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近年、日本社会に長時間労働、残業が蔓延していることから、過労死する人が増加しています。過労死とは、仕事において違法な長時間労働や残業が原因の過重な負荷によって、従業員が健康障害・心理的負荷に陥り、死亡することです。
最近では、ブラック企業や違法労働の存在が明るみに出たことで、行政によって労働環境に対する規制が促進されてきましたが、それでも過労死する人は後を絶ちません。
そのような深刻な問題である過労死に対して、個人でできる対策はあるのでしょうか。
1.過労死の実態
厚生労働省によると2013年における過労死者数は196人にも上っているそうです。しかし、この数はあくまでも労災認定された人だけです。そのため、実際は過重労働が原因での過労死であったとしても、単に病死や突然死とみなされ、労災認定されなかった人の数は含んでおりません。196人という数字は氷山の一角で、実際はもっと多くの過労死者がいる可能性があります。
2.過労死の危険性
過労死といえば、多くに人が無理に長時間労働を強制され、心身ともにボロボロになって死亡するというイメージを持っていることが多いようです。しかし、実際は特に疲労を感じておらず、労働意欲があるにもかかわらず突然過労死してしまうというケースが多いです。
人は通常、疲れが蓄積すると脳が睡眠・休養を求めるようになります。しかし、睡眠や休養を身体が求めているにもかかわらず、無理に働き続けると脳が疲労に慣れてしまい、肉体的に疲れていることに気づかなくなります。
そのような状態になると、自分が知らない間に疲労が蓄積され、だんだんと身体に異常をきたすようになります。そして、最終的に脳卒中や心筋梗塞といった突発的な病気にかかって突然過労死してしまいます。
そのため、長時間働いているにもかかわらず、疲れを認識していないためまだ頑張れると思っている人ほど、過労死の危険性が高いということです。
3.過労死の予防
過労死は突発的に本人に降りかかるため、過度の疲労の蓄積を日頃から予防しておくことが必要です。
(1)しっかりと休憩を取り、長時間労働を控える
休憩を取ることは、過労死を防ぐための基本です。日頃から十分な睡眠と食事をとることをこころがけましょう。
また、仕事中も数時間おきに休憩をとることが重要です。労働基準法では、6時間以上勤務する場合は8時間までなら少なくとも45分、8時間以上なら1時間以上の休憩を勤務時間の途中で労働者に与えることが定められております。
(2)身体の異常を見逃さない
もし長時間労働が続いていて身体に少しでも異常が出ているような事があったら、過労死の前兆かもしれません。特に、吐き気や、頭痛、手足のしびれ、めまい、言語障害などがあるようでしたら、脳卒中や心筋梗塞などの危険があります。
仕事が激務で少しでも体調に異常があるようでしたら、すぐに病院へ行って医者に診てもらう必要があります。
(3)労働基準法に関する知識を知っておく
過労死ラインや労働基準法での労働時間や休憩、給与に関してどのように規定されているのかを知っておけば、自分の現在の労働環境が法的にどのような状態なのか客観的に捉える指標となります。
また、日頃から自分の労働時間や休憩のデータをメモやアプリを活用して記録しておくと、より自分の働き方を客観的に捉えることが出来ます。
(4)周囲からの心配に耳を傾ける
上記のように、日頃から長時間労働に慣れてしまっている人は疲労を感じにくくなっています。もし、周囲の人から顔色の悪かったり、疲れていそうなどといった言葉をかけられた場合は、本人に自覚がなくても疲労が蓄積されている可能性があります。
4.まとめ
現在、国内の職場に蔓延する長時間労働が原因の過労死の増加が大きな問題となっております。そのことから、行政によって労働環境に関するさまざまな政策が導入され、労働者を守るための取り組みがなされています。しかし、それだけでは十分ではなく、個人でも過労死を防ぐための対策が必要です
過労死は疲労の自覚がなくとも起こりうるものです。そのため、日頃から長時間労働を控えて、自分の労働時間をしっかりと把握し、知らず知らずのうちに体に疲労が蓄積するのを防ぎましょう。