「報復人事」もパワハラ!対抗手段とは

パワハラ
パワハラ

 

パワハラは、職場での地位の優位性を利用した職場のいじめ、嫌がらせなどの行為のことで、最近はよく聞かれる言葉になりましたし、社会的な問題として認知されつつあります。

しかし、それでもパワハラの被害は改善されているとはいえず、都道府県労働局に寄せられる相談件数でも「いじめ・嫌がらせ」の件数は増加傾向にあり、紛争調整委員会によるあっせんでも、依然として割合が高いのが実情です。

パワハラは、被害を受けた人の主観をもとにするものなので、どのような行為をパワハラと評価するか否かについては判断が分かれることもあり、それがパワハラ被害がなくならない原因のひとつとも言えますが、パワハラは、脅迫やひどい暴言だけでなく、業務上の合理性がなく左遷させたり、解雇する行為も含まれるとされています。

ここでは、いわゆる報復人事など、パワハラの被害に遭った場合の対処方法などについてご紹介します。

1.「報復人事」はパワハラ

パワハラというと、いじめや嫌がらせ、仲間はずれや無視といった行為をイメージする人も多いと思いますが、気に入らない部下について、報復として不当な扱いをする行為もパワハラに該当します。

 

たとえば、部下から仕事上のミスを指摘された上司が、「部下に恥をかかされた」として逆恨みして部下を左遷したりすれば、それは報復人事によるパワハラに当たります。

また、自分の意見を聞かない相手を配置転換することもパワハラです。

(1) 気に入らない従業員に対する左遷

全国に支店をもつ会社の場合には、定期的に人事異動が行われることが多々あります。

もちろん、会社として従業員に配置転換を命じることは可能ですし、応じるように説得することもとくに問題があるわけではありません。

 

しかし、なかには従業員の事情で、どうしても会社命令に応じることができないケースもあります。

このような従業員の個々の事情に配慮せず、配置転換に応じるよう無理に要求したり、配置転換に応じない従業員に対して、仕事をさせないなどの嫌がらせやいじめ、無視などをすると、それはパワハラに該当します。

(2) 解雇するためのパワハラ

会社の経営上の理由などから従業員を解雇する場合には、会社は30日以上前に解雇予告を行うか、解雇予告手当(、30日分以上の平均賃金)を支払う必要があります。

しかし、従業員が自己都合で退職するのであれば、会社は解雇予告を行う必要もありませんし、解雇予告手当を支払う必要もなくなります。

そのため、従業員を自己都合退職させるために、いじめや嫌がらせなどのパワハラ行為を利用し、追いつめる会社があります。

このような行為が「業務の適正な範囲を超えて」苦痛を与える行為であると判断される場合には、パワハラに該当する可能性があります。

(3) 業務と無関係の嫌がらせ・叱責

上司が部下に対して業務に関する命令や指示を行うことは、上司に与えられた権限ではありますが、仕事と関係なく罵倒したり、仕事と無関係のことを命令して嫌がらせをすれば、ほぼ間違いなくパワハラに該当するといえます。

 

部下に対する叱責などが、業務を行ううえで必要なことであれば問題ありませんが、いじめや嫌がらせなど不当な目的によって発せられた命令であると判断される場合には、違法であり、パワハラに該当します。

(4) 部下から上司へのパワハラも

パワハラというと、「上司から部下に対してされる行為」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、同僚によるパワハラや部下から上司に対するパワハラもあり得ます。

たとえば、統率力のあまりない上司に対して、部下が団結して嫌がらせをするような行為は、パワハラとなります。

2. 「報復人事」に対抗する3つの手段

これまで述べてきたような、報復人事などのパワハラに対抗するためには、まずしっかりと証拠を集めることが重要です。

パワハラの証拠として最も効果があるのが、録画や録音です。

しかし、パワハラはいつ行われるか分からないということも多いものですし、パワハラの被害者のなかには「録画や録音をしていることがバレれば、どんな仕返しをされるか分からない」として、録画や録音が難しいというケースもあるでしょう。

その場合には、第三者の証言や日記、メモなどが証拠となる場合もありますし、パワハラが原因でうつ病などを発症してしまったのであれば、メンタルクリニックなどの診断書が有力な証拠となる場合もあります。

 

そして、労働組合や、労働基準監督署などの相談コーナー、弁護士などに相談しましょう。

(1) 労働組合に相談

パワハラの被害については、相談窓口を設けている会社もありますが、「とても相談できるような雰囲気ではない」という声が多いのも事実です。

その場合には、労働組合に相談してみましょう。相談組合に相談すれば、会社と団体交渉を行ってもらうことができますし、職場環境を改善するよう求めてもらうこともできます。

(2) 労働基準監督署などへの相談

労働基準監督署や都道府県労働局総合相談コーナーに相談するのも、ひとつの方法です。セクハラ被害の告発があった場合には、是正のための指導や立ち入り調査を行い、行政指導を行ったり、解決方法についてアドバイスをしてくれることもあります。

(3) 弁護士への相談

上記2つの方法で改善しない場合には、弁護士に相談するのもおすすめです。

労働基準監督署や都道府県労働局総合相談コーナーでは、指導などの強制的な措置を行うことがないですし、会社や加害者に損害賠償を請求することもできません。

弁護士に相談すれば、報復人事などのパワハラ被害に遭った場合に必要となる証拠や、対抗手段についてアドバイスをもらうことができますし、今後の見通しなどについても併せて質問することができます。

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