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毎日大量の仕事に追われ、深夜まで残業をしている人はいますか?
残業をした場合、労働基準法により雇用者は労働者に残業代として割増賃金を支払わなければいけません。
しかし、会社によっては残業代を正しく支払っていないケースもあるようです。そのため、自分の残業代が正しく計算されているのか不安です。
そこで今回は、残業代の計算方法について説明していこうと思います。
1.残業代算出の基礎知識
(1)残業代の計算方法
残業代の金額を計算するためには、まず大まかな計算方法を抑えておきましょう。
残業代は時給制で算出され、以下のような式で計算されます。
残業代の金額=基礎時給×割増率×残業時間
基礎時給×割増率の部分が残業代の時給です。その時給で何時間残業したかで残業代はきまります。
基礎時給とはその人の月給を時給に換算した金額です。雇用条件は人によるため正確に算出するのは難しいですが、1日8時間労働で月20日出勤なら月給を8×20の160で割ってみましょう。
(2)各種手当は基礎時給に含める?
また、各種手当に関しては基礎時給に含められるものと含められないものがあります。手当に該当する社員なら誰でも一律に受け取ることができる手当なら基礎時給に入りますが、人によって金額が変わる手当は入りません。具体的に言えば、役職手当や営業手当、赴任手当などは基礎時給に含めることができます。しかし、通勤手当や住宅手当、賞与などは金額に個人差があるため基礎時給には入りません。ただし、通勤手当や住宅手当が実際にかかる金額に関わらず一定金額が支給されるといった場合は基礎時給に含めることが可能になります。
本来基礎時給に含めるべき手当を含めずに計算すると、実際の残業代の時給よりも低くなってしまいますので注意が必要です。
(3)割増率は基礎時給の25%から
残業代の割増率は基礎賃金の25%となります。つまり、基礎時給に1.25を掛けて残業代の時給を計算します。
また残業をした時間が法定休日に当たる場合は割増率は35%、法定労働時間を超えた深夜労働なら割増率は50%です。
残業時間が長くなればなるほど割増率は高くなります。それによって残業のコストが会社にとっても高くなり、残業を減らす取り組みをするためのインセンティブになります。
2.残業代の時給の平均は?業界ごとの相場
厚生労働省によれば、国内における残業代の時給の平均は1800円くらいが相場です。ただし、残業代の時給の平均は業界によって差があります。
例えば、製造業や情報通信業では残業代の時給の平均は2000円くらいが相場です。
また、金融業や運輸業、学術研究などでは1800円、不動産業や小売業で1600円です。最も低いのが、教育業で660円ほどです。
残業代の時給の多寡はその業界の給与水準に左右されます。
3.残業代が少なく感じられた場合は?よくある不当な残業代トラブル
(1)みなし残業や年俸制など特殊な雇用形態を都合よく利用されている
一般的な雇用形態ではなく、みなし残業や年俸制といった特殊な雇用形態を経営者が自分の都合が良いように利用しているケースがあります。経営者が労働基準法に無知だったり、違法性を知っていながらコスト削減を図っていたりなどの要因が考えられます。
しかし、たとえみなし残業制だったとしてもみなし残業時間を超越した残業時間には追加で残業代が発生します。また、年俸制だったとしも法定労働時間以上残業すれば残業代が発生します。
そのため、もう一度自分の雇用形態と残業代を見直し、残業代が不当に未払いになっていないか確認してみましょう。
(2)残業時間を不当に削られている
経営者によって従業員の残業時間を不当に削られているケースもあります。経営者がわかりやすく残業時間を直接削っていることもありますが、わかりにくいのが制服への着替え時間や手待ち時間といった時間です。例え仕事が発生していない時間だったとしても、雇用者の管理下にあれば労働時間としてカウントされます。
(3)名ばかり管理職になっている
管理監督者には一般的に残業代は発生しません。しかし、管理監督者は会社が自由に認定できるものではなく、法律でその定義が厳しく決められています。
特に重要なのが裁量権の有無です。仕事や経営に裁量権が与えられていないのに、管理監督者とすることはできません。
4.まとめ
労働者にとって生活を支える存在にもなっている残業代。
計算方法がわかりにくいからこそ、不正な金額で支払われていても気が付きにくいという現状があります。そのため、しっかりと自分の残業代が正しく支払われているか確認するために、計算方法を抑えておくことをおすすめします。