労働災害
労働災害とは業務中・通勤中など業務に従事することによって起こった傷病を言います。業務中に(または業務と因果関係があり)起こったケガ、病気、死亡等は業務災害、通勤中に起こった場合には通勤災害、第三者による不法行為によって起こった場合には第三者行為災害と呼ばれます。近年では、過労死も労働災害と認められるケースがあります。
2017.09.23

高額化する過労死・過労自殺の賠償額~高額賠償事例

過労死・過労自殺が「仕事が原因」と認められた場合には労災認定され、遺族は300万円の一時金や葬祭料を受け取ることができます。

しかし仮に労災認定されたとしても、残されたご遺族が生活していくことを考えれば政府労災から給付される金額は不十分と言わざるを得ません。また、慰謝料に関しては政府労災では全く支払われません。

そこで、過労死や過労自殺の事例では、会社に対して損害賠償請求することになります。最近はかなり高額の事例が増えています。

ここでは、高額判決事例や高額和解事例として公表されている事例をご紹介します。

1. 過労死・過労自殺~企業の責任

過労死・過労自殺とは、度重なる残業などの働き過ぎや、仕事上の強いストレスを受けたことが原因で、心や身体の健康を損なって、死に至ることをいいます。

過労死とは、脳や心臓の病気(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、心停止なd)などで亡くなることをいい、過労自殺とは、うつ病や適応障害などの精神障害にかかって自殺してしまうことをいいます。

 

過労死・過労自殺に限らず労災事故が発生すると、会社は民事上の損害賠償責任を負う他、刑事責任を追及される場合がありますし、行政官庁からの許可の取り消しなどの処分を受けることもあります。

また、道義的責任を問われますので、会社が企業イメージが大幅に下がるというリスクも負います。

(1) 民事責任

会社は債務不履行責任(民法415条)と不法行為責任(民法709条)を負いますので、過労死や過労自殺が発生してしまった場合には、会社は被害者に対して損害賠償を支払わなければならない可能性があります。近年その賠償額はかなり高額になっていて、なかには支払いができないという中小企業も出てきています。

 

会社が賠償を免れるためには、会社側が安全配慮義務違反がなかったことを立証しなければなりませんが、ほとんどのケースで会社の責任が認められています。

(2) 刑事責任

労働災害を発生させた場合には、会社は業務上過失致死・安衛法違反の刑事責任を追及される可能性があります。

刑事責任を負うことになれば、懲役、罰金刑を科せられ、前科がつくことになります。

(3) 行政処分

過労死・過労自殺が発生した場合には、行政官庁から許可の取消しや業務停止などの処分を受けることがあります。

(4) 道義的責任

近年過労死・過労自殺などの労災に対する企業責任は、大きな社会問題として大変注目されています。過労死・過労自殺が発生し、マスコミに拡大されると、企業イメージは大幅にダウンしますし、信用は失墜しますので、時に企業の存亡にも影響する重大問題に発展します。

2. 高額化する賠償事例

過労死・過労自殺などの労災事故で、会社に対して損害賠償請求をするケースでは、最近かなり高額の事例が増えています。

 

労災の高額賠償事例としては、三六工事件の1億6,524万円の判決が著名ですが、その他も高額事例はあります。

また裁判外で和解したケースの中にも高額な事例は多く、和解で解決したケースのなかには公表されていない高額事例も多いとの推察があります。

(1) 高額判決事例

ここでは、判決認容額1億円前後の高額判決事例のうち、過労死や過労自殺の事例についてご紹介します。

* 関西医科大学事件(心筋梗塞死)

(大阪地裁 平成14年2月25日・大阪高裁平成16年7月15日)

判決認容額:1億3,532万円(ただし控訴審で8,484万円)

* いわき市立病院事件(包丁による失血死)

(福島地裁 平成16年5月18日)

判決認容額:1億3,228万円

*電通事件(自殺)

(東京地裁 平成8年3月28日・東京高裁平成9年9月26日)

判決認容額:1億2,588万円

* おたふくソース事件(自殺)

(広島地裁 平成12年5月18日)

判決認容額:1億1,111万円

* 大阪府麻酔科医急性心不全事件(急性心不全)

(大阪地裁平成19年3月30日、大阪高裁平成20年3月27日)

判決認容額:1億0,692万円(ただし控訴審7,744万円)

* 協成建設事件(自殺)

(札幌地裁平成10年7月16日)

判決認容額:9,164万円

(2) 高額和解事例

過労死・過労自殺の号額賠償事例は、裁判外の和解、裁判上の和解が成立した事例も増加しています。ここでは、和解1億円前後の高額和解事例のうち、過労死や過労自殺の事例についてご紹介します。

* 電通事件(自殺)

(平成12年)

和解金額:1億6,800万円

* 第一化成興業A事件(爆発火災事故死)

(平成2年)

和解金額:1億3,216万円

* 富士石油A事件(火災事故死)

(平成4年)

和解金額:1億2,000万円

* 川崎製鉄事件(自殺)

(平成12年)

和解金額:1億1,350万円

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