セクハラ対策が義務化!~会社が抑えるべき10個のポイントとは?

セクハラ
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セクハラが社会問題として問題視され、平成29年1月には「改正男女雇用機会均等法」が施行されたにも関わらず、セクハラ被害の相談数はますます増えるばかりです。

都道府県労働局雇用均等室に寄せられる労働問題の悩みの多くがセクハラに関する悩みであり、都道府県労働局雇用均等室が行った是正指導件数のうち、実に6割以上が6セクハラに関する指導であったというデータもあります。

しかしセクハラは、被害者だけでなく、セクハラについて必要な措置をとらなかった企業にも、大きな損失をもたらす大変重要な問題です。

たとえば、セクハラ行為が行われるような職場では、職場環境が悪化していきますし、労働者のモチベーションの低下を招きます。

また、どんなに待遇の良い職場でも、セクハラ行為が放置されていれば、優秀な人材の流出という「人的損失」につながりかねないのです。

ここでは、厚生労働省が示している以下のガイドラインで示している、「事業主が雇用管理上講ずべき措置」の内容についてご紹介します。

厚生労働省「職場のセクシュアルハラスメン対策

1. セクハラの相談ゼロ=セクハラがゼロではない

「セクハラは、人権侵害である」という社会の意識も高まったことを受けて、企業のコンプライアンス意識が高まっています。

モラハラやセクハラなどのハラスメント防止対策は最重要課題として、ハラスメントの相談窓口が設置する企業も増えてきました。

しかしそれでも依然として、都道府県労働局雇用均等室に寄せられる相談の約半数が、職場におけるセクハラの相談というデータもあります。

会社の相談窓口などに相談が来ていない場合であっても、社内でセクハラの被害が起こっていないとは限りません。

「会社に相談したら、加害者に知られるのではないか」と躊躇する人もいますし「会社の相談窓口は、相談できるような雰囲気ではない」という声があるのも事実なのです。

均等法におけるセクハラ対策とは

セクハラは、個人としての尊厳を傷つける行為であり許されない行為です。

セクハラに対する認知が低くセクハラ行為が行われるような職場では、働く人がその能力を十分に発揮することができない場合もあります。

また、セクハラ被害者が裁判を起こすようなことがあれば、加害者だけでなく会社も損害賠償責任を負うばかりか、裁判によって企業名が社会に知れ渡ることになれば、企業イメージの悪化は避けられず、経済的損失は計り知れません。

2.セクハラ対策:事業主の10個の義務

厚生労働大臣の指針では、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置として以下の10項目を定めています。

そして事業主は、これらを必ず実施しなければならないとしています。

ここでは厚生労働省の指針に沿って、「事業主の10個の義務」をご紹介します。

 1.方針を明確化して周知・啓発する

事業主は、職場におけるセクハラに関する方針を明確化して、労働者に対してその方針の周知・啓発をすることについて、社内報、パンフレット、社内ホームページで方針を記載し、配布するなどしなければなりません。

社員教育の一環として、セクハラ防止の研修会を行って、社員のセクハラに対する認識度をはかり、具体的にセクハラにあたる行為を示しながら、労働者個々の注意喚起することも必要です。

 2.行為者に厳正な対処をする旨を周知・啓発する

セクハラ行為を行った者(加害者)に対しては、厳正に対処する旨の方針などについて就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定したうえで、管理監督者を含む労働者に周知・啓発することが必要です。

どのようなセクハラ行為が行われたときに、どのような懲戒処分を科すかについては、それぞれの企業で定めることができます。

 3.相談窓口を設置する

会社は、セクハラの被害者が相談できるような相談窓口を設置しなければなりません。

この相談窓口は形式的なものではなく、実質的な対応ができる窓口である必要があります。

 4.相談に対して適切に対応する

セクハラ被害の相談があった場合には、相談窓口の担当者がその内容や状況に応じて適切に対応できる体制を整えておく必要があります。

相談窓口は、被害者からも行為者からも信頼される中立の立場である必要があります。

そのためには「これはセクハラに当たらないのではないか」などの予断を持たず、広く相談に対応することが大切です。

 5.事実関係を迅速・正確に確認する

セクハラ被害の相談があった場合には、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認することが必要です。

セクハラの被害者は、1人でその悩みを抱え込み悩み抜いたうえで、相談している場合もあります。また、セクハラの行為者も「自分は処分を受けるのだろうか」と不安に思っていることも十分に考えられます。

ですから事実関係を把握する際には、そのような被害者・行為者双方の気持ちに配慮して、当事者の言い分、希望を十分に聴くことが大切です。

 6.被害者に対して適正に配慮する

事実関係を確認した結果、職場におけるセクハラ行為が行われたことが事実であった場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うことが必要です。

ただし「どのように解決してほしいのか」と解決方法を急ぐのは避けましょう。

解決方法は、被害者と一緒に考えたり被害者に提案して検討してもらうなど、その心理状況に配慮して、誠実に対応することが大切です。

 7.行為者(加害者)適正な措置を実施する

事実関係を確認した結果、職場におけるセクハラ行為が行われたことが事実であった場合には、就業規則その他の労働契約などにおける「職場におけるセクシュアルハラスメントに関する規定等に基づいて、懲戒などの措置を講ずることを検討します。

 8.再発防止措置を講じる

セクハラ被害の事実を確認した場合には、会社は迅速に再発防止措置を検討する必要があります。

具体的には、セクハラの行為があった場合にはその者を厳正に対処する方針を持っていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載する方法などが考えられます。

また、さらに個人の注意喚起を促すためにセミナー等の実施も行いましょう。

 9.プライバシー保護措置

セクハラの調査に当たっては、その秘密が守られる体制をとることが非常に重要です。

相談窓口に寄せられた相談内容が、噂で流れるようなことがあれば、相談窓口は誰からも信用されなくなってしまいますし、そうなれば相談窓口の機能が停止してしまいます。

なかには「会社の窓口は相談できる雰囲気じゃない」という意見もあります。

会社としては、そのような労働者の声も踏まえて、労働者が安心して相談できるような窓口を設置する必要があります。

 10.不利益な取扱いの防止

セクハラ被害について相談したり、事実確認を行う際に協力した労働者を不利益な取扱いを行ってはなりませんし、不利益な取り扱いを行わないことを、労働者に周知・啓発することが必要です。

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