わかっているようでわからない横領と着服ですが、その違いをしっかりと説明することができますでしょうか。
どちらも会社などのお金を盗む事というようなイメージがあるかと思いますが、その二つの違いを的確に説明できる人は少ないようです。
そこで今回は、横領と着服の違いについてわかりやすく説明していこうと思います。
1.横領と着服の違いとは
わかりにくい横領と着服の違いですが、実は意味に関しては大体同じです。
広辞苑によれば、「横領=他人または公共のものを不正に奪うこと」、「着服=ごまかしてひそかに自分の物とすること」となっております。
両者の意味にニュアンスの微妙な違いはありますが、ざっくり言えばどちらも「他人の所有物を奪うこと」という風になります。
意味としてはほとんど変わらない横領と着服ですが、その明確な違いはどこにあるのでしょうか。
実は横領は法律用語として使用されているのに対して、着服は法律用語として使用されていません。
着服は刑事上では横領罪という罪状名が当てられます。もちろん。横領も横領罪です。
2.横領・着服と窃盗との違い
横領と着服に意味の上での明確な違いがないことは分かりましたが、窃盗との違いは何なのでしょうか。
同じ「盗む」という行為でも場合によっては横領・着服ではなく窃盗に分類されることもありますので。その両者の違いも説明していきます。
横領は「自分の管理のもとにある他人の物を不正に取得すること」、窃盗は「他人の管理のもとにあるものを盗むこと」です。
つまり、盗んだものが自分の管理下なのか他人に管理下によって横領か窃盗かが変わります。
3.横領には3種類ある!
普段私たちがニュースで耳にする横領は業務上横領が多いかと思います。しかし、実際は横領には業務上横領以外にも存在し、日常生活の中であっても横領罪に問われてしまう可能性があります。
一体どのようなことをすれば横領となるのでしょうか。
(1)業務上横領罪
最もポピュラーな横領といえば業務上横領です。業務上横領とは仕事上の理由で自分の管理下にある会社のお金を不正に自分のものとすることです。たとえば、会社の経理担当者が会社の売上の一部について立場を利用して自分の口座に振り込んでしまったというケースは業務上横領となります。
他にも顧客から集金したお金を会社に報告せずに自分の物としたり、会社の発行するポイントを不正に取得したりといったケースも業務上横領となります。
(2)単純横領罪
単純横領とは自分が管理する他人のものを横取りすることです。つまり、人の物なのに勝手に売ってしまったりした場合は単純横領となります。
具体的な例でいえば、友達から借りていたゲームソフトを勝手に中古品として売却したというケースやレンタルしたDVDを返却せずにそのDVDを勝手に売ってしまったというケースは単純横領です。
いわゆる「借りパク」がこれにあたります。
(3)遺失物等横領罪
遺失物や漂流物を勝手に私物化することも横領です。
例えば、道で財布を拾って警察に届けずに着服したら遺失物等横領罪となります。また、ボロボロの自転車などを拾って乗った場合も横領という扱いとなりますので注意が必要です。
4、まとめ
上記のように横領と着服の間には意味上の違いはほとんどなく、法律用語として使用されているかどうかという違いがあります。その違いよりも「窃盗」との違いの方が大きいかと思います。
また、一口に横領と言っても内容はさまざまです。ついうっかりやってしまったことでも横領罪に問われてしまうこともありますので注意が必要です。