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労働者であれば働いた分の賃金は当然受け取る権利を持っています。
しかし、いわゆるブラック企業では働いた分の給料をしっかりと貰えない未払い状態も珍しくないそうです。
もし、そのような事態に遭ってしまったとしたら、未払い賃金を請求することはできるのでしょうか。
今回は、未払い賃金の時効や請求について説明していきます。
1.未払い賃金の時効は2年
労働基準法によって、未払い賃金の時効は2年となっています。この未払い賃金には未払い残業代も含まれています。
つまり、未払残業代を請求しようと思っても2年までしか遡ることができず、それ以前は請求できなくなります。そのため、少しでも未払い残業代があるならば、すぐに請求するようにしましょう。
ただし、未払い賃金に悪質な不法行為がある場合は、時効が2年から3年に延長されます。
時効が3年になる主な要因としては、会社がサービス残業の存在を認識していながら残業代を支払っていなかったり、適切な勤怠管理がなされていなかったりするケースです。
このような不法行為では、賃金としてではなく損害賠償として請求するため時効が3年になります。
2.2020年から未払い賃金の時効は5年に
2020年春、現在の法律が改正されて未払い賃金の時効は5年に延長されます。
現状として、民法でも労働基準法でも未払い賃金の時効は2年になっています。
しかし、民法では債権の時効の期限は債権の種類によってバラバラで、5年のものと10年のものが混在しています。また、飲食費や宿泊費、売掛金などは探知消滅時効が適用され、時効が1年や2年へ短縮されます。
2020年からすべての債権に関して、時効が5年に統一されます。そうなると、労働基準法の時効である2年と合致しなくなるので労働基準法でも時効は5年となります。
時効が延長されれば、労働者は今まで以上に未払い賃金を遡って請求できるようになります。単純に計算しても、請求可能な金額が2倍以上になるので労働者にとってかなりのメリットがあります。
3.未払い賃金の時効を中断させる方法
未払い賃金の時効に到達する前に、労働者サイドからの働きかけで時効を中断することができます。時効が中断されると、今まで経過した年月がリセットされ、時効がもう一度初めからになります。
(1)内容証明郵便を送付して未払い賃金の支払いを催告する
未払い賃金の時効をストップする最も代表的な手続きが支払いの催告です。具体的には、勤務先に未払い賃金を請求する書類を内容証明郵便で送付します。
内容証明郵便とは、送付した郵便物の内容を郵便局に保証してもらうことです。こんな内容の手紙を誰に送ったという情報の重要な証拠になります。
こちらから起業に内容証明郵便を送ると時効は中断されます。
(2)債務承認
債務承認とは、相手に債務があることを認めさせることです。勤務先の担当者が未払い賃金の存在を認めたり、未払い賃金の支払いの意思を示せば、債務承認がなされたとみなされます。
ただし、口頭のみで聞いたとしても証拠が残らないため意味がありません。債務承認を成立させるためには、しっかりと書類で承認させるか、録音を取っておきましょう。
また、未払い賃金の一部を支払ったとしても債務承認が成立します。つまり、未払い賃金を請求して、1円でも支払ってもらえたならばその時点で時効を中断することができます。
(3)労働審判・裁判
裁判を通して、未払い賃金を請求した場合も時効を中断することができます。
労働審判とは裁判所で労働者と会社が交渉し和解する手続きのことです。労働審判はご自
身で申し立てをすることがですが、弁護士に相談することをおすすめします。また、裁判は必ず弁護士に依頼する必要があります。
そして、労働審判・裁判は交渉でも会社が未払い賃金を祖払ってくれなかった際の最終手段でもあります。
4.まとめ
現状として 、未払い賃金の時効は2年と決められています。そのため、未払い賃金の
ある方はすぐにでも、会社に未払い賃金を請求するなど行動を起こすようにしましょう。
また、時効は正当な手続きを踏めば中断することができます。
人事労務に関する問題は専門家に相談するのが一番です。もし、現在未払い賃金の問題を抱えているという方がおりましたら、弁護士に相談してみることをおすすめします。