不当解雇
日本の法律では簡単に従業員を解雇することは出来ないと定められています。 従業員を解雇するには、しっかりとした決まりがあり、その条件を満たしていない限り解雇としては認められないのです。不当解雇はこうした法律や就業規則などの決まりに従わず会社が一方的に労働契約を解約する行為を言います。
2019.04.06

業務上横領は一発解雇?!懲戒解雇は再就職が出来ないってホント??

もし会社のお金を横領・着服してしまった場合、会社をクビになる可能性はあるのでしょうか?業務上横領が事実の場合には、懲戒解雇に該当する可能性は非常に高いと言えます。

では、業務上横領は必ず懲戒解雇になるのでしょうか?また、懲戒解雇になってしまった場合、再就職は出来ないのでしょうか?

1.不当な行為は「懲戒処分」の対象となる可能性がある

懲戒処分とは不当な行為や不正があった際に、その行為に対して課される罰則のようなものです。

多くの会社が就業規則で懲戒処分について定められていると思います。懲戒処分には6つの種類があり、その中で最も重い罰則が「懲戒解雇」です。

1)戒告・譴責

戒告(かいこく)や譴責(けんせき)は懲戒処分の中でも最も軽い処分となります。

簡単に説明すると、戒告は口頭注意、譴責は始末書提出ということです。何かしでかしてしまった従業員に対し厳重注意することとなります。

2)減給

読んで字のごとく、給料を減らすという罰則です。減給は、いくらでも減らして良いというわけではありません。

減給の上限は労働基準法91条で下記のように定められています。

引用:労働基準法

(制裁規定の制限)

第91条

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

減給できる金額は1日の平均賃金の半分、月給の場合には1ヵ月の減給額は10%が上限となります。

3)出勤停止(停職)

出勤停止・停職は文字通り、出勤を停止させるということです。

賃金は就労によって支給されることになりますので、出勤停止など働いていない状態の場合には減給扱いになることが原則となります。出勤停止処分によって、就労していない期間の給与は支払われないことになり、この場合には、減給のような上限があるわけではありません。

4)降格

降格は役職や階級など職位が現状よりも下がることです。例えば部長が課長へ降格するなどです。

役職に応じて給与額が決められている会社が多いため、降格になるということはイコール減給になるということになることが一般的です。

5)諭旨退職

諭旨退職はゆしたいしょくと読みます。諭旨とは「趣旨や理由をさとして告げること」という意味です。

つまり、退職となる理由を会社側が従業員に伝え(退職勧告)、その上で、従業員は自主退職することになります。諭旨退職に従わない場合、状況によっては懲戒解雇に繋がる可能性があります。

6)懲戒解雇

懲戒解雇は懲戒処分の中でも最も重い罰則です。簡単な言い方をすると「クビにする」ということになります。

通常、会社側が従業員を解雇する場合、労働基準法によって少なくとも30日前に解雇予告を行う必要があります。もし、即日に解雇したいという場合には、解雇予告手当てを労働者に支払うことで即日解雇することが可能になります。

しかし、懲戒解雇の場合には、解雇予告や解雇予告手当が不要となります。また、退職金に関しても場合によっては減額や不支給となるケースもあります。

2.業務上横領は「懲戒解雇」」の対象になる?

業務上横領罪の構成要件

業務上横領の量刑は10年以下の懲役です。横領罪の中でも最も量刑が重くなっています。刑事罰の対象となるということだけでなく、企業秩序侵害行為として懲戒解雇の対象になる可能性は十分に考えられます。

しかし、実際に懲戒解雇に該当するかどうかというところは、非常に難しいところで、過去の判例では、懲戒解雇が無効になったケースもあります。

とはいえ、判例から考えられるケースは横領の事実が明白ではないケースが多いため、

横領の事実が明白となっている場合には、金額の大小には関係なく懲戒解雇に該当する可能性が非常に高くなります。

3.懲戒処分は簡単ではない!原則に従っているか確認しよう。

業務上横領の場合、懲戒解雇の可能性は非常に高いですが、懲戒解雇を含む懲戒処分は、下記の7つの原則に従い、会社側が判断を下す必要があります。

もし、処分が不当ではないかと思う場合には、懲戒処分の原則に従っているかどうかを確認してみましょう。

懲戒処分の7つの原則

原則1:罪刑法定主義の原則

懲戒処分の対象となる行為や懲戒処分の内容、種類を就業規則に記載しておく必要がある。

原則2:適正手続の原則

懲戒処分の対象となる行為の事実関係を調査し、当事者である本人に弁明の機会を与え、会社のルール(就業規則や労働協約等)に従って手続きを行う必要がある

原則3:平等取扱の原則

職位などに関係なくすべての従業員を平等に扱う必要がある

原則4:合理性・相当性の原則

懲戒処分の対処となる行為が起こった背景や敬意などを考慮し、重すぎると思われる処分は行わないこと

原則5:二重処分禁止の原則

同じ事由に対して2回以上の処分を下すことはできない

原則6:個人責任の原則

個人が行った行為に対して、連帯責任を負わせることはできない

原則7:効力不遡及の原則

ルールが定められる前に行われた行為に対して、新たに設けたルールを適用してはいけない

4.離職票から懲戒解雇の事実がわかってしまう

横領などが原因で懲戒解雇になった場合、再就職が非常に難しくなると言われています。

企業によっては離職票のコピーの提出が必要となるケースがあり、懲戒解雇によって退職した場合には、離職票に「重責解雇」と表記されています。

また、履歴書に「賞罰欄」がある場合、懲戒解雇という処罰を受けた事実を記載する必要があります。懲戒解雇の事実を記載せずに再就職し、後々、その事実が公になってしまった場合には、経歴詐称となる可能性が高いです。

まとめ

業務上横領は横領罪の中でも最も重い刑罰となります。また、示談となった場合でも、横領が事実であれば懲戒解雇となる可能性が非常に高いです。

もし、横領をした事実が無いにもかかわらず、懲戒解雇されてしまったという場合には不当解雇の可能性も考えられます。

どちらにしても、ご自身にこのような事態が起こった際には、迷わず弁護士に相談しましょう。

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