セクハラ
セクシャル・ハラスメントとは職場内での性差別的な要素を含む言動や嫌がらせを言い、男性から女性、女性から男性、同性同士の場合もセクハラと認められます。定義が曖昧なため、セクハラに該当するかしないかは、受けた本人の判断次第となりますが、周りがその状況を明らかに不快に感じている場合にはセクハラに該当する場合があります。
2017.07.20

セクハラ(セクシャルハラスメント)に関する法律。これって法律的にセクハラ?

セクハラとは、「相手の意思に反して、不快感を与えたり不安な状態に追いこむ性的な言動や行為」で、労働者の尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為です。

セクハラの概念は、男女雇用均等法11条1項で定められていますが、セクハラを犯罪として直接罰する法律はありません。

ただしセクハラの行為が身体接触を伴う場合には、強姦罪、強制わいせつ罪に問われる場合もありますし、性的な噂を流したりすれば、名誉毀損罪、侮辱罪が成立する場合もあります。

また加害者個人だけでなく、会社に責任が生じる場合もあります。

1.セクハラとは

セクハラとは、性的な言動や行為であり、対価型セクハラと環境型セクハラの2つの類型に分類されています。

(1)セクハラの類型

「対価型セクハラ」とは、労働者が嫌がっているのに性的なことを言って、それについて労働者が拒否や抵抗をしたところ、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることです。たとえば性的な関係を要求したが拒否されたり抗議を受けたりしたため、その労働者を解雇したり、降格したりする事例が代表例です。

「環境型セクシュアルハラスメント」とは労働者が嫌がっているのに性的な言動を繰り返すなどして、労働者の就業環境が不快なものとなったため、就業する上で支障が生じることです。

たとえば労働者が採算にわたり抗議をしているのに、職場にヌードカレンダーを貼っている場合や、上司が労働者の腰、胸等を触ってくることを苦痛に感じて仕事に集中できない……などは、この「環境型セクハラ」に当たります。

(2)男女とも被害者・加害者になり得る

セクハラというと、男性が加害者で女性が被害者というイメージを持っている方も多いと思いますが、男性が被害者で女性が加害者となる場合もありますし、同性同士のセクハラもあります。

たとえば女性上司が男性の部下に「男のくせしてだらしない」と言い、その部下がそれを不快に感じればそれはセクハラになります。

2.男女雇用機会均等法

セクハラを直接罰する法律はありませんが、セクハラの概念は、男女雇用機会均等法第11条1項で以下のように規定されています。

【男女雇用機会均等法第11条1項】

事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、または当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることが無いよう、当該労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

この男女雇用機会均等法第11条1項で規定されているのは「職場におけるセクハラ」であり、会社は職場でセクハラが発生しないように必要な措置をとらなければならないとされています。

3.加害者の刑事上の責任

セクハラは被害者の尊厳、名誉、プライバシーなどを傷つける言動・行為であり、悪質なケースでは加害者には刑事上の責任が生じる場合があります。

(1)公然わいせつ

公然わいせつ罪(刑法第174条)とは、不特定多数の人の目に触れるような場所で公然とわいせつな行為をする罪です。

セクハラが不特定多数の人の目に触れるような場所で行われた場合には、公然わいせつ罪が成立する場合があります。

また、わいせつな画像を常時パソコンに表示するなどすると、わいせつ物陳列罪(第175条)が成立する可能性があります。

(2)強制わいせつ

相手が嫌がっているにも関わらず、暴行または脅迫して、服を脱がせたり、キスをしたり、身体に触るなどするときには、強制わいせつ罪(刑法第176条)が成立します。

(3)強姦罪

相手が嫌がっているにも関わらず、暴行または脅迫して性行為を行った場合には、強姦罪(刑法第177条)が成立します。

(4)準強制わいせつ罪

人が心神喪失もしくは抗拒不能になったことを利用したり、または心神を喪失させたり抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした場合には、準強制わいせつ罪(刑法第178条)が成立します。

(5)名誉棄損・侮辱

「異性関係が派手だ」「男性上司と不倫している」などの噂を流したり、本人に「男好きなんだろう」「女好きなんだろう」などの性的な発言をすると、名誉棄損罪(刑法第230条第1項)や侮辱罪(刑法第231条)が成立する可能性があります。

4.加害者の民事上の責任

セクハラ行為をした本人は、不法行為(民法709条)に問われるほか、債務不履行(民法415条)に問われる場合もあります。

(1)不法行為による損害賠償

セクハラによって人権侵害された場合には、不法行為に基づいて損害賠償を請求することができます。損害賠償の内容としては、セクハラによって受けた苦痛に対する慰謝料のほか、セクハラが原因で休業や退職した場合には「働いていればもらえたはずの給料の一部(逸失利益)」を求めることもできますし、セクハラが原因でPTSDなどの病気になってしまった場合には、その治療費を請求できるケースもあります。

(2)財産以外の損害の賠償

不法行為(民法709条)による損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならないとされています(民法710条)。

5.会社の損害賠償責任

セクハラ行為をした本人は、不法行為(民法709条)に問われますが、会社も損害賠償責任を負うことがあります。

会社には、セクハラが起きないように予防し、もしセクハラが起きたら適切に対応する義務があるので、これらの義務を怠っていた場合には、加害者本人と会社に損害賠償請求することができます。

(1)使用者の責任

会社は、従業員が事業の執行に当たるうえで、第三者に損害を与えた場合には、その損害を賠償する責任を負います(民法715条)。

(2)共同不法行為者の責任

会社は、セクハラの被害者が損害を被ったことについて、たとえ気づいていない場合でも、責任をとらなければならない場合があります。

使用者責任がたとえ否定されたとしても、共同責任を負う場合もあります。

過去には、セクハラ防止について組織的措置を行っていたとはいえないとして、加害者と共同責任(民法719条)を負うべきであるとされた事例もあります(鹿児島セクハラ社団法人事件・鹿児島地裁判決・平成13年11月27日労判836号)。

(3)債務不履行による損害賠償

会社には、雇用契約上労働者に対して安全配慮義務があり、セクハラを認知したにもかかわらず、放置した場合には、この義務を怠ったものとして、債務不履行責任を負うことがあります(民法415条)。

(4)代表者の行為についての損害賠償責任

会社代表者がセクハラを認知したにもかかわらず、必要な措置を講じなかった場合には、代表者の行為についての損害賠償責任を負う場合もあります(会社法350条)。

6.セクハラの悩みは一人で抱え込まないこと!

セクハラの悩みは、早目に弁護士に相談することをおすすめします。

「セクハラ被害で損害賠償を請求したら、裁判で解決までに何年もかかるのではないか」と弁護士に相談するのを躊躇する方もいらっしゃいますが、弁護士が介入し相手と交渉した結果、裁判になる前に和解が成立するケースもあります。

また、労働審判手続は原則として3回以内の期日で審理を終了するので、裁判より労働問題の早期解決が可能となります。

このほかにも解決方法はたくさんあります。

弁護士は、相談者の意向を十分尊重したうえで、いくつかある解決方法のなかから最も良い解決策を提示しながらサポートをしてくれます。

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