残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2017.07.20

残業代計算における端数処理の方法

残業代は「時間単価×残業した時間×割増率」で計算しますが、この際端数が生じることがよくあります。

時間数や賃金の端数処理の方法については通達が出ていますので、その処理に従って計算します。

1.賃金計算の端数処理

賃金とは、労働の対価として会社が労働者に支払うすべてのものをさします。残業した際に支払われる割増賃金も、この賃金の一部です。

そして賃金を計算する方法については、国から通達が出ていて厳格なルールが示されています。このルールに従って端数処理されていない場合には、賃金未払いとして請求できる可能性があります。

(1) 遅刻、早退、欠勤の端数処理

昭和63年3月14日基発第150号「労働基準法関係解釈例規」では、遅刻、早退、欠勤の端数処理は厳格に行うよう規定されています。

たとえば労働者が5分遅刻したことを繰り上げて、「30分遅刻した」として30分の賃金をカットするというような賃金処理は、違法とされています(賃金の全額払いの原則)。

ただし遅刻した時の制裁として、遅刻が減給の対象であると就業規則に規定することは、労働基準法第91条の範囲内であれば、許されるとしています。

【労働基準法第91条】

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

(2) 残業時間の端数処理

1か月の残業時間(時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の労働時間)の合計に、1時間未満の端数がある場合に、「30分未満の残業時間を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」などの端数処理を行うことは、常に労働者の不利になるわけではないとして、許されるとしています。

たとえば1か月の残業時間の合計が15時間25分だった場合、25分という端数を30分未満として切り捨て残業時間を15時間としたり、1か月の残業時間の合計が15時間35分だった場合、35分を1時間に切り上げて14時間と計算することは違法ではありません。

ただし前述したとおり、端数処理が認められているのは「1か月の残業時間」で処理する場合なので、1日の残業時間内で、遅刻、早退、欠勤の30分未満を切り捨てることは違反となります。

(3) 割増賃金計算の端数処理

1時間当たりの賃金および割増賃金額に「円未満の端数」が生じた場合には、50銭未満は切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは違法ではありません。

これは、1時間あたりの残業代の場合でも、1か月の時間外労働、休日労働及び深夜労働の割増賃金を計算するときも同様です。

例えば、1か月の残業代が13,890円40銭となった場合に、40銭という端数が50銭未満であることを理由にこれを切り捨てて、残業代を13,890円としたり、13,890円60銭となった場合に、これを切り上げて13,891円としても、違反ではありません。

(4) 賃金支払い額の端数処理

1か月の賃金支払い額に100円未満の端数が生じた場合に、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うことは違法ではありません。

また1か月の賃金支払う額に1,000円未満の端数を翌月の賃金支払い日に繰り越して支払うことも違法ではありません。

これらは賃金支払いの便宜上必要な事務処理であり、労働基準法24条違反とはなりません。

2. 残業代計算する際のさまざまな注意点

残業代は「時間単価×残業した時間×割増率」で計算しますので、まず1時間あたりの賃金単価を算出する必要があります。

この1時間あたりの賃金単価は、基礎賃金÷月平均所定労働時間で計算しますが、その際の基礎賃金や所定労働時間を算出する際には、いくつかの注意点があります。

(1) 基礎賃金

基礎賃金の対象となる賃金は、支払われている給与をそのまま当てはめればよいわけではありません。

給与のうち、家族手当や通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、結婚祝いなどの臨時に支払われた手当、ボーナスなどの賞与などは、この基礎賃金には含まれません。

同じ時間の残業に対する割増賃金を計算する際に、このような労働とは無関係な労働者の個人的事情に対して支払われる手当まで含めるのは不合理だからです。

(3) 月平均所定労働日数の算出

所定労働時間とは、始業時から終業時までの時間から昼食などの休憩時間を差し引いた時間です。

月給制の場合にはまず月における所定労働時間を算出する方法がありますが、所定労働時間は、月によって異なるケースがほとんどです。

その場合には、まず年間所定労働日数を算出してから、所定労働時間数を算出し、月平均所定労働日数を算出することになります。

 

【1】年間所定労働日数を出す

年間所定労働日数=1年間の日数-年間所定休日数

【2】年間所定労働時間数を出す

年間所定労働時間数=年間所定労働日数×1日の所定労働時間

【3】12で割って月平均所定労働日数を出す

月平均所定労働日数=年間所定労働時間数÷12

 

したがって、月によって所定労働時間が異なる場合でも、上記の方法で月平均所定労働時間数を算出することで、「基礎賃金÷月平均所定労働時間」として時間単価を算出することができます。

○参考URL

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0117/6886/hasuutoriatukai.pdf

 

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