新型コロナウイルスで仕事が休みとなった場合の休み保証はある?

新型コロナウイルスで突然の休み・・・そうなった場合の休み保証って? 労働災害
労働災害

1日1度はテレビで新型コロナウイルスのニュースを目にするほど、感染拡大が国内でも高まってきています。そして学校の臨時休校やテーマパークの臨時休業、イベントの開催中止など様々な影響が出ているほどです。

新型コロナウイルスが原因となり、仕事が休みとなった方や、子供の休みに合わせて仕事を休まざる終えなくなってしまった方など、労働側にも大きな影響が出ています。

今回はこのような場合の仕事の休みには、休み保証があるのかどうかについて解説していきます。

1.まず休み保証として挙げられる〈休業補償〉について

休み保証としてまず挙げられることが〈休業補償〉です。休業補償というのは業務上や通勤中の負傷、病気にかかったことによる療養などで働けなくなってしまった場合に、従業員に対し労災保険から支払われる補償のことを言います。

補償対象となるのは、正社員・契約社員・パートタイム・アルバイトに分類されている全ての労働者ですが、派遣社員に関しての休業補償の申請は、派遣元が行います。

休業補償の給付の詳細

休業補償での給付には、業務中に起こった災害が原因となり給付に至った場合の〈休業補償給付〉と、通勤中に起こった災害が原因となり給付に至った場合の〈休業給付〉の2種類があります。

下記にて解説するのは、生活保障として一定額が支給されることになる休業補償給付の場合です。

  • 支給対象となる要件

支給には下記3つを満たしていることが条件となります。

① 療養をし、休業となっていること

※負傷・疾病が治り、処置の為に休む期間は補償期間の対象外となる

② 労務ができず、休業となっていること

※休業以前の業務ができなかったとしても簡単な業務はでき、出社可能な場合は、支給の対象外となる

③ 賃金を受け取っていないこと

※休業中の従業員に対して使用者が少しでも賃金を支払っている場合は支給の対象外となる

  • 支給金額

休業補償給付では、支給金額が1日単位で計算される仕組みとなり、所定労働時間内で全業務に全く仕事に就くことができない〈全部労務不能〉の場合と、所定労働時間内で病院の通院などにより一部分のみ仕事に就くことができない〈一部労務不能〉の場合で支給金額は下記のように異なります。

また、どちらの場合でも労働福祉事業の〈休業特別支援金〉として、平均賃金相当の金額の20%が下記支給金額にプラスして支給されます。

〈全部労務不能の場合の支給金額〉

→ [直近3ヶ月間の賃金÷3ヶ月間の暦日数]によって計算された金額(平均賃金相当の金額)の60%が支給される

〈一部労務不能の場合の支給金額〉

→ [直近3ヶ月間の賃金÷3ヶ月間の暦日数]によって計算された金額(平均賃金相当の金額)から労働部分に支払われる賃金を引いた金額の60%が支給される

  • 支給期間

休業補償給付の支給期間は、休業して4日目から休業が終わるまでの期間になります。

休日を除く所定労働時間内で休業して、1日目から3日目までのことを〈待機期間〉といい、労災からの休業補償60%と休業特別支援金20%は支給されません。その代わり、待機期間中は企業が従業員に対して、平均賃金相当の金額の60%を支払わなければならないと法律で決められています。

※休業開始後、1年6ヶ月が経つと〈傷病補償年金〉の支給対象となりますが、傷病補償年金の受給に変わった場合は休業補償給付の支給はありません。

休業手当とは別のもの?

休業補償と似ている言葉で〈休業手当〉というものがありますが、休業補償とは別のものになります。

休業手当は、経営低迷や悪化、ストライキなど、使用者による責任で休業となってしまった場合に使用者から労働者である従業員へ支給されるものとなります。自然災害が原因となり、自宅待機や帰宅を命じられたり、使用者から従業員へ向けた命令で休業させた場合でも休業手当の支給対象となります。

更に詳しく、休業補償との違いには下記のようなことがあります。

休業補償休業手当
受給額平均賃金相当の金額の80%

(うち休業特別支援金部分20%)

平均賃金の60%以上
受給期間休業後4日目から休業期間中

(休業後1~3日間は待機期間)

休業期間中
保険労災保険無し(賃金として支給される)
申請の有無従業員から必要不要
所得税対象外対象

※休業期間であっても休業手当の対象外となる場合…

・土曜日や日曜日などの公休日や就業規則により決められた休日

・解雇を予告された期間

・労働者への労務拒否や事業所からの締め出しを行っている期間

休業手当の受給期間は休業期間中と表にも記載しましたが、休業期間中であっても上記の3つの場合は休業手当支給の対象外となるため覚えておきましょう。

新型コロナが関係する今回の休みの場合、休業補償の対象となる?

休業補償は使用者の都合で労働者が休業を余儀なくされた場合にのみ支払われるものとなります。そのため、新型コロナウイルスが関係する今回の休みでは都道府県知事の判断による就業制限に当てはまるため、休業補償の対象外となってしまいます。

また、“発熱症状があるため休む”のように周りのことを考え自主的に休んだ場合も、風邪やインフルエンザなど他の病気の可能性が考えられるため、休業補償の対象には認められません。しかし、被用者保険に加入している場合は、条件を満たすことで〈傷病手当金〉を受け取ることが可能となります。

感染の可能性も考え完全に体調が回復するまで4日以上の休みを取った場合には、平均賃金相当の金額の3分の2が補償される傷病手当金の受給を考えてみましょう。

2.次に休み保証として挙げられる〈年次有給休暇〉について

有給休暇は普通の休暇と異なり、賃金が全額支払われる(休暇をとっても減額されない)ため、取得しないと損、と思っている方も多いようです。有給休暇と聞くと、正社員に与えられるものと思っている方が多くいますが、パートやアルバイトの方でも条件を満たすことで有給休暇の取得が可能となります。

下記にて正社員とパート・アルバイトの場合の有給休暇について解説していきます。

正社員

  • 有給休暇発生の為の条件

下記の条件を満たすことで有給休暇の取得対象となります。

① 雇用開始日から6か月間断続して働いている

② 契約時の全労働日の8割以上は出勤している

全労働日というのは、就業規則や労働契約で決められた労働者が勤務することになっている日のことを指します。

  • 有給休暇の取得可能日数

正社員が取得可能な有給休暇日数は、10日から始まり、その後1年ごとに日数が増えていきます。有給休暇日数は20日が上限となり、6年半以上の勤続年数で20日の有給休暇取得が可能です。

現職場での勤続年数取得可能な有給休暇日数
6か月10日
1年半11日
2年半12日
3年半14日
4年半16日
5年半18日
6年半

20日

 

パート・アルバイト

  • 有給休暇発生の為の条件

パートやアルバイトでも下記の条件を満たすことで有給休暇の取得対象となります。

① 雇用開始日から6か月間断続して働いている

② 契約時の全労働日の8割以上は出勤している

勤務が1週間のうちの1日だけであっても、条件を満たしていれば有給休暇の取得対象です。

  • 有給休暇の取得可能日数

有給休暇取得の2つの条件を満たし、なおかつ1週間の所定労働時間30時間以上、もしくは所定労働日数5日以上の契約の場合は、正社員同様の有給日数である10日間が取得可能となります。

1週間の所定労働時間が30時間未満、もしくは週に4日以内の勤務の場合は、1週間で何日の勤務日数か、1年間の合計労働日数によって取得可能な日数が決まります。

〈週4日勤務(169日~216日)・・・有給休暇日数は、6か月後に7日、1年半後に8日、2年半後に9日、3年半後に10日、4年半後12日、5年半後に13日、6年半後に15日〉〈週3日勤務(121日~168日)・・・有給休暇日数は、6か月後に5日、1年半後に6日、2年半後に6日、3年半後に8日、4年半後9日、5年半後に10日、6年半後に11日〉〈週2日勤務(73日~120日)・・・有給休暇日数は、6か月後に3日、1年半後に4日、2年半後に4日、3年半後に5日、4年半後に6日、5年半後に6日、6年半後に7日〉〈週1日勤務(48日~72日)・・・有給休暇日数は、6か月後に1日、1年半後に2日、2年半後に2日、3年半後に2日、4年半後3日、5年半後に3日、6年半後に3日〉

新型コロナが関係する今回の休みの場合、有給休暇は取得できる?

年次有給休暇は労働基準法でも定められていますが、〈原則として労働者の請求する時季に与えなければならないもの〉とされており、どんな理由にせよ有給休暇として決まっている日数分は取得することが出来ます。

正社員でなかったとしても労働者であれば働き方問わず取得が可能、また、2019年には有給休暇の取得が義務化されるほどです。自身の有給休暇日数が何日あるのかも、勤務先に確認しておきましょう。

まとめ

有給休暇は賃金が減額されずに休暇をとることができるため、体調が悪いけど休暇をとることに不安がある方は、有給休暇を取得してまずは身体を休めましょう。

また、子供に合わせて仕事を休んだ場合や、急遽仕事が休みとなった場合に休業補償の対象となることはできませんが、この場合でも有給休暇の使用が可能なため、まずは有給休暇の取得を考えてみることが良いかもしれません。

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