パワハラ
パワーハラスメントとは職場内での立場や人間関係などを利用し、業務範囲を超えて精神的苦痛や身体的苦痛を与える行為やその行為により職場環境を悪化させることを言います。一般的に上司から部下というイメージがありますが、先輩・後輩間、同僚同士、部下から上司に対しての行為でも該当することがあります。
2018.02.05

内部通報でパワハラ、解雇…~対処方法はあるか

従業員が、社内の不正行為や違法行為などについて内部告発をした場合、告発された会社がその労働者に対する報復として制裁や処分をすることがあります。

ひどい場合には、解雇などに追い込もうとするケースもあるのです。

 

しかし、公益通報者保護法では、内部告発を行った労働者が内部告発を行ったことを理由として解雇や左遷されることを禁止しています。

 

誠実な内部告発は正当な行為ですし、これを理由とする処分は許されません。ただし「どこに内部告発するか」によって、解雇の制限内容が異なるため、注意が必要です。

1.内部告発について

従業員や下請け業者が、社内の不正行為や違法行為について内部告発をした結果、会社が報復措置として、その従業員を左遷・解雇したり、下請け業者との取引を停止するなどの制裁や処分を行うことがあります。

なかには従業員の制裁や処分だけにとどまらず、労働者やその従業員が働いている下請け業者に対して名誉棄損を理由とする損害賠償請求をする会社もあります。

 

しかし、正義感から内部告発をする行為は正当な行為ですから、これを理由とする処分は許されませんし、損害賠償を請求されても応じる必要がないケースがほとんどです。

(1)告発者の保護(公益通報者保護法)

公益通報者保護法では、内部告発を行った従業員が企業から解雇・左遷などの不利益を受けることがないよう、内部告発を理由とする報復的な解雇や左遷は禁止されています。

 

公益通報者保護法第6条2項では「第3条の規定は、労働契約法第16条の規定の適用を妨げるものではない」と定められていて、同法3条は、同法で保護される公益通報を理由とした解雇は無効であると定めています。

■通報先によって保護要件が異なる

ただし、どこに内部告発をするかに応じて解雇の制限内容が異なるために、注意が必要です。

実は、公益通報者保護法では、どの機関に公益通報するかによって、その保護要件がそれぞれ規定されています。

これに対して警察などの行政機関に告発をした場合であれば、原則として従業員の解雇は許されません。しかし、マスコミなどに告発する場合には、従業員側の責任を問われる場合があります。そして、従業員側に「マスコミに通報しなければ、会社に証拠を隠滅される恐れがあった」といった事情がない限り、通報を理由とした解雇が認められる場合もあるのです。

 

ただし、このような事情がないケースでも、やはり解雇が相当ではないと認められるケースも多々あります。したがって公益通報者保護法によって保護されない公益通報に解雇権濫用法理である労働契約法16条が適用されないとの解釈が行われることを避けるため、念の為に公益通報者保護法6条2項が規定されていると解釈されています。

2.内部告発をめぐる事例

内部告発をした結果、会社に不利益な処分をされた場合には、その不利益処分が有効か無効かについて判断することになります。

処分について過去の裁判例を見ると、【1】その告発に係る事実が真実か、あるいは真実であると足りる合理的な理由があるか、【2】告発内容に公益性が認められ、同期も公益を実現する目的であるか、【3】告発方法が相当であるか、の3点から処分正当性を判断しています。

 

真実であると考えることが相当とはいえない場合や、内部告発したことが会社の秩序を乱したかったなどの不当な告発目的がある場合には、不利益な処分が有効であると判断されることもあります。

(1)トナミ運輸事件

トナミ運輸事件(富山地裁 平成17年2月23日)では、従業員Aが「会社が同業社とヤミカルテルを締結していること」を新聞社などの外部機関に告発したことについて、退職を強要されたり、草むしりなどの雑務しかさせてもらえないなどのパワハラ被害を受け、昭和48年に昇格して以来全く昇格しなかったとして、平成14年に昇格停止による賃金の差額相当分の損害賠償を請求しました。

この事案では、従業員Aに仮に人事考課情不利益に扱われてもやむを得ない言動があったとしても、それ以降の査定については、内部告発による不利益な措置が理由として混在しているとして、同期で最も昇進が遅い従業員を標準として、その7割について損害賠償を認め、会社に対して弁護士費用と併せて1365万円の損害賠償の支払いを命じました。

(2)オリンパス事件

オリンパス事件(東京高裁 平成23年8月31日)では、上司が取引先の従業員の雇い入れを検討していることをしった労働者Bが、取引先とのビジネス関係が悪化することを懸念し、内部通報を行ったところ、次々と配置転換を命じられ、その命令が有効か否か問題となりました。

裁判所は、これらの命令が制裁的にされたものと判断し、配置転換先の業務の知識がないため、新人同様に勉強を行わなければならないことは、従業員Bに対する嫌がらせであると判断し、いずれも不法行為であると認定し、会社に対して弁護士費用と併せて220万円の損害賠償の支払いを命じました。

3.内部告発の方法

これまで繰り返し述べてきたように、内部告発者は、公益通報者保護法で保護されています。

この公益通報者保護法でいう公益通報とは、労働者が不正の目的ではなく、労務提供先等について「通報対象事実」が生じまたは生じようとする旨を「労務提供先(職場)」「行政機関」「マスコミ等の報道機関」に通報することをいいます。

 

この「通報対象事実」とは、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表(※)に掲げるものに規定する罪の犯罪行為の事実などです。

 

※刑法、食品衛生法、 証券取引法、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、個人情報の保護に関する法律など。

(1)証拠を集める

会社による制裁や処分について反論をするためには、内部告発が正当なものであるか否かがまず重要です。

告発内容が真実であること、真実であると信じることが相当であることを基礎づけるだけの証拠資料を積極的に集めるようにしましょう。

また、内部告発した後の会社の言動も逐一記録するようにしましょう。

(2)「公益通報」か判断できない時は

公益通報者保護法で保護される通報かいなか判断できなかったり、通報内容が真実であること、もしくは真実であると信じることが相当であることを基礎づけるためには、どのような証拠が必要となるかについては、早めに弁護士に相談しましょう。

また、「どこに内部通報すればよいか分からない」といった場合にも早めに弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

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