失業してしまった人にとって当面の生活において最も頼りになるのが失業保険です。しかし、退職理由によっては受給するまでの間に3か月の受給制限があるため、その間の生活に不安を覚える方も多いかと思います。しかし、失業保険の受給中にアルバイトをしてしまったら場合によっては受給額を減額されてしまうこともあるため注意が必要です。
今回は、失業保険を減額されないためのアルバイト上での注意点について詳しく説明していこうと思います。
1.失業保険減額の仕組みと計算
まず、アルバイトをしたことによって失業保険がどのように減額されるのでしょうか。
アルバイトによって失業保険が減額される基準は、「総収入が賃金日額の8割を超えたかどうか」です。つまり、失業保険として受給している「基本手当日額」とアルバイトなどによる「賃金―控除額」の合計が「賃金日額」の8割を超えている場合は失業保険が減額されます。控除額は1日4時間以内の労働である内職をしたときに控除される金額です。
失業保険の減額を計算する際は基本手当日額の上限に注意が必要です。基本手当日額は離職前の給料の1日当たりの金額ですが上限があります。
例えば、30歳~44歳の人の基本手当日額の上限は14,150円となっております。たとえ、計算上の基本手当日額がこれ以上となっていても、基本手当日額は14,150円となります。
つまり、14,150円の8割は11,320円ですので、この金額以上の総収入がある場合は失業保険が減額されます。
そのため、失業保険の受給中にアルバイトをしたいが失業保険を減額されたくないという人は総収入がこの金額内に押さまる範囲でアルバイトをするようにしましょう。
2.アルバイトをした日の失業保険は先送りになる
失業保険受給中にアルバイトをした場合、所得が発生しますので、その日の失業保険は給付されません。ただし、その日の分がもらえなくなるのではなく、あくまでも先送りになるだけです。つまり、最終的にもらえる失業保険の合計は同じです。
例えば、5日間アルバイトをした場合、その月に受け取ることができる失業保険の金額は5日分減りますが、支給日数としての5日分は残っておりませんので後から受け取ることができます。
3.不正受給になる可能性も
失業給付受給中にアルバイトをすることは可能ですが、その収入を正直にハローワークに申告しなければなりません。失業保険を減額されたくないからと、この申告を怠ってしまったり、虚偽の申告をしたりしたことが発覚した際には、厳しい罰則が課せられます。
不正受給となる例としては、失業保険受給中に就職やアルバイトを始めたことを正直に申告しなかった場合が多いですが、その中には日雇いや試用期間も含まれますので注意が必要です。
不正受給が発覚すれば処分が課せられます。まず、支給停止として今後の失業保険がもらえなくなります。また、返還命令として不正受給した分をすべて返還しなければなりません。さらに、納付命令として不正受給分の2倍の金額を納付しなければならなくなります。合計して不正受給分の3倍を払わなければならないため、この処分を「3倍返し」と言われています。
ちなみに不正受給が発覚する理由で多いのが雇用保険への加入です。アルバイトを始めれば雇い主は雇用保険への加入手続きを行いますが、雇用保険の管理をしているのはハローワークですので発覚します。また、意外と多いのが密告による発覚です。前の職場の人や周りの人が密告することが多いです。
失業保険の不正受給は意外とバレます。もし失業保険の受給中にアルバイトを行った場合は、ハローワークに正直に申告しておくようにしましょう。
4.まとめ
失業保険の受給中であってもアルバイトをすることは可能です。
しかし、アルバイトの収入が多くなりすぎて、一定の基準を超えた場合は失業保険から減額されますので注意が必要です。失業保険が減額されるかどうかの基準は、総収入が賃金日額の8割を超えたかどうかです。
このラインを超えた際には失業保険が減額されます。逆にこのラインを超えない範囲でしたらアルバイトで収入を得ていたとしても失業保険を満額で受け取ることができます。
そして、失業保険の受給中にアルバイトをした際には、必ずアルバイトを行った旨をハローワークに申告しましょう。この申告を行わなかった場合は不正受給となり処分されますので注意が必要です。