不当解雇された場合には、失業保険の給付を受けられることをご存知でしょうか?
今回は、不当解雇された際の失業保険の手続きについて解説していきます。
1.失業保険の給付を受ける
不当解雇によって仕事を失えば、収入もなくなることになります。そのままでは生活が大変なことになりますから、失業保険の給付を受けましょう。
失業保険は、労働者が自ら辞めたり、解雇されたりしたとき、あるいは倒産などの理由で仕事を失った場合に、新しい仕事がみつかるまでにもらえるお金のことを言い、国による制度です。
失業保険を受給するためには、条件があります。
1 就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、再就職を目指す努力をしていても職業に就くことができない「失業の状態」にあること
2 解雇の場合は退職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で6カ月以上あること
これらの条件に適合していることが給付にあたっては必要です。
仕事を失ったからといって、そのまま誰でももらえるというわけではありません。
また、受け取ることができる「基本手当て」の日数は、年齢や雇用保険の被保険者期間によって異なってきます。例えば、30歳未満で被保険者期間が1年未満の方であれば、90日となっています。基本手当ての日額は年齢区分ごとに上限があり、30歳未満の場合は6370円となっています。
2.失業保険の手続きで注意しないといけないこと
ただし、不当解雇によって仕事を失った場合、失業保険の手続きに際して注意しておかなければいけないことがあります。
失業保険の手続きをするとき、会社から離職票というものをもらわなければいけません。
離職票が給付を受けるために必要な書類の1つと定められているためです。ただ、離職票をもらった上で手続きをして失業保険の給付を受ければ、不当解雇であるのではなく、解雇されたことを認めているとみなされてしまう可能性があります。
それを防ぐためには、解雇が不当であるとして会社と争っている際に発行される書類、例えば地位確認請求訴訟の訴状や受理証明書などや、解雇は無効ではあるが失業保険の仮給付を受けるために請求するという内容を書面にしたものなどを、請求するときに提出することが重要となります。
不当解雇についての慰謝料請求が認められたとき、その解決の内容によっては、失業保険の仮給付によって受け取っていたお金は返還する必要が出てくる場合があります。
解雇が不当であることが認められ、会社に復職することになったときは失業していた状態はなくなるようなときなどです(その場合は解雇されていた期間中の給与を請求することになります)。その点も忘れずにおくとよいでしょう。