不当解雇
日本の法律では簡単に従業員を解雇することは出来ないと定められています。 従業員を解雇するには、しっかりとした決まりがあり、その条件を満たしていない限り解雇としては認められないのです。不当解雇はこうした法律や就業規則などの決まりに従わず会社が一方的に労働契約を解約する行為を言います。
2017.11.18

メンタルヘルス疾患を理由に解雇!内定取消!対抗手段は?

 

昨今、長時間労働などが原因によるメンタルヘルス疾患が増加しています。

うつ病などの気分障害を訴える患者数も年々増加傾向にあり、その多くが原因を「職場の問題が原因」と挙げています。

精神障害等の労災補償件数も増加していて、労災補償の請求件数は、平成23年には1,272件、平成24年には1,257件、平成25年には1,409件と、一向に改善しない状況が続いています。

これに伴い「メンタルヘルス疾患を理由に解雇された」「メンタルヘルス疾患を理由に内定取消された」等の労働問題も増えてきました。

しかし、労働基準法第19条では、労働者が業務上の理由で病気にかかり療養している場合、会社は労働者を解雇や本採用の拒否をすることはできないと規定されていますので、安易に解雇や内定取り消しを受け入れる必要はありません。

ここでは、「メンタルヘルス疾患を理由に解雇された」「メンタルヘルス疾患を理由に内定取消された」等の問題が起こった際の対処方法について、ご紹介します。

 

1.職場のメンタルヘルス疾患

近年、職場でのメンタルヘルス疾患はますます深刻化していて、厚生労働省労働基準局等の発表によれば、実際に疾患が原因で休職や自殺に陥るケースも増えていて、国としても積極的に対策に乗り出しています。

これらの事情を踏まえて厚生労働省の設定した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、職場のストレスは労働者の努力の身で取り除くことは困難であり、会社が積極的にメンタルヘルスを守るための措置を講じる必要があると規定しています。

 

しかし、このような対策が行われているにも関わらずメンタルヘルス疾患を訴える労働者の数は減ることなく、「メンタルヘルス疾患を理由に解雇された」等の労働問題も増加する一方です。

(1) メンタルヘルス疾患を理由に解雇されたら

激務が続いたなどの長時間労働などが原因で、メンタルヘルス疾患を発症したため、解雇されたという相談が相次いでいます。

しかし、労働基準法第19条では、労働者が業務上の理由で病気になってしまった場合には、その労働者が療養している期間は、会社が労働者を解雇することはできないと規定しています。これはメンタルヘルス疾患についても同様です。

したがって、労働者が業務上の理由でメンタルヘルス疾患を発症し、その治療をしている期間は、それを理由に会社を解雇されることはありません。

 

会社には、労働者と誠実に話し合いながら、仕事量を減らしたり負担の少ない部署へ配置転換をするなどの措置を講じることが求められます。

また、業務を継続することが不可能な状況であれば、休業を勧める措置などを講じる必要もあるでしょう。

なお、労働者が業務上の理由で病気になって休業する場合には、労働基準法第26条により、会社から賃金の6割を受け取ることができます。

 

欠勤が長期に及ぶなど疾患の程度によっては、休職のあと復職せず普通解雇となることもありますが、実際の裁判になった場合、「解雇の正当性」はなかなか認められるものではありません。もし会社から「解雇する」など言い渡された場合には、早めに労働組合や労働基準監督署、弁護士に相談するようにしましょう。

(2) メンタルヘルス疾患を理由に内定取消されたら

採用内定の取消は、無条件で認められているわけではありません。

会社は、応募者が会社で勤務する能力があるかどうかを基準として、採用するか否かを決定するべきで、客観的で合理的な理由がないにも関わらず、内定取消をするようなことは認められません。したがって、業務に支障がない場合のメンタルヘルス疾患を理由に、内定取消をすることは認められません。

また、応募者にはプライバシーの自由がありますので、応募者に無断でメンタルヘルス疾患についての検査を実施することも、不法行為に当たる可能性がありますので、許されないといえるでしょう。

 

ただし、危険な作業に従事する業務であるため、メンタルヘルス疾患を抱える労働者だと、事故につながる危険性があるという場合には、客観的で合理的な理由があると認められる可能性があります。

 

以上から、症状がそれほど重くなく業務に支障がないといえる状況であれば、メンタルヘルス疾患を理由に内定取消は認められないケースがほとんどです。

(3) メンタルヘルス疾患を理由に不採用されたら

試用期間中は、会社と労働者は「解約権留保付労働契約」を締結している状態にあります。したがって、会社には労働者に対して試用期間中に解雇したり本採用の拒否権利があることになります。ただし、だからといってこの権利を無条件で行使しても良いというものではありません。解雇したり本採用の拒否権利を行使する場合には、客観的で合理的な理由が必要です。

したがって、メンタルヘルス疾患があったとしても、業務に支障がないのであれば、メンタルヘルス疾患の影響はないことになり、メンタルヘルス疾患を理由として解雇したり本採用の拒否権利を行使する客観的・合理的な理由はないことになります。

2. メンタルヘルス疾患を発症したら

メンタルヘルス疾患を発症する人は、まじめで誠実な人が多いという傾向があり、だからこそ無理を続けてしまい、症状がますます悪化してしまう…というケースも多くみられます。しかし本来、働くことで生命が脅かされたり、健康が損なわれるようなことがあってはならないのです。

まずは、心身を休めることを優先し、一人で悩みを抱え込まないようにして、周りに相談するようにしましょう。

(1) まず休業しよう

心身の調子を崩していると感じた場合には、我慢せずにすぐにメンタルクリニックを受診しましょう。

身体の病気と同じように、とにかく病気は「治すこと」を第一とすべきです。そして、復職できる状況になるまでしっかりと休業しましょう。

なお、メンタルヘルス疾患を発症した場合には、復職しても欠勤やミスを繰り返してしまったりして、かえって心身の調子を崩してしまうこともあります。その場合には、休業後に無理して復職せず、転職することも検討しましょう。

(2) 労災申請を検討しよう

精神疾患を理由として、労災申請が認められることもあります。

労災に該当するかどうかは、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」という指針によって判断されます。

労働基準監督署が「労災認定」すると、療養給付や休業補償給付、障害補償給付、傷病補償年金などの給付を受けることができます。

長時間労働など、業務が理由でメンタルヘルス疾患を発症した場合には、できるだけ早く労災申請に詳しい弁護士に相談しましょう。

(3) 損害賠償を請求できることも

長時間労働やハラスメントなど、業務が原因でメンタルヘルス疾患を発症した場合には、加害者に慰謝料を請求することが可能なことがあります。会社が配慮や対処などの適切な措置を講じなかった場合には、会社に対しても損害賠償請求することができるケースもあります。

 

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