不当解雇
日本の法律では簡単に従業員を解雇することは出来ないと定められています。 従業員を解雇するには、しっかりとした決まりがあり、その条件を満たしていない限り解雇としては認められないのです。不当解雇はこうした法律や就業規則などの決まりに従わず会社が一方的に労働契約を解約する行為を言います。
2017.09.30

退職後の競業避止義務~同意書は有効?

 

労働者は、在職する会社と競業する事業を行ったり、在職している会社の利益を著しく害するようなことをしてはならないという「競業避止義務」を負っています。

しかし、この競業避止義務を退職後まで有効とすると、憲法で保障されている「職業選択の自由」を害する可能性がありますので、会社から一方的に退職後の競業避止を命じることは無効となります。

それでは、退職後に競業避止義務の同意書を求められたら、どのように対応すればよいのでしょうか。どのような場合に、同意書を拒否することはできるのでしょうか。

1.競業避止義務とは

競業避止義務とは、労働者が在籍していた会社と競合する会社を経営したり、競合する会社・組織に就職したりしてはならないとする義務のことです。

会社は、退職する労働者に「同業他社への就職をしない」という同意書を差し入れるよう求めることがあります。

しかし、この義務は日本国憲法の『職業選択の自由』を害する可能性があり、原則として雇用関係が解消されれば競業避止義務を負う法的責任はありませんので、会社から一方的に命じられても無効となります。

ですから、競業避止義務に関する同意書を提出しなければ、競業避止義務違反を理由に法的責任を問われることはありません。

(1) 競業避止義務の目的

競業避止義務の目的は、自社の情報やノウハウが競合へ流出することを防ぐためです。

しかし競業避止義務は、労働者の『職業選択の自由』を害する可能性があるとともに、生活の糧を奪いかねないケースもあります。

したがって、単なる営業テクニックや一般的な知識や技術などの流出であれば、競業に当たらないとされるケースがほとんどです。

(2) 退職後の競業避止義務の問題点

競業避止義務の同意書を提出した場合には、競業避止義務は、退職後いつまで有効なのでしょうか。

この点について過去の判例では、退職後について競業避止義務を課すことが職業選択の自由を侵害し得ることなどから、競業避止義務契約を締結することの合理性や契約内容の妥当性等を多面的な観点から検討し、制限的に判断する立場をとっています。

2. 競業避止の同意書の有効性の判断基準

それでは、競業避止の同意書が有効となるのは、どのようなケースなのでしょうか。

この競業避止の同意書の有効性の判断基準について、過去の判例では、個々のケースについて【1】会社に正当な理由があるか、必要かつ合理的か【2】労働者の意思に基づくものか【3】退職前競業避止義務を課す必要性が認められる地位であるか【4】競業が禁止される業務の範囲・期間・地域⑤代償措置が講じられているかといった項目を検討しています。

個々の状況を判断したうえで会社に「守るべき利益」があり、労働者の職業選択の自由を過度に制約しないための配慮を行っていて、企業側の守るべき利益を保全するために必要最小限度の制約を従業員に課すと認められる場合には、競業避止義務契約は有効とされる可能性があります。

(1) 会社に正当な理由があるか、必要かつ合理的か

競業避止の同意書が有効とされるためには、まず会社に正当な理由があり、必要かつ合理的であることが必要です。

競業企業への転職を一般的・抽象的に禁止するだけでは合理性が認められません。

たとえば「3年間、地域の限定なく同業他社への就職はしない」とするような同意書も合理的な範囲を逸脱しているとして、違法・無効となる可能性が高いといえます。

(2) 労働者の意思に基づくものか

競業避止の同意書が有効であるためには、労働者が自分の意思に基づいてサインをしていることが必要です。「同意書や誓約書にサインをしなければ、退職させない」とか「サインしないなら、懲戒解雇する」などと脅迫された場合は、労働者の自由意思に基づいてサインをしたとは言えないため、無効となります。

(3) 退職前競業避止義務を課す必要性が認められる地位であるか

労働者が平社員やパート、アルバイトなどの地位にあった場合には、ほとんどのケースで競業避止義務は認められません。

(4) 競業が禁止される業務の範囲・期間・地域

業務の範囲・期間・地域については、「業務の性質等に照らして合理的な絞込みがなされているかどうか」という点から判断されます。

期間については、一般的に2年を超えると長すぎると判断される可能性が高いでしょう。

(5) 代償措置が講じられているか

競業避止は、職業選択の自由に対する重大な制約であり、時に労働者の生活を脅かします。そのため、生活保障のための退職金が割増されているなどといった代償措置が講じられているかは、大きなポイントとなります。

3. 会社から訴えられるケースとは

過去には、退職後の競業避止義務をめぐって、退職後の競業避止義務の同意書の有効性が認められた裁判例もあります。

それでは、会社の競業避止義務の有効性が認められ、義務違反として会社から訴えられる危険性のある行為とはどのような行為をいうのでしょうか。

(1) 前会社のデータを奪う行為

前の会社から独立した際に持ち出した顧客リストを使って営業したり、以前の勤務先と同種のお店を近所で開店するような行為は、前の会社から訴えられる可能性が高いといえます。

過去には、「退職後5年間は、会社の事業と競合する事業を経営しないこと」という誓約書にサインしたにも関わらず、これに違反したとして、会社から退職時に受け取った退職金などの返還請求を認めた判例(東京地裁 平成17年6月27日)があります。

(2)従業員の引き抜き

前の会社から従業員を引き抜くことも、訴えられる危険性があります。

ただし引き抜き行為については、個人の職業選択の自由の保障と企業に守るべき利益があるかという双方の観点から慎重に判断されます。

このような退職後の競業避止トラブルを避けるために最も有効な方法は、競業避止義務の同意書にサインをしないことです。

とくに同業他社に転職する際には、絶対にサインすべきではありません。

もし同意書にサインしないなら退職させないなどと言われた場合や、脅迫されて同意書にサインをしてしまった場合などは、早めに弁護士に相談しましょう。

参考URL

http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/sankoushiryou6.pdf

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