恋愛やジョークでセクハラ加害者に!「勘違いセクハラ」の実態

セクハラ
セクハラ

セクハラの相談件数はますます増加傾向にありますが、そのなかでもよく聞くのが「セクハラをしているつもりはなかった」「被害者も喜んでいると思っていた」という、勘違いした加害者たちの声です。

 

しかし、「デートに誘った」つもりが「デートの強要」になってしまったり、「単なるジョーク」が「執拗な嫌がらせ」になってしまうことは多々あるのです。

 

セクハラは、ガイドラインで示されているような性的な言動や行動だけとは限りません。むしろ「不必要に身体に触る」「強姦する」などの悪質なセクハラは、セクハラ相談のうちのほんの一部にしか過ぎないのです。

1.セクハラとは

セクハラとは、性的な嫌がらせのことをいいます。

「むやみに肩に触る」「愛人になれと迫る」「ヌードカレンダーを職場に貼る」などの行為は典型的なセクハラですが、セクハラの意味はもっと広く、単にわいせつな行為や言動だけにはとどまりません。「相手が望まない性的言動」であれば、すべてセクハラに該当する可能性があるといえるのです。

 

例えば「自分は相手のことが好きで、アプローチするつもりでデートに誘っているだけだった」という場合にも、相手が執拗にデートに誘われた」と思っていればセクハラに該当する可能性があるのです。

 

ここでは、恋愛やジョークのつもりがセクハラ加害者となってしまうケースについてご紹介します。

(1) 恋愛がセクハラになることも

男性の側は恋愛のアプローチのつもりでデートに誘っていたのに、女性からセクハラと訴えられるケースがあります。また、元々は恋愛だったのに途中からセクハラに転換してしまうケースもあります。

 

たとえば女性が上司である男性からのデートの誘いをはっきり断らなかったり、やむなく1度だけデートに応じてしまった場合に、男性側が「断られなかったから、合意だと思っていた」というケースです。

 

恋愛として始まった関係でも、その恋愛が終わったために、職場にいづらくなってしまうことがあります。男性側が「彼女も気まずいだろうから」を気を利かせたつもりで彼女の配置転換をしたつもりでも、女性がその配置転換を願っていなければ、セクハラなる可能性があるのです。

(2) 「ノー」と言われなくてもセクハラ

女性は、相手の男性に配慮してはっきりと「ノー」と言わない場合があります。

女性はいくら男性の誘いを「不快だ」と思っていても、何とか誘った人の顔を立てて上げようとして、はっきりと拒絶の意思を示さない場合があるからです。

それなのに男性はそんな女性の思いに気づかずに、「ノーとはっきり言われていないから、きっと見込みがあるんだ」と勘違いをして、セクハラ行為をしてしまうことがあります。

 

過去の裁判例でも身体を触ったり抱きしめたりの行為を繰り返した男性上司に対して、女性がセクハラと訴えた事例で、「女性というものは、加害者が職場の同僚だったり上司である場合には、友好関係を保とうとするもの」であり「強姦などの性的被害に遭った女性のうち、逃げたり直接的な抵抗をしたりできるのは被害者のごく一部に過ぎない」としました(平成9年11月20日 東京高裁)。

(3) 褒めていてもセクハラ

「きれいな足だね」「きれいな髪の毛だね」「女性の割には優秀だね」といった発言も、自分では相手を褒めているつもりでも、相手が「好きでもない相手に観察されていたのだ」と不快に思えば、セクハラにあたる可能性があります。

(4) ジョークのつもりでもセクハラ

言った本人はジョークのつもりでも、セクハラだと訴えられることがあります。

同じ行為でも相手に不快感を与えればセクハラになりますし、不快感を与えなければセクハラにあたらないこともあります。

また、同じ内容のジョークでも、「Aさんに言われると平気だけど、Bさんに言われるとセクハラ」となる場合があります。

2. セクハラの加害者と言われたら

もしセクハラを行ったことは事実である場合には、会社はそれを理由にセクハラ加害者を懲戒解雇するケースがあります。

突然「セクハラをされた」と訴えらればほとんどの人が動揺することと思いますが、セクハラでは、被害者の主張が重視される傾向がありますので、注意が必要です。そして可能な限り冷静に対応する必要があります。

(1)反省・謝罪する

セクハラ加害者となってしまい、セクハラを行ったことが事実なのであれば、十分に反省し、被害者に対して謝罪をしましょう。

ただし、前述したとおり、セクハラの加害者はそれを理由に懲戒解雇されるケースがありますし、刑事責任を追及される可能性がありますので、謝罪をするにしても、早めに弁護士に相談士、弁護士に同席してもらって示談交渉をすることをおすすめします。

(2) すぐに弁護士に相談

「セクハラなど行っていない」とか「相手は合意していたはずだ」など、セクハラが冤罪だと思う場合には、可能な限り落ち着いて状況を確認し、「自分はセクハラなどやっていない」と主張し、適切な対処をとることが大変重要です。

この場合も早めに弁護士に相談すれば、弁護士が被害者や会社の担当者と面談して、セクハラ行為があったか否かについて事実確認を行うことができますし、もしセクハラの事実があった場合でも処分を軽くすることが可能です。そして示談交渉に向けて尽力することもできます。

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