残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.08.04

残業代が出ないのは当たり前?

労働基準法では1日8時間・週40時間を超えて残業することを「法定外残業」といい、労働者に法定外残業をさせた場合には、25%の割増賃金を支払う必要があるとしています。

しかし実際には、法定外残業をしているのに割増賃金が支払われていないケースは多々あります。

これは労働者が企業に対して、無料で労働を行っているのと同じです。

サービス残業が当たり前の感覚になってしまっている人も、未払いの残業代についてはきちんと請求していきましょう。

1.残業代が出ない「法定内残業」

法定労働時間は、労働基準法で定められている労働時間の限度で原則として1週で40時間、1日に8時間と定められています。そして使用者(会社)は1日8時間・週40時間を超えて労働者に労働をさせた場合には、割増賃金を支払う必要があります。

 

会社では普通、これとは別に法定労働時間を超えない範囲で、就業規則や労働契約書別途労働時間を定めているものです。この労働時間を所定労働時間といい、この所定労働時間を超えた残業のことは法定内残業といいます。

法定内残業の場合でも社内的には残業代を請求できますが、法律的には会社は労働者に対して、割増賃金を支払う義務はないとされています。

2. 残業代が出ないとされる賃金制度

残業をしたのに、給与明細を見たら残業代が出ていなかったり、少なかったりしても「うちは「みなし残業だから」「年俸制だから残業代は関係ない」と言われることがありますが、実際にはそのような場合でも、残業代を請求できるケースは多々あります。

ここでは残業代が出ないとされる賃金制度について、ご紹介

(1)みなし残業

 

みなし残業とは、実際に残業したかどうかに関わらず、あらかじめ給与の中に一定時間分の残業代が含まれて支払われる制度のことです。たとえばみなし時間が8時間の場合、実際には11時間労働したとしても、8時間だけ労働したものとみなされて、会社には割増賃金を支払う必要がないとされます。

 

しかしこのようなみなし労働時間制は、労働基準法が定める実労働時間制に対する例外規定として、出勤時間や退社時間、昼休みなどの時間配分を、労働者の裁量で決めているなどの厳しい要件が必要になります。

 

しかし実際は多くのケースで、出勤時間も退社時間も決められ、上司にきっちり管理され、出勤時間や退社時間、昼休みなどの時間配分を、労働者の裁量で決めているなどの実態がないにもかかわらず、「みなし労働」の名前のもとに残業代をカットされている可能性があります。気になる人は、早めに弁護士などに相談するとよいでしょう。

またみなし労働時間制が適切に適用されている場合でも、休日労働の割増賃金や、深夜労働の割増賃金については、会社は支払い義務を負いますので、この点にも注意しましょう。

(3) 年俸制

年俸制とは、年間の賃金総額や支給方法について、予め労使で合意しておく制度です。

年俸制で賃金が決められている場合、会社側から「年俸制だから、時間外手当が賃金に含まれている」と主張されることがありますが、年俸制だからといって、当然に残業代を支払わなくて良いというわけではありません。

 

年俸制でも、契約書や就業規則によって時間外手当として支払われている金額が明示されているか、時間外手当の額が簡単に計算できるように明示されている必要があります。

 

なお仮に就業規則で「年俸制だから時間外手当は支給しない」と規定されている場合でも、これは労働基準法違反であるとして、無効とされています(システムワークス事件・大阪地裁・平成14年10月25日)。

(4) 歩合制

会社側から「歩合制だから、時間外手当や割増賃金は支払う必要がない」と主張される場合がありますが、歩合制なら常に残業に伴う割増賃金を支払う必要がなくなる、というわけではありません。

 

歩合制の場合にも、労働契約書や就業規則によって時間外手当として支払われている金額が明示されているか、時間外手当の額を簡単に計算できるように明示されている必要がありますし、その額が労働基準法の割増賃金に満たない場合には、差額を請求できる可能性があります。

(5) 管理監督者

労働基準法では「監督若しくは管理の地位にある者、または機密の事務を取り扱う者は労働時間、休憩、休日についての規定を適用しない」ことを定めています(41条)。

つまり管理監督者に当たるとされた労働者には、法定労働時間がないことになり、法律上の残業は存在しないことになるわけです。

しかしなかには、どう考えても管理監督者に該当するとは思えないのに、無理やり「管理監督者だ」とされているケースが少なくありません。いわゆる「名ばかり管理職」の問題です。

 

行政の通達では管理監督者とは、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされていますが、判断する際には会社の名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとしています。

 

多店舗展開する直営店の店長や係長などが、「管理監督者だから」という理由で残業代をカットされるケースがありますが、しっかりと請求すれば多くのケースで残業代が支払われます。諦めないようにしましょう。

3. 未払いの残業代を請求する方法

未払いの残業代を請求したにも関わらず、会社側に拒否されるケースは多々あります。

残業代の請求は、第三者を介在させないと解決は困難です。拒否されたからといって、簡単に諦めてしまわずに、労働基準監督署や弁護士に相談してみましょう。

(1) 労働基準監督署に相談する

労働基準監督署では、残業代や賃金の不払いなどの労働問題についての相談を受け付けています。

よく労働基準監督署のことを、「何でも労働基準監督署が対応してくれる」というイメージを持つ人がいますが、労働基準監督署はトラブルを解決してくれる機関ではありません。

また、残業代の支払いを命令してくれる機関というわけでもありませんので、あくまで会社の行為を是正する機関として考えておいた方がよいでしょう。

(2) 弁護士に相談する

未払いの残業代について弁護士に相談すれば、弁護士は労働者の基本的な労働条件について確認し、必要となる証拠についてアドバイスをしてくれたうえで、迅速に会社との交渉を行ってくれます。

話し合いに応じようとしなかった場合でも、弁護士が介入することで、スムーズに協議が進むケースもあります。

また協議が難航して後々労働審判や労働裁判に手続きが移行した場合でも、必要な手続きを迅速に進めることができます。

 

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