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フレックスタイムとは変形労働時間制の一つで、出退勤時間を労働者が自由に決めることができるという特徴があります。
通常の勤務形態と異なるフレックスタイム制では、時間外労働はどのように考えるのかご存知ですか?フレックスタイム制でも時間外労働には残業代が発生します。
今回は、フレックスタイム制の勤怠管理等についてご紹介します。
1.フレックスタイムとは
まず、フレックスタイムについて確認しておきましょう。フレックスタイム制は出退勤時間を労働者が自由に設定することができます。1日の労働時間は出退勤時間によって変動しますが、精算期間の総労働時間が定められており、定められている時間内で自由に勤務時間を設定できるという形です。
フレックスタイム制には「コアタイム」と「フレキシブルタイム」という時間の定義があり、
コアタイムは必ず出勤していなければならない時間です。フレキシブルタイムはコアタイムの前後に設定することがルールとなっており、フレキシブルタイム内で出勤・退勤時間を決めるという形になります。コアタイムの設定等に関しては労使協定にて決定しなければならないという決まりがあります。必ずコアタイムを設定しなければならないという理由ではありません。
フレックスタイムの場合、出退勤は労働者の自由なので「遅刻・早退」という概念がありませんが。しかし、コアタイムとフレキシブルタイムを導入しているケースでは、必ず出勤しなければコアタイムに遅れた場合には「遅刻」、コアタイムの途中で帰った場合には「早退」という扱いになります。ただし、コアタイムの遅刻・早退に該当する時間であっても、精算期間の総労働時間をクリアしている場合、遅刻・早退の扱いにはなりません。
2.フレックスタイムの残業について
フレックスタイム制であっても時間外労働には残業代が発生します。
一般の勤務形態の場合には「1日8時間/週40時間」が法定労働時間として定められています。この法定労働時間を超えた部分に対して時間外労働が支給されます。
フレックスタイム制の場合には、精算期間の総労働時間が基準となります。
(1)精算期間と総労働時間
フレックスタイムの精算期間は1ヶ月以内と決められており、精算期間を平均した1週間の法定労働時間は原則として40時間以内とされています。
基準となる総労働時間は上記の通りで、その時間を超えた部分に対して残業代が支給されます。総労働時間の計算式は下記の通りです。
【特例措置対象事業の場合は所定労働時間が44時間になる】
特例措置対象事業とは、商業や映画・演劇業、保険衛生業、接客娯楽業に該当する業種で常時使用の従業員が10名未満の事業所が対象となります。
この場合、週の所定労働時間が44時間となるため、精算期間の暦日数が31日で194.8時間、30日で188.5時間、29日で182.2時間、28日で176時間となります。
(2)労働時間の繰越について
フレックスタイム制の場合、精算期間の総労働時間が所定に満たなかった場合、不足分の減額という方法以外に、労働時間を翌月へ繰り越すという方法を選択することが出来ます。
しかし、前月繰越はできません。つまり「今月たくさん働いたから来月、少なく働いて残業代がでないように調整しよう」ということは出来ません。
当月に発生した残業代は当月に支給する必要があります。つまり、上記のような調整をされていた場合には、残業代を請求することができるという事です。
3.フレックスタイム制の未払い残業代を請求する!
フレックスタイム制であっても時間外労働に対する残業代は請求することが出来ます。
しかし、残業代の請求を会社側に行うためには証拠を準備しておく必要があります。
始業と就業の時間がわかる資料や就業規則、雇用契約書の写しなどいざという時に証拠になるであろう書類はきちんと保管しておきましょう。
未払い残業代の請求方法については下記をご確認ください。
まとめ
出退勤時間を自由に設定することができるフレックスタイム制は労働者にとっても魅力的な制度の一つですが、それに伴い、時間外労働などの判断がうやむやにされてしまうというケースもあります。
フレックスタイム制であっても所定労働時間を超えている部分に対しては残業代が支給されます。ご自身の契約の内容をしっかりと理解して、支給されるべき手当はきちと支給してもらいましょう。