雇用保険には失業したり休業したりした際に給付金を受けとることができる制度があります。一般的に、労働者から「失業給付」として認識されている基本手当もこの制度の一つです。万が一、失業したとしたらいくら失業給付をもらうことができるのか、どのように申請すればよいのか知っておくことは労働者にとって非常に重要なことです。
今回は、そのような失業給付の仕組みについて説明していこうと思います。
1.失業給付とは
万が一、さまざまな事情で失業してしまった場合、まずは失業給付をもらおうと考えるのでではないでしょうか。しかし、実際に失業給付とはどのようなものなのかしっかりと把握している人は少ないようです。
一般的に言われている失業給付とは、雇用保険の失業等給付制度に記載されている基本手当の事を指します。
基本手当とは失業してしまった場合、雇用保険の被雇用者期間や年齢などから収入の45%~60%を受け取ることが出来る給付金の事です。
基本手当は失業者に対し、失業期間に生活に困ることなく、なるべく早く再就職できるようにと支給されるものです。そのため、もし基本手当を受け取る事になった場合、なるべく早く再就職が出来るように求職活動に励みましょう。
2.失業時に失業等給付として他にもらえる手当
雇用保険に入っていれば、失業してしまった際に失業等給付として基本手当の他にもらえるさまざまな手当があります。
(1)傷病手当
傷病手当とは、ハローワークにおいて求職の申し込んだ後に病気や怪我によって15日以上継続的に働くことが出来なくなった場合に受け取ることが出来る手当です。給付金は基本手当と同じです。また、受給期間は4年間までは延長することができます。
しかし、傷病手当を受け取る際には健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付といった他の給付金には注意が必要です。傷病手当とこれらの給付金を同時に申請して受け取ることはできません。
(2)就業促進給付
就業促進給付とは、基本手当を受給している求職者が早期に再就職することが出来た際に受け取ることが出来る給付金です。基本手当の支給期間の残りが多ければ多いほど、受け取ることが出来る金額も大きくなります。受給する場合は、基本手当を受け取っているハローワークに申し込みましょう。
3.基本手当の給付金額の考え方
受け取ることができる給付金を計算する際には失業前に貰っていた日給が基準となります。この日給をハローワークでは「賃金日額」と呼ばれています。賃金日額は原則として、離職した日の直前6か月間の賞与などは除いた給与の合計を180で割った金額とします。
なお、賃金日額には上限と下限があり、この金額は毎年8月1日に改定され、厚生労働省のホームページで確認することが出来ます。
ただし、賃金日額を満たしていたとしても基本手当日額にも上限と下限がありますので注意が必要です。
受け取ることが出来る基本手当日額は賃金日額にその金額に応じた給付率を掛けることで計算することができます。
基本手当の給付日数は退職した理由によって異なります。自己都合退職の場合、年齢に関わりなく被保険者期間が1年以上10年未満の場合は90日、10年以上20年未満の場合は120日、それ以上の場合は150日となっております。
会社都合退職の場合は被保険者期間の他に年齢も加味して計算されます。30歳未満の場合は自己都合退職の場合とほぼ同じですが、それ以上の場合はより多くの手当を受け取ることができます。
4.基本手当を受け取る方法
それでは、実際に失業してしまい基本手当を受け取る場合はどのように受け取れば良いのでしょうか。
まずは、自分が受給資格を満たしていることを確認します。受給資格とは、いつでも働くことが出来る状態にあるにもかかわらず、仕事に就いていない状態で働くいよくもあるかどうかということです。そのため、症状や出産、育児などの場合はこれに当てはまりません。
次に前の勤務先から退職を証明する書類をもらっていることを確認します。退職時には会社から雇用保険被保険者証、雇用保険被保険者離職票の2つの書類が渡されているはずです。これらは失業給付を受け取る際に、雇用保険番号を確認するなどに使いますのでなくさないように取っておきましょう。
これらの確認が出来ましたら、ハローワークで基本手当の申込を行います。
なお、基本手当の申請を行ってから1週間は待期期間なので、この間は手当を受け取ることができません。また、基本手当の受給のための説明会や失業認定も必要なため、実際に基本手当を受け取るには1か月ほどかかります。
5.まとめ
雇用保険は労働者にとって万が一の時に非常に頼りになります。そのため、日頃から雇用保険の内容をしっかりと確認しておき、もし失業してしまった際にとしても慌てずにすむようにしておきましょう。