不当解雇
日本の法律では簡単に従業員を解雇することは出来ないと定められています。 従業員を解雇するには、しっかりとした決まりがあり、その条件を満たしていない限り解雇としては認められないのです。不当解雇はこうした法律や就業規則などの決まりに従わず会社が一方的に労働契約を解約する行為を言います。
2018.09.27

    試用期間に考えられる解雇を含むトラブルってどんなことがある?

    試用期間は本採用を前提しており、実際の業務を経験してもらうための期間ということになります。試用期間中に会社側と労働者が結ぶ労働契約は「解約権保留付労働契約」という労働契約が一般的で、本採用をしないという判断をすることも出来ますが、解雇を含む労働環境に関する条件は正社員と同じです。

    今回は、試用期間に考えられる解雇を含むトラブルとトラブルに関する対処法についてご紹介します。

    1.解約権保留付労働契約

    試用期間の場合「解約権保留付労働契約」という労働契約を結ぶことが一般的です。解約権保留付労働契約は試用期間中に能力や適性などを判断し、本採用に関する判断を保留している状態ということになります。

    そのため、会社側は保留解約権という権利を有しており、一般的な解雇より広い範囲で解雇できるとされています。

    しかし、労働契約を結んでいる段階で本採用とほぼ同じ状態です。そのため、保留解約権の行使による解雇であっても、解雇するためにはそれなりの理由が必要です。つまり、きちんとした理由がない状態で「試用期間だから」と解雇にすることは出来ません。

    2.会社側が従業員を解雇する際に解雇が認められるケース

    試用期間中に限らず、会社が従業員に対して解雇を言い渡す場合には正当な理由が必要です。正当な理由かどうかという判断は非常に難しいですが、主に以下のようなケースは解雇の理由として認められる可能性が高いです。

    (1)経営不振

    経営不振による解雇には整理解雇といういわゆるリストラが該当します。整理解雇を行うには、以下の4つの要件を満たしている必要があります。

    人員削減を行う必要があるほど経営危機が重大である

    解雇をせずに済むような対処を行った

    解雇される人員は公平であり適切である

    整理解雇について事前にきちんと従業員に説明し納得している

    また、規模の小さな会社の場合には、上記のすべてを満たしていない場合でも、一部解雇が認められるケースもあります。

    (2)業務復帰が難しい傷病

    数日や数カ月で職場に復帰できる入院や療養の場合には、傷病を理由とした解雇は認められていませんが、長期にわたって業務復帰が難しいような場合には解雇が認められることがあります。

    (3)従業員側に落ち度がある場合

    就業規則を守らない、パワハラ・セクハラなどのハラスメント行為を繰り返すなど、何度も注意をしても改善が認められない場合や、会社側に提示した経歴に偽りがある経歴詐称など、あきらかに従業員側に落ち度がある場合は解雇が認められることがあります。

    (4) 懲戒処分

    刑事事件など会社に対して著し損害を与える行為があった場合などは解雇が認められることがあります。

    3.試用期間でも突然の解雇は出来ない

    会社側が解雇を行う場合には、解雇理由が正当であることが重要ですが、理由が正当であっても、「明日から来なくて良い」など突然の解雇は認められていません。

    会社側が解雇を行う場合には、30日以上前に解雇予告を行う必要があります。これは試用期間であろうと、本採用後であろうと同じです。

    ただし、試用期間から14日以内の場合は、解雇予告を行わずに解雇をすることが出来る事になっていますが、解雇理由が正当であることに変わりはありません。

    4.解雇だけじゃない!試用期間中に考えられるトラブル

    トラブル1:本採用を拒否される

    試用期間から本採用という流れになるため、企業側も労働者側も誤解しているケースが多いですが、試用期間終了時に本採用はしないという旨を伝えた場合には、解雇と同様の扱いとなります。

    従って、その理由が正当でない限り、本採用の拒否は不当解雇に該当する可能性があります。

    トラブル2:試用期間が延長される

    そもそもの試用期間だけで、本採用の判断が出来ない場合であっても、会社側が勝手に試用期間を延長することは出来ません。試用期間を延長する場合には、以下の要件を満たしている必要があります。

    就業規則および労働契約書に試用期間の延長について記載がある

    試用期間を延長する理由が正当である

    試用期間の延長は本来の試用期間と合わせて概ね1年以内とする

    トラブル3:残業代は出ないと言われた

    試用期間であっても、法定労働時間を超えた労働時間に対しては残業代が支給されます。試用期間だから残業代が出ないということはあり得ません。

    また、企業によっては試用期間中の賃金を本採用後よりも低く設定しているケースがありますが、都道府県の最低賃金を下回る給与は違法となりますので、給与が低いと感じたら確認してみましょう。

    トラブル4:社会保険等に加入させてもらえない

    パートやアルバイトなどの一部の短時間労働者以外は社会保険・雇用保険への加入は義務となります。試用期間だから社会保険・雇用保険に加入できないということはありません。

    3.試用期間中のトラブルに関する対処法

    試用期間中に解雇を含むトラブルに見舞われてしまった場合の対処方法をご紹介します。

    (1)まずは会社に相談

    まずは、会社側の要求に納得が出来ないということを、きちんと会社側に伝えましょう。

    トラブルに巻き込まれないためには、雇用契約を結ぶ段階で、試用期間中のことについてどれだけ記載されているか、就業規則はどのようになっているかを事前に確認しておくことも大切です。

    いざ、トラブルに巻き込まれてしまったという時に困らないよう、雇用契約書などはきちんと保管しておきましょう。

    (2)それがダメなら行政機関へ

    会社側に相談をしても解決が見込めないという場合には、行政機関に相談してみましょう。

    解雇や残業代・賃金等に関する相談は労働基準監督署、社会保険は年金事務所、雇用保険は公共職業安定所(ハローワーク)と管轄する機関が異なります。どこに相談したらよいかわからないという場合には、ひとまず労働基準監督署に相談してみましょう。

    (3)それでもダメなら弁護士へ

    会社側に相談し、行政機関にも相談したけれど解決されないという場合には、労働問題に精通した弁護士に相談しましょう。

    とくに解雇に関するトラブルは早めの対策が必要です。弁護士に相談する場合には、証拠になりそうな書類はすべて提出しましょう。

    まとめ

    試用期間中であっても、労働環境に関する条件は正社員と変わりません。不当解雇は認められませんし、残業代未払い、低賃金、社会保険未加入などは認められていません。

    試用期間という名目に流されて、「仕方ない」と思わずに、疑問に感じたことは会社側にきちんと相談しましょう。

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