残業代請求には時効があるの!?時効になる前に必ず確認してください。

残業代
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「残業代は支払ってほしいけど、言いだしにくい…」と思って先延ばしにしていませんか?

先延ばしにした結果、残業代を請求することができなくなる可能性があります。

今回は、残業代の時効についてご紹介していきます。

1.残業代の時効は2年

残業代をもらっていなかった気がするけど、言い出しにくいから先延ばしにしてしまっているという方も多くいらっしゃるでしょう。

先延ばしにしている間にもあなたの請求権はどんどん失われていっています。

というのも、残業代を請求できる権利は、なんと2年で時効になってしまうのです。

 

労働基準法第115条にも明確に「賃金や災害補償その他の請求権は2年間」と定められています。

この2年間を「退職後2年」まで有効と勘違いされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、今現在から2年が有効期間。そして単位は1ヵ月ごとで日割りはありません。給料日が来る度に、新しい請求権が発生し、2年前の残業代は消えていきます。

例えば現在が2017年の6月1日で、毎月の給料日が25日だと仮定してみましょう。

6月25日までは、2015年6月25日に支払われるはずだった残業代を請求できますが、6月26日には2015年7月25日分からが対象となります。あなたが在職中でも離職していても期間は同じです。請求するのをためらったり、手続きに手間取ったりしているうちに、日々、時効は進んでいきます。まさにタイムイズマネー!残業代を請求したいと思ったら、今すぐ行動を起こすしかないのです。

2.残業代の計算事例

一度自分の残業代がどれくらいになるのか計算してみてはいかがでしょうか?

例えば、毎日3時間の残業を20日間、時給を1000円でおこなったとすると

「3時間×20日×1,000円(時間給)×1.25(割り増し分)=75,000円

1ヵ月あたり、75,000円として、1年を通じておこなった場合は75,000円×12ヶ月で、90万円。2年だと180万円ですね。

正社員の方は時間給では考えにくいかもしれませんが、基本給を規定の労働時間で割った額が計算の元となる時間給です。基準労働時間が160時間で額面が同じ20万円でも、基本給20万円で手当なしの方(20万÷160時間=時給1250円)と基本給12.8万円(12.8万÷160時間=時給800円)プラス手当7.2万円の方では残業代も変わってきます。基本給は残業代のほか賞与や退職金などの計算もおこなう、ベースとなる賃金です。これを機会に給与明細をよく確認するのもいいですね。

額の大きさに驚かれたかも知れませんが、あなたに未払いの残業代を支払うということは、社員全体にも支払うということになるため、会社としては経営を揺るがしかねない大問題です。「残業代を全部支払ったら会社が立ち行かないんだ」とはブラック企業でよく聞く、経営者の言い訳ですが、1人あたりに年間100万円程度残業代を支払うと、従業員20人の会社でも2000万円。大きな額ですよね。会社も必死で言い訳をしたり阻止をしたりすることでしょう。権利を主張するためにはそれなりの覚悟が必要です。

また、時効は確かに2年なのですが、会社側が「その残業代は、もう時効でしょ」といわない限りは適用されません。

会社が残業代の時効をいわずにそのまま支払ってくれるのなら、2年以上遡った残業代でも請求できます。これを「使用者が時効の援用をしなかった場合」といいます。ただ、会社を経営する人間が時効を知らないことは考えにくいですし、元より残業代を支払ってくれていないのに、請求したらその分を払ってくれるというのはなかなか考えにくいです。会社には、契約している社労士や顧問弁護士などがいるのが普通ですから、この部分は期待薄でしょう。

その他、会社が残業を認識していながら残業代を支払っていなかったり、残業時間を含めた勤務時間が管理されていなかったりと、残業代の未払いが悪質で、不法行為とみなされれば、時効が3年になることも、非常に稀ですが、あります。

その場合は残業代(賃金)としてではなく、損害賠償請求となるからです。前述の通り、今まで支払っていなかった残業代を支払うのは企業としても死活問題。会社とは揉めるでしょうし、裁判にもつれ込む可能性も大です。

会社としてはできれば支払いたくない残業代。なんのかんのと時間を稼いで時効にされてしまうのでは?という心配がでますよね。

3.残業代の請求期間を延長するためには?

請求期間の延長をしたい方には、時効を一旦中断するために、請求(催告)をおこなうことをおすすめします。方法は、請求書を内容証明郵便で郵送します。内容証明郵便とは「いつ、誰が、どんな内容で」手紙を発送したかを郵便局が証明してくれるサービス。

民法第147条の「請求」、民法第153条の「催告」としての効力があります。

請求(催告)書を相手方に到達させれば、その後6ヵ月間は時効が中断します。

期間については、例えば2015年6月25日支払分が時効を迎えるのを中断したければ、2017年6月25日の前日である24日中に請求書を会社に到達させます。そこから6ヵ月間の時効が中断され、その間に含まれる2015年7月25日分~11月25日分までも同時に中断されます。ただし、6ヵ月後に時効が再開すると、この6ヵ月分もなくなります。手続きや期間の詳細は弁護士など、プロの方のアドバイスを受けてください。

内容証明による中断は一時的な救済措置のようなもので、完全に時効を停止させるには、支払いに応じてもらうか(示談交渉)、裁判を起こすしかありません。

延長された6ヵ月間のうち最大5ヵ月間は裁判外での示談交渉を続け、5ヵ月を経過しても和解が成立しそうになければ、裁判を起こす構えでいましょう。延長期間内に裁判を起こさなければ、請求権は消滅します。行動するなら今すぐに。

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