最近、国内で働き方改革(働き方改革関連法案)の促進が広まってきています。働き方改革とは今までの日本で主流だった長時間労働、正社員・非正規社員の待遇差といった問題を解決するための改革運動です。
働き方改革の内容はどれも労働者としては嬉しいもの場仮です。しかし、本当に働き方改革は労働者にとってプラスのことばかりなのでしょうか。
今回は、働き方改革を進めるにあたって労働者が気を付けなければいけない点を詳しく解説していきます。
働き方改革の概要
まずは、働き方改革の概要について簡単に説明していきます。
働き方改革とは労働者の雇用を安定化し、給料のベースアップを図る事を目的として、従来の長時間労働を改善し、それぞれの労働者に合った多様な働き方を認めるための改革です。
働き方改革には以下の3つの大きなポイントがあります。
今までの労働環境から起こっていた過労死や派遣切りといった問題も働き方改革によって改善されることが期待されています。
このように働き方改革は労働者にとって大きな恩恵をもたらしそうです。しかし働き方改革には労働者として気を付けなければいけないことがあります。
1.サービス残業・残業代の未払い
長時間労働の改善をしたように外部に見せかけるために、記録の上では残業時間を削減しながら、実際は仕事の持ち帰りやサービス残業が発生しているというケースがあります。
仕事の持ち帰りやサービス残業はどちらも会社からの業務命令があった場合、残業代を請求することが出来ます。
もし、残業代の未払いがある場合には、残業時間の記録や会社からの業務命令があったことを証明することができる証拠をもって、残業代を支払ってもらえるように会社と交渉してみましょう。
なお、残業代請求の時効は2年間です。つまり、残業代の請求を先延ばしにしてしまうと、残業代が受け取れなくなってしまうことがあります。そのため、残業代の未払いがある場合には、早めに行動を起こして会社に未払い残業代を請求するようにしましょう。
2.不当な労働条件の変更
働き方改革を推進する一方で、就業規則の変更などによって労働者の待遇や労働条件が不利になってしまうというケースがあるようです。
就業規則の変更といった措置がただちに違法になるということはありませんが、場合によっては変更が不当とみなされることがあります。
3.2018年の雇い止め問題
2018年の労働における問題として雇い止めというものがあります。
雇い止めとは契約者員といった有期雇用の職員の雇用契約を延長しないで、契約期間の満了によって契約を終了させることです。
2013年に「有期雇用の労働者の雇用契約を更新した結果、通算3年以上勤続することになる場合には、無期雇用への転換を求めることが出来る」というルールができました。
このルールは2013年4月1日以降の雇用契約について適用されるため、事実上2018年4月1日以降に適用されます。
そのため無期雇用の職員を多く雇い続ける余裕がない企業は有期契約職員の勤続年数が通算5年となる2018年に雇用契約を更新しないで雇い止めをするケースが多々あります。
契約期間の満了を理由とした雇い止めは直ちに不当となることはありません。
しかし、明らかに無期雇用への変更を阻止するために行ったと思われる雇い止めは不当とみなされることがあります。
もし自分が5年目の雇用契約を断られ、そこに合理性・正当性がみられない場合には雇い止めを無効にできる可能性がありますので、弁護士に相談してみると良いでしょう。
まとめ
働き方改革の実施によって、労働者の労働環境が今までよりもより働きやすいものになる事期待されています。たしかに、働き方改革には労働者にとって魅力的な内容がたくさんありますので、より促進していくことが必要です。
しかし、そのようなメリットとは裏腹に働き方改革には労働者として気を付けなければいけないことが上記のように何点かあります。
そのため、よりよい労働環境を目指して働き方改革うまく効果をもたらしているのか注意していくことが重要です。