。

もし、労働時間が長時間になってしまっているという場合には、労働時間の管理の見直しを行ない適正な労働時間で運営できる体制を早急に構築する非通用があります。

対策2:残業代の支払いが適正かどうかを再確認

残業代は先に述べたように、法定内残業代と法定外残業代があります。法定内残業代に関しては自社の就業規則でどのような扱いになっているかを確認しましょう。

特に、管理職が変わるタイミングなど就業規則をしっかりと理解していないということも考えられます。経営者として、自社の残業代の支払い状況がどうなっているかを把握しておくことも重要なポイントと言えます。

4.もし、従業員に残業代を請求されてしまったら

従業員に残業代請求をされてしまった場合、最初の対応がとても重要です。残業代請求を受けるということは、社内の労働管理の段階で問題が生じている可能性があります。

まずは、弁護士に残業代請求を受けたことを相談し、社内では労働管理の見直しを同時に行うようにしましょう。

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