セクハラ
セクシャル・ハラスメントとは職場内での性差別的な要素を含む言動や嫌がらせを言い、男性から女性、女性から男性、同性同士の場合もセクハラと認められます。定義が曖昧なため、セクハラに該当するかしないかは、受けた本人の判断次第となりますが、周りがその状況を明らかに不快に感じている場合にはセクハラに該当する場合があります。
2017.09.12

セクハラ(セクシャルハラスメント)による精神障害は労災

職場のセクハラ(セクシャルハラスメント)が原因で、うつ病や適応障害などの精神障害を発症した場合には、労災保険の対象となり、治療費を全額支給してもらえたり、休業して賃金をもらえない時には休業中の補償を受けることができます。

1.セクハラと労災

セクハラが労災か否かについては、平成23年12月に精神疾患に関する認定基準が改められました。新認定基準(心理的負荷による精神障害の認定基準)では、うつ病などの精神障害を発症する前のおよそ6ヶ月間で業務中の出来事について、心理的負荷が大きいと判断される場合、労災の認定要件の1つを満たします。

(1) セクハラで「うつ病」は労災

精神障害の労災申請は年々増加傾向にあり、セクハラで精神障害を発症したケースも増えています。

セクハラなど職場での心理的負荷が原因で精神障害を発症したと認定されるためには、精神障害の労災認定である以下の3つの要件を満たしている必要があります。

 

* 認定基準の対象となる精神障害 を発病していること

* 認定基準の対象となる精神障害の発病おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷  が認められること

* 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

(2) 精神障害の労災認定基準

* 認定基準の対象となる精神障害 を発病していること

→認定基準の対象となる精神障害は、精神および行動の障害に分類される精神障害の代表的なものは、うつ病や適応障害、急性ストレス反応などです。認知症や頭部外傷などは含まれません。

 

* 認定基準の対象となる精神障害を発病するまでのおよそ6ヶ月間に、業務中の心理的負担が大きいと判断されること

→「業務による強い心理的負荷」かどうかは、業務による出来事やその後の状況が心理的に負荷を与えたかどうかで判断されますが、セクハラのように繰り返される被害については、発病の6か月より前に始まり、発病まで継続していた時には、セクハラが始まった時からの心理的な負担で評価されます。

 

一般的に強姦や、胸や腰などを触るなどのわいせつ行為が継続されるようなセクハラは「強」、胸や腰などのわいせつ行為はあったが、会社が適切に対応して発病前にそれが解決した場合は「中」と判断されます。

 

* 業務に関係しない心理的な負荷や、個体側の要因によって発病したとは認められないこと

→離婚や別居などの私的な出来事、またアルコール依存症などの個体的要因の有無など、他に発病の原因がないか、慎重に判断されます。

2. セクハラの労災認定事例

セクハラが労災認定されるかについては、さまざまな事情を考慮して慎重に判断されます。なお新認定基準では、セクハラについては、次のように留意事項が述べられています。

 

* セクハラの被害者は、勤務を継続したいとか、セクハラ加害者からのセクハラ被害をできるだけ軽くしたいと思い、やむを得ず加害者に迎合するようなメールを送ってしまったり、加害者の誘いを受け入れることがある。しかしだからといって、セクハラの被害が単純に否定されることはないということ。

 

* セクハラの被害者は、セクハラ被害を受けてもすぐに上司や同僚、会社の窓口に相談しない場合もあるが、だからといってそれが心理的負荷が弱いと判断する理由にはならないこと。

 

* セクハラを受けた被害者は医療機関においてセクハラの被害者であると説明することが難しい場合もあるが、だからといってそれが心理的な負担が小さいと言える理由ではないこと

 

* セクハラの加害者が上司であり、セクハラの被害者が部下であるケースや、セクハラの加害者が正社員で、セクハラの被害者が派遣社員やパートなどの非正規社員であるケースなど、加害者が被害者に対して優位的な立場にあるという事実は、心理的負荷を強める要素になることがあること。

(1) 【事例1】セクハラでうつ病発症

セクハラでうつ病を発症した事例で労災認定されたケースがあります。

以下厚労省の「セクシュアルハラスメントによる精神障害の労災認定について」の事例から抜粋してご紹介します。

Aさんは、B社である視点で経理事務に携わっていたところ、入社後役1年版を経過した頃から、事務室で1人になった時に、上司であるC課長に胸やお尻を触られたり、抱きつかれるというセクハラを受けるようになった。

C課長のセクハラは役6か月ほど続き、Aさんは会社の窓口に相談して、C課長は異動になった。

しかし、この相談を契機にAさんは、いわれのない誹謗中傷を受けるようになり、不眠などの症状が出て精神科を受診したところ、「うつ病」と判断された。

(2)【事例1】セクハラで適応障害発症

セクハラで適応障害を発症した事例で労災認定されたケースがあります。

以下厚労省の「セクシュアルハラスメントによる精神障害の労災認定について」の事例から抜粋してご紹介します。

派遣労働者のDさんは、E社の工場で製造業務に従事していたところ、同じ職場のF主任から女性のs営利減少などの内容を含むセクハラ発言を日常的に受けていた。

Dさんは、セクハラ被害を受けたとして、E社と派遣元のG社に相談して配置換えを希望したが、E社と派遣元のG社は何ら配慮や対処を行わなかった。

Dさんは、吐き気、不眠、食欲不振などの症状を生じて「適応障害」と診断された。

 

3. セクハラで精神障害を発症した時

職場のセクハラが原因で精神障害を発症した場合には、できるだけ早く労災申請に詳しい弁護士に相談しましょう。

(1) 労災請求する

労災申請をするためには、最寄りの都道府県労働局は労働基準監督署に相談する必要があります。

保険給付に必要な請求書は、厚生労働省のホームページからもダウンロードすることができます。

 

ただし労災申請して、労働基準監督署の調査に任せているだけでは、セクハラの事実が十分に明らかにならない可能性もあります。

証拠の収集や労災申請手続きをどのように進めるかなどは、早めに弁護士に相談しましょう。

(2) 慰謝料を請求する

職場のセクハラが原因で精神障害を発症した場合には、セクハラ加害者に慰謝料を請求することができますし、強姦罪や強制わいせつ罪などの刑事責任を追及することもできます。

また、会社が配慮や対処などの適切な措置を講じなかった場合には、会社に対しても損害賠償請求することができます。

 

セクハラの慰謝料は、50万円~300万円のケースがほとんどですが、在職中に訴えていたケースや、PTSDに苦しみ働くことができなくなったなどの事情がある場合には、慰謝料が高額になります。

 

日本銀行事件(京都地裁 平成13年3月22日)では、逸失利益として1年間の給与相当額466万8960円、慰謝料150万円、弁護費用60万円が賠償として認められましたし、青森セクハラ事件では、慰謝料200万円、逸失利益として年収1年分役316万円、弁護士費用70万円が賠償として認められています。

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