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パワハラやセクハラなど職場には多くのハラスメントが存在します。パワハラやセクハラはもちろんダメです。しかし、今回ご紹介する「モラハラ」はとても悪質なハラスメントではないかと感じます。
大人のいじめとも言われるモラハラはどのようなハラスメントなのでしょうか?
1.モラルハラスメントとは
モラルハラスメントは肉体的な暴力を含まない、精神的な暴力や嫌がらせのことを言います。フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌ氏が精神的な殺人として提唱しています。
モラルハラスメントには以下のような特徴があります。
職場内のハラスメントの中で、モラハラと近しいものがパワハラです。
パワハラの特徴はパワー(権力や立場)の強いものが弱いものに対して行うという傾向にあります。例えば、上司から部下、先輩から後輩など、立場が上であることを利用して嫌がらせを行ないます。
また、パワハラは暴力を伴うこともあり、他の人が見ているところで行われることもあります。一方、モラハラは同僚や友人、夫婦など対等な関係の間で行われることが多いです。
もちろん、上下関係の中でモラハラが起こることもあります。
パワハラ、セクハラ、モラハラはそれぞれ区別されて説明されますが、ハラスメントは嫌がらせを示し、それぞれの要素が複雑に絡み合うケースも少なくありません。
2.職場で見られるモラハラのケース
職場内のモラハラでは以下のようなケースが多く相談されます。
(1)被害者を孤立させる
被害者を孤立させるといっても、そのやり方は様々です。
・無視
挨拶をしても返事をしない、必要最低限な事以外は聞こえないふりをする、社内の飲み会などに誘わないなど
・陰口
明らかに被害者のことを悪く言っていることを気づかせるように陰口を言う。
陰口や悪口を広めて被害者を孤立させる。
・馬鹿にする
わからないことを質問すると、ため息をついたり「そんなこともわからないの」という態度を取り、被害者が質問しづらい環境を作る
(2)仕事をさせない、押し付ける
仕事を振らない、やり方を教えないなど仕事をさせないというケースと、延々とシュレッダーをかけさせるなど誰がやっても良いような簡単な仕事を過剰にさせるというケースがあります。
また、会議があることを伝えないなど証拠が残らない形で仕事に支障をきたすような嫌がらせをされるというケースもあります。
(3)プライベートに介入する
ちょっとした会話の中でプライベートの話しをお互いにするという程度であれば問題はありませんが、被害者が不快に思うほど突っ込んで話しを聞いてくるケースや、プライベートを非難するようなことを言うなどもモラハラに該当します。
また、休みを取ることや、定時で帰宅することを非難するというケースもあります。
2.こんな人は要注意!
モラハラの特徴にある「加害者はターゲットとした人以外には人当たりが良い」「被害者は自分が悪いと思い込みやすい」と加害者と被害者のタイプについての特徴があります。
加害者、被害者、両者の特徴を確認してみましょう。
(1)モラハラの加害者になりやすい人
モラハラの加害者になりやすい人には以下のような特徴があります。
被害者以外の人には人当たりが良いというタイプが多い傾向にあるため、他の人に相談しても「え?そんなことないよ」と思われてしまうことがあります。
(2)モラハラの被害者になりやすい人
モラハラの被害者になりやすい人は簡単にいうとものすごく「いい人」です。この「いい人」には性格がいい人という意味もありますが、相手にとって都合の「いい人」という意味もあります。特徴は以下の通りです。
また、小さな頃から支配的な環境で生活していたという人がモラハラの被害者になるケースが多いです。このようなケースでは、支配的な環境が通常と感じていることが多く、モラハラに進むことに違和感を覚えず、気づいた時には被害者になっているということがあります。
3.モラハラの被害にあったらどうしたら良い?
パワハラもセクハラも同様ですが、ハラスメントの被害に合った場合には、やはり証拠を抑えておく必要があります。
特に、モラハラの場合、相手は自分の非を認めるどころか被害者の方が悪いというようにすり替えてくる可能性があります。
(1)モラハラの証拠となるもの
録音データは証拠としても最も有効です。スマートフォンのボイスメモなどを活用して音声データを取りましょう。また、モラハラと思えるような内容のメールやライン、相手からの書類などは保存しておくようにしましょう。
また、ご自身が毎日きちんと記入している日記などであれば証拠として有効となることがあります。ささいなことでも、モラハラだと感じる出来事があった場合には、日記や手帳に記録しておきましょう。
最近ではSNSによる書き込みなども証拠として有効となることがあります。ご自身への誹謗中傷などが記載されているというような場合には、スクリーンショットなどで証拠を抑えておきましょう。
(2)証拠を集めたら相談する
モラハラの証拠をしっかりと集めたら、相談できる機関などを利用します。
社内でハラスメントに対応する窓口などを設置しているということもありますが、社内の窓口では相手に知られる可能性もあって心配と感じる方もいると思います。
そのような場合には、厚生労働省が管轄する総合労働相談コーナーというものがあります。
総合労働相談コーナーは各都道府県の労働基準監督署に設置されています。無料で相談もできますし、特に予約等も必要ありませんので相談に言ってみましょう。
(3)モラハラ加害者を訴えることもできる
モラハラの被害は場合によっては「侮辱罪」や「名誉毀損罪」「脅迫罪」など刑事罰が課されるほど悪質なものもあります。
精神的に追い詰められ、仕事が出来なくなる、退職に追いやられるといことも考えられます。そのような場合には、弁護士に相談して損害賠償請求を行うことも出来ます。
裁判だけでなく、モラハラを解決するための交渉などを弁護士に依頼することも出来ます。色々と手は尽くしたけれど改善されないという場合や早期に解決したいという場合には、労働問題に精通した弁護士への相談をオススメします。
4.モラハラまではいかないけれど・・・
モラハラとまではいかないけれど、とても付き合いづらい人がいる、いつも冷たくしてくる人がいるなど、職場内の人間関係に悩む人は多いです。
仕事をするところだからと割り切って過ごしていても、1人で仕事をするわけではないのでどうしても人間関係によるトラブルに巻き込まれることもあります。
もし、耐えられないくらい人間関係が嫌になってしまったら「退職」という方法もひとつです。世の中にはたくさんの会社があります。あなたに合う会社が他にもあるかもしれません。
また、ほんの少し考え方を変えるだけでも人間関係が変わることがあります。1人で悩まず、親しい友人や職場で信頼出来る人に相談するなど話しを聞いてもらうようにしましょう。
まとめ
「いじめ」は学生や子供の間だけで起こることではありません。そして、大人のいじめは陰湿で悪質なケースが多いです。職場内でのハラスメントは許されることではありません。
理不尽なハラスメントの被害に合ってしまった場合には、証拠を集めて然るべき方法で対処しましょう。
また、ハラスメントはいずれも受け取り側が苦痛に思うかどうかがポイントとなります。
「冗談のつもりだった」「いじっただけ」など悪気はないと主張しても、された方が嫌な気持ちや苦痛を感じた場合、それは「ハラスメント」に該当するということを覚えておいて下さい。