残業80時間超は5社に1社~厚生労働省統計

労働災害
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過労死・過労自殺とは、働き過ぎが原因で心身の健康が損なわれ、死に至ることです。

リーマンショック以来、所定内・所定外労働時間がともに減少したことを受け、平成23年以降はやや減少傾向にあります。

しかし一方では、不況のために人員削減が行われ、今まで2人でこなしていた仕事量が1人に割り当てられたため、結果的に業務量が増えてしまい、過労死した例もあります。

また、厚生労働省の過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止対策白書」によると「過労死ライン」とされている残業80時間を超えている会社は、5社に1社であり、労働者の労働環境が改善したとは言えない状況が続いています。

1.過労死とは

過労死とは長時間労働や、仕事上の強いストレスなどが原因で、心身の健康を損なってしまい、死に至ることをいいます。

2. 厚労省が定める過労死の基準

厚生労働省の認定基準に沿っていえば、「日常業務に比較して特に過重な業務を発症前に受けたことにより発症した脳・心臓疾患」のことをいいます。

また「過労自殺」については、「客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷により精神障害を発症しての自殺」と定義されています。

(1) 1か月60時間・6か月平均80時間

過労死・過労自殺を認定する際に、1番ポイントとなるのが労働時間です。

過労死・過労自殺する危険性が高くなる基準(過労死基準)は、1か月100時間、6か月平均80時間とされています。

過労死・過労自殺した場合には、1か月60時間・6か月平均80時間を超える時間外労働が認められ、労働環境や精神的ストレスなどが加味されて、労災か否か判断されることになります。

(2) 直前の過重な仕事や異常な出来事

過労死や過労自殺などの前に、異常な出来事に巻き込まれていたり、直前の1週間に徹夜を繰り返すなどの過重な仕事をしていた場合には、それだけで過労死・過労自殺として労災認定される場合もあります。

(3) 膨大な過労死予備軍

総務省統計局の「労働力調査」によると、週に60時間以上働いている労働者の数は、500万人前後いるとされています。

これは、前述した過労死ラインを超えて残業している「過労死予備軍の労働者」が500万人前後もいるといえるのではないでしょうか。

 

特に子育て世代の男性(25歳~45歳)は、他の世代よりも過労死ラインを超えて働いている場合が多いというデータもあります。

このような過労死・過労自殺を防ぐための取り組みとして、「二次健康診断等給付」という予防給付が実施されています。

 

二次健康診断等給付とは、脳血管と心臓の状態を把握するための検査で、会社はこの結果をもとに意思の意見などを聞いて、作業の転換や労働時間の短縮などの措置を行わなければならないとされています。

今後は過労死や過労自殺などの悲劇を防ぐために、このような予防措置や産業医などの活用が、ますます重視していく必要があるといえるでしょう。

3. 過労死・過労自殺は労災

過労死も過労自殺も、長時間労働や仕事上のストレスなど、「仕事が原因で生じた」と認められる場合には労災となり、亡くなられたご遺族には労働保険による年金や葬祭料などの手当を受けることができます。

(1) 遺族が受け取ることができる手当

働き過ぎが原因で、一家の働き手が過労死・過労自殺してしまった場合、残された遺族(生計を共にしていた、配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹)の生活を支えるために「遺族補償給付」が支給されます。

給付額は、遺族の人数に応じて決められますが、それに加えて遺族特別支給金として、一律300万円の一時金が支給されます。

遺族が受け取ることができる主な手当は、以下のとおりです。

※個々の状況に応じて、支給される手当の内容や支給額は異なります。

詳しくは、過労死・過労自殺などの労災問題に詳しい弁護士にお問合せ下さい。

* 遺族特別支給金:300万円(定額)

* 遺族補償年金:1万円(給付基礎日額)×223(日分)×0.8=178万4000円(年額)

* 遺族補償特別年金:2000円(算定基礎日額)×223(日分)=44万6000円(年額)

* 葬祭料:31万5000円+1万円(給付基礎日額)×30(日分)=61万5000円

* 労災就学援護費:1万7000円(高校生)+1万1000円(小学生)=2万8000円(月額)

(2) 会社への責任追及

過労死・過労自殺してしまったことについて、会社に過失があれば、遺族は会社に対して損害賠償を請求することができます。

前述した労災の認定基準に当てはまらないケースでも、労災認定されるケースはありますし、労働基準監督署が労災認定されなかった場合でも、不服申立てをしたり、裁判所の行政訴訟などの裁判手続きなどを利用した結果、後から労災認定がされて遺族補償給付を受け取ることができる場合もあります。

「労災かどうか判断できない」という場合も、労災問題に詳しい弁護士に相談すれば、労災なのかどうかはもちろん、労災か否か判断するためにはどのようなデータが必要なのか、など細かくアドバイスを受けることができます。

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