残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2019.10.26

    残業代が出ないは間違い!みなし残業制度とは

    会社からみなし残業代としての給与を受け取っているという方も多いのではないでしょうか。一般的なイメージとして、みなし残業制度であればいくら残業しても残業代が出ないと思っている人は多いです。

    しかし、そのような働かせ方は実際は違法です。今回はみなし残業制度について詳しく解説していこうと思います。

    1.みなし残業制度とは

    みなし残業制度とは、あらかじめ決められた時間分の残業時間を一律で残業したものとして一律で残業代を支給する制度です。「みなし残業制度」の他に「固定残業代制」と呼ぶこともあります。

    残業代があらかじめ一定額が固定給として定められていることが特徴です。

    このように書くと、従業員だけがあたかも不利益を被っているようにも感じられます。しかし、だからこそみなし残業制度を採用するためには法律によって厳しい基準が設定されており、その基準をクリアしなくてはみなし残業制度を採り入れることは許可されていません。

    また、基準をクリアできた場合であっても、みなし残業時間を超える残業が発生した場合には、超えた分の残業時間は支給しなくてはなりません。

    2.みなし残業制度が許可される条件

    みなし残業制度はどんな会社でも自由に取り入れることができるわけではありません。みなし残業制度を採り入れるためには、以下の2点を満たす必要があります。

    (1)従業員に周知され同意を得ている

    みなし残業制度を採り入れるためには、給与の中にあらかじめ残業代が込みであることを、経営者は従業員に知らせなければなりません。

    ただ口頭で、「この会社はみなし残業制度だから、いくら残業しても残業代は一律しかでない」と説明しただけでは不十分で、就業規則などの書面でしっかりと知らせないといけません。

    (2)固定残業代の金額と時間が明記されている

    みなし残業制度を採り入れるためには、固定残業代の金額とそれに相当する時間を明記する必要があります。

    例えば、「月給25万円(固定残業代含む)」のみの記載では、月給のうち固定残業代はいくらで、それは何時間分なのかはわかりません。

    みなし残業制度を採り入れるためには、固定残業代の額と時間をしっかりと具体的に明記する必要があります。

    例えば、「月給25万円(40時間分の固定残業代6万円含む)」という形で記載することになります。

    そして、もしもそのみなし残業時間以上の残業をした場合には、その分の残業代を支払う必要があります。

    3.みなし残業制度を採り入れる理由

    企業がみなし残業制度を採り入れる理由として、給与の計算が楽になるということが挙げられます。

    残業代は従業員全員に一定金額を支給すれば良いため、みなし残業制度内で定められた残業時間であれば、残業代の計算が非常に楽になります。そして、既定の残業時間を超えた残業時間が発生しても、残業代の単価は安くなりますので残業代を削減することができます。

    従業員としても、毎月一定の給与が安定的にもらえるというメリットがあります。また、仕事が遅い人が多く残業することで時間内に仕事が終わる仕事が早い人よりも多くの残業代を受け取るという不公平感を防ぐことができます。

    以上のような理由から、みなし残業制度は多くの人に支持され取り入れようとする企業が増加しています。

    4.みなし残業制度を採り入れるデメリット

    一見メリットの多いみなし残業制度ですが、デメリットも存在します。

    まず、企業は従業員の残業時間があらかじめ定められた残業時間よりも少ない時間であっても、それ以上の残業代を一律で支払わなければいけません。そして、既定の残業時間よりも従業員が多く残業をした場合は、超えた分の残業代を別途で支払わなければいけません。

    従業員としても、みなし残業制度では既定の時間内であれば休日出勤や深夜残業をしてもその分は割増賃金になりません。

    このように、みなし残業制度は企業と従業員の双方にメリットとデメリットが存在する制度です。しかし、中には従業員だけがデメリットを被るような悪質な運用を行っているブラック企業も存在しますので注意が必要です。

    5.超過分の未払い残業代は企業に請求できる

    ブラック企業では従業員が規定の残業時間以上の残業をしているにもかかわらず、残業代を支給せずに働かせ放題にしているようなケースがあります。

    そのような超過分の未払い残業代は弁護士に相談することで企業に請求することができます。

    もしも自分の会社の給与に思い当たることがあるようでしたら、気兼ねなく弁護士に相談するようにしましょう。ただし、未払い残業代の時効は2年ですので、早めに行動に移すことが大切です。

    6.まとめ

    みなし残業制度はあらかじめ決められた残業代を給与に含める仕組みです。

    みなし残業制度は企業にとっても従業員にとってもメリットが存在する一方で、デメリットがあることも事実です。

    また、みなし残業制度を採り入れるためには満たさなければいけない条件も決められています。そのため、もし自分の会社がみなし残業制度なのであればしっかりと正しく運用されているのか見直してみてはいかがでしょうか。

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