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サービス残業、みなし労働、名ばかり管理職など、残業代の未払い問題は年々増加傾向にあります。なかには明らかに違法であるケースも多々あり、その場合には正しい手順で請求すれば、ほとんどのケースで勝ち取れます。
それでは未払いの残業代を、企業に支払わせるためにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは未払いの残業代を請求する方法やその手順についてご紹介します。
1. 会社へ未払い残業代請求をする方法
残業代の未払い問題は、深刻な社会問題となっています。
サービス残業を容認していた社員たちが声を上げるようになったのその要因で、厚生労働省によると、労働問題に関する相談は、8年連続100万件超となっています。
未払いの残業代は、声を上げれば取り戻せるケースが多々あります。「こんなに遅くまで仕事をしているのに、残業代がゼロなんて……」「もらっている残業代に納得ができない」など、悔しく苦しい思いを黙って抱えて悩まずに、まずは一歩踏み出して行動してみることをおすすめします。
それでは、未払いの残業代を請求するにはどうすればよいのでしょうか。
(1) 会社に直接交渉する
会社と労働者が冷静に協議することが可能な状況であれば、会社に直接請求してみるのもよいでしょう。
しかし、そもそも残業代を支払わない会社とは、話し合うことすら困難な場合が多いでしょうし、冷静な話し合いができても、スムーズに「わかりました。では支払いましょう」とはならないケースがほとんどでしょう。
また会社に在籍したまま直接請求すると、会社側とトラブルになる可能性が高い問題もあります。
(2) 弁護士に直接交渉する
弁護士に相談すれば、会社側としても、これを無視するわけにはいきません。
労働者が直接話し合いを求めても応じなかった会社側を話し合いの場につかせることができます。
弁護士が介入することで、協議がスムーズに進むケースもありますし、なかには弁護士名で内容証明郵便を送付するだけで、会社側が支払いに応じる場合もあります。
また、協議がまとまらず労働審判や労働裁判となった場合にも、スムーズに手続きをしてくれます。
(3) 労働基準監督署に申告する
未払いの残業代について労働基準監督署に相談し、アドバイスやあっせんを受ける方法もあります。
しかし労働基準監督署には強制力はないので、労働基準監督署からから是正勧告が出ても「今後は改善します」としてそのまま放置されてしまい、未払いの残業代については実質的に支払いを拒否するケースも考えられます。
(4) 労働相談センターに申告する
労働相談センターでは未払いの残業代に関する相談のほか、解雇、雇止めなどさまざまな労働問題に関する相談に対応しています。しかし労働相談センターでは、解決方法についてアドバイスをしてくれても、指導などの強制的な措置を行うことはありません。
(5)労働審判で請求する
労働審判制度とは、未払いの残業代や解雇、雇い止めなど、労働者と事業主(会社)との間に生じた解雇や給料の不払などの労働問題を解決するための手続きです。
労働裁判となると、解決するまで何年もかかるケースがほとんどでしたが、労働審判は原則として3回以内の期日で審理が終了し2か月~3か月程度で審理が終わるので、通常の裁判と比べて圧倒的に早く審理が進むというメリットがあります。
今までは「これはサービス残業だ」と認識していても、ほとんどの人が「裁判になると長い時間がかかる」行動を起こせずにいましたが、労働審判は早期解決が可能であるとして、労働者の利用件数も増加しています。
(6) 民事訴訟で請求する
通常裁判は訴えの提起によって開始されますが、労働審判で和解できずに異議申し立てをした場合にも、通常の民事訴訟に移行します。
通常の民事訴訟では、法律に基づいて厳格に権利関係の主張や立証を行ない、裁判所の判決もしくは訴えの取り下げや訴訟上の和解等によって、訴訟は終了します。
2. 準備したい証拠書類
未払いの残業代については、弁護士に相談することで、まず「どのくらい未払いの残業代があるのか」という点を確認することができますし、どのような対応が可能かについて認識することもできます。
なお弁護士に相談しようと思った時には、効率よく事情を説明するためにも以下の書類を用意しておくことをおすすめします。
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そのほか送受信の時間がわかるメールが証拠となる場合もありますし、勤務時間や勤務内容についてのメモ書きが証拠となる場合もあります。
弁護士に相談すれば、個々の状況に応じて必要な証拠についてアドバイスしてもらうことができます。
3.残業代請求の時効は2年
残業代は、給料日から2年で消滅時効にかかってしまう(労働基準法第115条)ので、できれば在職中から弁護士に相談して、「何が証拠となるのか」「どのくらい請求できるか」等アドバイスを受けることをお勧めします。