残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.08.03

残業代に関する法律|労働基準法

最近は残業代について声を上げる労働者が増え、労働行政の監督・指導が強化されるようになりました。これを受けて是正勧告を受ける会社が増えてはいますが、依然としてサービス残業や未払いの残業代の問題は増え続けています。

サービス残業することが、当たり前のように感じている労働者も多くいますが、残業代を支払わない場合には決して当たり前のことではなく、労働基準法違反となる可能性すらあります。

ここでは、残業代に関する法律である労働基準法や、残業代の請求方法などについてご紹介します。

1. そもそも残業には2種類ある

残業とはいわゆる時間外労働のことですが、大きく分けて法内残業と法外残業とがあります。

(1) 法内残業(法定労働時間内の残業)

法内残業とは、労働契約や就業規則で規定されている労働時間を超えてはいるが、労働基準法32条の「1日8時間、週40時間」を超えない範囲での労働時間のことをいいます。

法内残業の場合、法律上は会社が労働者に時間外の割増賃金を支払う必要はありません。

(2) 法外残業(法定労働時間外の残業)

法外残業とは、労働基準法32条の「1日8時間、週40時間」を超えて労働させた場合で、法外残業については法律上、時間外の割増賃金支払い義務が生じます。

2. 残業代に関する主な法律

労働基準法とは、労働時間や休日や賃金など、労働者の労働条件に関する最低基準について規定した法律です。

残業や残業代を計算するうえで必要となる割増率など残業に関する基準も、この労働基準法に規定されています。

(1) 労働時間

労働時間については、労働基準法第32条で「原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならない」と規定されています。

したがって1日もしくは週の所定労働時間は、この限度内で定める必要があるとされています。

(2)休日

休日とは、労働契約上労働義務のない日のことをいいます。

休日については、労働基準法第35条で「毎週少なくとも1日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」と規定されています。

さらにこの4週の起算日は、労働契約や就業規則で明らかにする必要があるとしています。

 

【労働基準法35条】

1.使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

2.前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

(3) 時間外労働の割増率

時間外労働をさせる場合には割増賃金の支払が必要で、時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上となります。

休日労働や深夜業をさせる場合にも割増賃金の支払いが必要となりますが、休日労働に対する割増賃金は、通常の賃金の3割5分以上で、深夜業に対する割増賃金は2割5分以上となります。

 

割増率については労働基準法で割増率が規定されていますが、労働契約や就業規則などで労働基準法の定めを上回る内容が規定されている場合には、その割増率に従います。

なお労働契約や就業規則に規定がない場合や、規定があっても労働基準法の定めを下回っている場合には、労働基準法の規定に従うことになります。

(4) 三六協定

労働者に、法定労働時間を超えて労働してもらうためには、会社は事前に労働基準監督署に書面を届けておかなければなりません。

この書面には、従業員の過半数で組織する労働組合か、もしくは従業員の過半数を代表する者の署名が必要です。

【労働基準法37条】

1.使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

2.前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。

3.使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

4.第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

【労働基準法37条1項】

1.使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

(5)みなし労働

みなし労働とは、営業職など1日のうちほとんどを社外で労働するなど、労働時間を算定するのが困難な場合に、実際の労働時間にかかわらず前もって定めておいた時間分、労働したものとみなす制度です。

 

みなし労働については、労働基準法第38条で「労働者が事業場外(会社外もや出張など)で労働し、使用者がその労働時間を把握できない場合(何時間労働したか分からないとき)は、原則として所定労働時間労働したものとみなす」と規定されています。

みなし労働制の対象となるためには、労働者自身が出勤時間や貴社時間などを自由裁量で決めていることが必要です。

ですから事業場外における労働であったとしても、実際には労働時間を管理する上司がいたり、具体的な指示を受けて業務を行ったり帰社したりしていれば、みなし労働制の対象とはなりません。

【労働基準法38条】

1.労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

2.坑内労働については、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。但し、この場合においては、第34条第2項及び第3項の休憩に関する規定は適用しない。     

(6)管理監督者(労働基準法第41条)

労働基準法第41条では、次の労働者には労働基準法で定める労働時間、休憩、休日の規定が適用されない、つまり残業代の支払い義務などがないとしています(深夜、年次有給休暇に関する適用はあります)。

* 農業又は水産業等の事業に従事する者

* 管理監督者、機密の事務を取り扱う者

* 監視又は断続的労働に従事する者

* 宿日直勤務者

 

ここで問題になるのが、管理監督者の判断基準です。

労働基準法第41条では、管理監督者について「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」と規定していますが、それらしい役職や肩書がついていれば、すぐに管理監督者になる訳ではありません。

 

管理監督者か否かについて、過去の判例では「肩書きには関係なく、①職務内容・権限・責任等、②労働時間管理の現況、③待遇実態によって判断されるべきとしています(日本マクドナルド事件 東京地判平成20年1月28日)。

 

会社が残業代を払わないための口実として、労働基準法第41条でいう管理監督者とは到底言えない労働者を「管理職」だとして、残業代を支払わないケースは多々あります。

残業代を支払う必要のない管理職といえるか納得できないという方は、早めに弁護士に相談してみるとよいでしょう。

 

【労働基準法41条】

この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

1 別表第1第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

2 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

3 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 

(7)消滅時効(労働基準法115条)

消滅時効とは、ある一定期間権利を行使しない時に、権利を消滅させる制度です。

残業代の消滅時効については、労働基準法第115条で「この法律の規定による賃金の請求権は2年間で時効によって消滅する。」と規定しています。

つまり未払いの残業代があっても、請求しないまま2年が経過してしまうと、残業代を取り戻せなくなってしまうというわけです。

 

なおこの「2年」について「退職してから2年以内に請求すれば、在籍中の残業代を取り戻せる」と誤解している人がいますが、残業代の時効のスタート(起算点)は、毎月の給料日の翌日から始まります。

つまり毎月毎月給料日がくるたびに、2年前の残業代を請求する権利が消滅してしまっていることになります。

残業代に納得がいかない方や、残業代を請求したいと考えている方は、ぜひ早めに弁護士に相談して、必要な証拠や会社との交渉方法などについてアドバイスを受けることをおすすめします。

 

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