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最低賃金という言葉、聞いたことがありますか?最低賃金は、会社など労働者を雇用する側が労働者に対して支払う賃金の最低額を言います。
この最低賃金の金額は地域や産業別に国が定めており、その金額は毎年見直しが行われています。
給与が最低賃金を下回る場合には、その差額を請求することができるのです。では、最低賃金を下回っているかどうかはどのように判断すればよいのでしょうか?そして、最新の最低賃金はいくらなのでしょうか?
働く私達がしっておくべき最低賃金についてご紹介します。
1.最低賃金は最低賃金制度によって決められています
最低賃金は最低賃金制度という制度によって決められています。最低賃金には地域別と特定産業別の2つの種類があります。
労働者と雇い主が双方の合意の上で最低賃金を下回る労働契約を結んでいたとしても、最低賃金は国が定めた給与の最低額となるため、その労働契約は無効となり、最低賃金と同額の給与を支払う必要があります。最低賃金額を雇い主側が支払わない場合、罰則が定められています。
最低賃金の対象となる賃金は、残業代や賞与などを除く基本給と諸手当が該当します。
対象外となる賃金は以下の通りです。
2.地域別と特定産業別、2つの最低賃金
最低賃金は地域別と特定産業別の2つの種類があり、双方に該当する場合には高いほうを最低賃金とすることになります。
(1)地域別の最低賃金
地域別最低賃金とは、その地域の物価等を基準に毎年10月頃、各都道府県の労働局で決定・発表されます。
2018年の地域別最低賃金は以下の通りです。
(2)特定産業別の最低賃金
特定産業別の最低賃金は、指定されている産業の中で要件に該当する労働者が対象となります。適用対象となる労働者に関しては、各都道府県によって異なるため各都道府県の労働局で確認するようにしましょう。
厚生労働省のHPより業種と最低賃金を確認することが出来ます。
3.最低賃金が適用されないケースもある
最低賃金はパート・アルバイト、契約社員、正社員など身分に関係なく、労働者全員が適用対象となる制度ですが、以下に該当する場合には最低賃金の適用対象外となることがあります。
ただし、最低賃金適用外のケースを雇い主側が勝手に判断を行うことはできません。
最低賃金適用外の労働者を雇い入れる場合には、事前に労働基準監督署への申請を行う必要があります。
(1)地域別最低賃金の適用対象外となるケース
・精神や身体の障害等によって労働力が著しく低いと判断されている方
・認定職業訓練を受けた方で、生産活動時間が2/3以上の方
・実労働時間が特に少ない断続的な労働を行う方
・他の従業員よりも簡単な労働を行う方
・試用期間中の方
(2)特定産業別最低賃金の適用対象外となるケース
・18歳未満の方、もしくは65歳以上の方
・雇用後、一定期間未満で技能習得中の方
・対象となる産業の業務の中で他と比較して軽い作業を行う方
4.最低賃金の確認方法
最低賃金は時給(時間給)によって定められています。例えば、東京都の地域別最低賃金は958円となるため、1時間の労働が958円ということになります。
時給で給与が支払われている場合には、時給と最低賃金を比較することで、下回っていないかを確認することが可能です。
日給や月給で給与が支払われている場合には、時間給に換算して計算を行う必要があります。
(1)日給の場合の確認方法
日給を1日の所定労働時間で割って時間給を算出し、最低賃金と比較するという方法で計算します。
例えば、日給が8,000円、所定労働時間が8時間の場合には1時間あたりの時給は1,000円です。最低賃金が一番高い東京都で958円なので、日給8,000円であれば最低賃金よりも高い給与ということになります。
日給が7,000円で所定時間が8時間の場合は1時間あたりの時給は875円となるため、東京都の場合には最低賃金を下回っていることになります。
(2)月給の場合の確認方法
月給の場合も、考え方は日給と同じよう時間給に換算して計算するという方法です。
ただし、基本給が130,000万円、職務手当が30,000円、1日の所定労働時間が8時間の場合、月給は160,000円となり、所定労働時間の平均は160時間です。
160,000円÷160時間=1,000円ですから、最低賃金よりも高いということになります。
(3)年棒制や歩合制の場合は?
年棒制や歩合制の場合も基本的な考え方は同じです。
年棒制の場合は年俸を12ヶ月で割って算出された金額を1ヶ月の所定労働時間で割り、最低賃金と比較します。
年俸の中に残業代等が含まれる場合には、その金額は予め差引いて計算する必要があります。また、賞与が含まれているケースの場合には、金額がきちんと決まっている場合には
賃金に含むことが出来ます。
歩合や出来高の場合にも、支払われる賃金総額を労働時間で割って、時間給に換算して算出します。
5.支払われる給与が最低賃金より少ない場合はどうすれば良い?
最低賃金の計算をしたら、最低賃金よりも給与が低かった!という場合には、まずは雇い主に報告しましょう。もしかしたら、雇い主が間違えてしまったということも考えられます。
しかし、報告しても差額を支給してくれないなどの場合には以下のような方法を取ることが出来ます。
(1)労働基準監督署に相談する
最低賃金に関しては労働基準監督署が管轄しています。労働基準監督署の相談をしましょう。場合によっては労働監督署から指導をしてもらうことも可能です。
(2)弁護士に相談する
最低賃金以外に、給与の未払いや残業代の未払いなどの労働問題もあるという場合には、労働問題に強い弁護士に相談しましょう。
弁護士に間に入ってもらうことで、雇い主とスムーズに進めてもらうことが出来ます。
まとめ
最低賃金は国が定めた最低限の賃金です。もし、支払われている給与が最低賃金を下回っている場合には、まずは会社に相談をしましょう。それでも解決されない場合には労働基準監督署や弁護士に相談するようにしてください。