失業保険の額は、離職票に記載された賃金額をもとに算出されます。
原則として、退職直前の6か月の賃金総額を180日で割って1日あたりの「賃金日額」を計算してから、その日額に「給付率」を掛け、さらに年齢、勤続年数、退職理由などによって決まる「給付日数」を掛けて算出します。
この賃金総額には、基本給のほか家族手当、住宅手当、残業手当などすべてが含まれますが、ボーナスや退職金などは含まれませんので、いくらもらえるのか計算する時には、その点に注意しましょう。
1.失業保険の計算方法
失業保険とは、退職した人が生活の心配をしないで仕事探しをすることができるようにサポートすることを目的として給付される手当です。
失業した場合、「失業保険は実際にいくらもらえるのか」「本当に生活するうえで不安はないのか」という点は大変気になるでしょう。
ここでは、失業保険がいくらもらえるのか、失業保険の計算方法についてご紹介します。
(1)離職票の「賃金額」をもとに計算する
失業保険は、離職票に記載された「賃金額」という欄の金額をもとに計算されます。
この賃金額には、ボーナスや御祝い金、退職金など臨時に支給されるものは含まれませんが、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当などは含まれます。所得税の計算では非課税とされる通勤手当も含まれます。
ですから、離職票の賃金額が間違っていないか、念の為、給与明細などと照らし合わせて確認してみるようにしましょう。
計算する際には、原則として退職直前の6か月の賃金総額を180日で割って、1日あたりの賃金日額を計算しますが、退職時の年齢に応じて上限額と下限額が設定されていて、手当の額が高すぎないよう、低すぎないように配慮されています。
(2)「賃金日額」から「基本手当」を計算する
失業保険は、基本手当をベースに計算しますが、この基本手当は「6か月の賃金総額÷180日」で計算した賃金日額に一定の給付率を掛けて算出します。
この基本手当に給付日数(年齢や勤続年数退職理由などによって決まっている日数)を掛けると、失業保険としていくらもらえるのかを計算することができます。
給付率は賃金が高い人ほど低く、賃金が低い人ほど高くなっていて、年齢や賃金額によって45~80%まで幅があります。
ただし、この計算方法は、以下のケースには当てはまりません。
* 退職前の6か月でひと月の賃金支払基礎日数が11日未満の月がある場合
* 時給制・日給制・出来高払い制の場合
* 育児や介護などが理由で給料が下がった場合
* 労働時間の短縮などで給料が下がった場合
※賃金が時給制・日給制・出来高払い制の場合は、平均賃金が低額となってしまう可能性があるため、平均賃金の最低保障額を定めています。
※何らかの事情で給料が下がった場合は、給料が下がる前の賃金額をもとに算出されます。
(3)年齢ごとに上限額と下限額がある
基本手当は年齢ごとに上限額と下限額が決められていて、毎月8月に見直しが行われることになっています。
年齢ごとの賃金日額、給付率、基本手当の額については、下記の「基本手当日額の目安表(平成28年8月1日変更)」を参照してください。
2.失業保険給付の手続き
失業保険をもらうためには、離職票などの書類を持って、ハローワークで求職の申し込みをするなどの手続きを行う必要があります。
病気療養中ですぐに働くことができない場合には、ハローワークに申請手続きをすれば、3年間受給期間を延長することができます。
なおハローワークでは、失業保険の申請をすることができますが、老齢年金と失業保険の両方を同時にもらうことはできません。
失業保険を受給した場合には、年金額は全額停止となります。
必要書類
失業保険をもらうためには、以下の書類を準備する必要があります。
* 離職票-1(雇用保険被保険者離職票-1・資格喪失確認通知書)
* 離職票-2(雇用保険被保険者離職票-1)
* 雇用保険被保険者証(被保険者番号、被保険者氏名が記載されています)
* 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票)* マイナンバーカードや写真付き身分証明書がない場合は以下の書類から2つ以上
公的医療保険の被保険者証/年金手帳/児童扶養手当証書/特別児童扶養手当証書など
* 写真付き身分証明書(パスポート、マイナンバーカードなど)
* 印鑑(実印である必要はないがシャチハタは不可)
* 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
* 本人名義の預金通帳(失業保険を振り込んでほしい口座の通帳)
まとめ
失業保険をいくら取得できるかの目安はわかりましたでしょうか?
今回の記事が、皆さまの役に立てば幸いです。